この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

第81回感門之盟も、いよいよ佳境を迎えている。最後にひかえた松岡正剛校長の講義”校長校話”の直前を飾るのは、シン教室名発表のコーナー「冠界式」だ。感門ツウの方は覚えているだろうか、これは49[守]のときに刷新されたコーナー名である。こうして、毎回様々に再編集が行われているのも、イシス編集学校名物、感門之盟の特徴だ。
イシス編集学校の教室には、ひとつひとつ唯一無二の教室名がついている。これは、新師範代が千夜千冊から数寄3夜を選び、教室名案を5つ提出したものを、校長松岡正剛がリミックスしたネーミングなのだ。
今日の日に、初めて目にするエディットされた教室名を前に、シン師範代たちは驚くのか?喜ぶのか?泣くのか?微笑むのか? 今回は51[守]に登板をひかえた20人に、新しい教室名が贈呈された。こちらで紹介している教室名カードは、松岡校長がひとつずつ直筆したものである。
51[守] 師範代、新教室名、教室カード一覧
◆奥富宏幸師範代 / 東雲シナジー教室
◆山崎智章師範代 / 森のシナプス教室
◆山本昭子師範代 / 光合成センタイ派教室
◆畑本浩伸師範代 / 近場のダイモーン教室
◆大塚早紀子師範代 / 正夢ジップロック教室
◆森下揚平師範代 / 配列変えます教室
◆一倉広美師範代 / 五七五クノー教室
◆原田祥子師範代 / 斜月薫風教室
◆奥村泰生師範代 / 学匠ただいま教室
◆南田桂吾師範代 / ルイジ・ソージ教室
◆佐土原太志師範代 / シビルきびる教室
◆和泉隆久師範代 / 熱〜いヤカン教室
◆吉田麻子師範代 / 若水尽きぬ教室
◆本間裕師範代 / ホンロー・ウォーク教室
◆重廣竜之師範代 / ダブルヴィジョン教室
◆河野智寿師範代 / 「綾」から「艶」へ教室
◆新垣香子師範代 / カタルトシメス教室
◆束原俊哉師範代 / 一月二十五日教室
◆竹嶋克之師範代 / ゆるゆるビーング教室
◆鈴木哲也師範代 / 分人庭師教室
教室名発表を音楽で彩ったのは、師範・浅羽登志也によるドラム。これまで5期以上にわたり教室名のらしさをドラムセット一つで寿ぎつづけている。
「冠界式」の途中には、教室名命名の楽屋裏をスクープしたダイジェスト動画が流れた。動画編集は林朝恵花目付によるもの。
「守は縁日、破は山道、花はぬかるみの道」と講座を道で喩えたのは、五七五クノー教室の一倉広美師範代。新師範代を代表してメッセージを寄せた。自分の学衆時代の回答と指南を読み返して「師範代が学衆の可能性を開くための仕掛けをしてくださっていたのか」と気づいたという。「未熟や不足や不安を抱えてチャレンジしていくからこそ、イキイキとした教室運営ができるのではないか。編集が呼吸するように当たり前の世界づくりをしていきたい」と今後への抱負をよどみなく語った。
◇ ◇ ◇
■基本コース 51期[守] で、お待ちしております
・応募締め切り:2023年4月30日(日)
・開講期間:2023年5月8日(月)~8月20日(日)
お申し込みはこちらから
エディスト編集部
編集的先達:松岡正剛
「あいだのコミュニケーター」松原朋子、「進化するMr.オネスティ」上杉公志、「職人肌のレモンガール」梅澤奈央、「レディ・フォト&スーパーマネジャー」後藤由加里、「国語するイシスの至宝」川野貴志、「天性のメディアスター」金宗代副編集長、「諧謔と変節の必殺仕掛人」吉村堅樹編集長。エディスト編集部七人組の顔ぶれ。
コメント
1~3件/3件
2025-06-10
この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。
2025-06-10
藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。
2025-06-06
音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。