祝1800夜! 松岡正剛を囲む千夜一撃帖の夕宴

2022/06/05(日)18:04 img
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松岡正剛が千夜千冊1800夜達成記念で千夜一撃帖を受け取る

 雷の直撃を受けた場合、死亡率は約70~80%。雷撃後に処置がないと9割が落命するという。千夜千冊という「知の雷」に撃たれた者も例外ではない。見事に直撃された者たちは此岸から彼岸へ逝くがごとく、「方法の国」へ渡岸することになるのだ。

 

 2000年の開始以来書き続けられてきた「松岡正剛の千夜千冊」が5月31日に1800夜を達成した。記念すべき1800夜はスザンナ・フランケル『ヴィジョナリーズ』。23人のファッションデザイナーたちに次々とインタビューした著作を取り上げた。千夜編集部による写真キャプション編集とともに存分に楽しまれたい。

 

学林堂のモニターに映し出されたアップされたばかりの1800夜のトップ画像。

学林堂のモニターに映し出されたアップされたばかりの1800夜のトップ画像。

 

 千夜1800夜がアップされた瞬間に、編集工学研究所と松岡正剛事務所の面々が学林堂に集い、万雷の拍手とゴルチェが衣裳を担当した『フィフス・エレメント』のサントラで迎え、ささやかな宴を催した。

 

スタッフに迎えられる松岡正剛

スタッフ総出で1800夜を祝うなか、松岡正剛入場。

 

 千夜編集長の寺平からの祝辞と抱負、雷という名をもつ洋菓子エクレア、そして贅沢にも更新されたばかりの千夜を松岡本人が解説。

 

松岡正剛によるファッションの解説

デザイナーそれぞれの人物、編集性を自ら解説。

 

 今回の宴の目玉は130人を超える雷直撃者たちによる「千夜一撃帖」である。イシス編集学校の師範、師範代からAIDAの座衆、スタッフたちまでが、それぞれ1800夜から一夜とワンフレーズを選び、いかにわたしは直撃されたかを吐露したものだ。それらをデザイナーの穂積晴明が八編総覧ごとにフォーマットを変えて、二徹をして一冊の本に仕立て上げた。

 

松岡正剛と千夜一撃帖

「千夜一撃帖」は裏地にもこだわりが。装丁は豪徳寺・イシス館で確認できる。

 

 松岡本人も一枚一枚をめくりながら、「お、康代がシュテフィター!」「蘇東坡はしぶいねえ」「デミアンは編集学校入る前からだよね」などとスタッフと会話をしながら、130人分の雷体験を楽しんだ。

 

千夜一撃帖をめくる松岡正剛

一撃帖をめくりながら、誰が何の千夜を選んだかをチェック!

 

 次は1900夜、そして2000夜へ。一撃を受けるものたちがこれからも続々と増え続けていくことだろう。併走する千夜エディションの刊行、イシス編集学校の編集稽古の日々とともに千夜の雷ロードはどこまでも続く。

 

松岡正剛が千夜一撃帖の言葉を眺める

衝立に張られた一撃帖の一夜一夜をじっくりと眺める。

千夜千冊の一夜が貼られている

一撃帖を八編総覧ごとに陳列。最多は5人に選ばれた『良寛全集』。

千夜千冊の一夜を選ぶ

千夜の選択は意外に重複が少なかった。良寛に続いて多かったのは、ヴィトゲンシュタイン、パース、西行。

  • 吉村堅樹

    僧侶で神父。塾講師でスナックホスト。ガードマンで映画助監督。介護ヘルパーでゲームデバッガー。節操ない転職の果て辿り着いた編集学校。揺らぐことないイシス愛が買われて、2012年から林頭に。

コメント

1~3件/3件

山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。