【参丞EEL便#025】ほんのれん、出張出展します

2022/10/26(水)15:00
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地質年代では、氷期がおわり、温暖化が進んで農耕がはじまった約1万年前から現在にいたるまでを「完新世」とよぶ。ヒト(ホモ・サピエンス・サピエンス)が一挙に繁栄した。

 

『フラット化する社会』の著者トーマス・フリードマンは、近著『遅刻してくれて、ありがとう』で、加速する時代において「雇用の完新世」がおわったと述べた。先進国には高給なミドルクラスの仕事が潤沢にあり、一方でブルーカラーは工場で真面目にものづくりをし、組合に守られて家族を養う、という”地層”はすでに過去のものになりつつある。

いまや変化のはげしい「雇用の人新世」に突入し、雇用を維持するためには、「3つのR(読み、書き、算数)」だけでなく、「4つのCスキル」が必須になるとフリードマンは言う。それは創造性(Creativity)、共同作業(Collaboration)、共同体(Community)、プログラミング(Coding)で、すべてのワーカーは「生涯教育」によってリスキリングしてスキルを高めつづけなければならないとする。


本当だろうか?そんなことが可能だろうか?4Cを支え人や場をつなぐ編集力が重要なのでは?という問いが生まれるが、日本でも、終身雇用・年功序列の日本型組織が過日のあり様となり、ジョブ型雇用が取り入れられ、リスキリング市場が拡張していくだろう。いずれにせよ、働くことや働く環境の、本来と将来や意味が問われている。

 

「ほんのれん」が、ワクワクする未来をヨコクする「2023 KOKUYO FAIR」のリアル会場に出展することになった。サービスリリース前のため、これまで実験してきた本を活用したアナロジカルな対話の内容・成果をお披露目することになる。「人と人がつながる場へと進化するオフィス」に、書物をきっかけに見方や問いを編集する場が動きつづけることを提案する。「図書館総合展」にも出展する。こちらもリアルとオンラインのハイブリッド開催で、図書館関係者の方々からたくさんのヒントをいただく機会にしたい。

 

[編工研界隈の動向を届ける橋本参丞のEEL便]

//つづく//

 
  • 橋本英人

    函館の漁師の子どもとは思えない甘いマスクの持ち主。師範代時代の教室名「天然ドリーム」は橋本のタフな天然さとチャーミングな鈍感力を象徴している。編集工学研究所主任研究員。イシス編集学校参丞。

コメント

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山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。