下を向くアフ感名幹事・白川雅敏-イシスの“らくだ”【後編】

2019/11/03(日)21:56
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 43[守]師範、白川雅敏。松岡正剛校長から与えられたニックネームは“らくだ”。
 屈指の編集力を誇るイシス師範であるが、リアルで会うと笑う時にすら下をむいている草食系だ。そんな白川“らくだ”が、2019年9月7日の「アフター感門之盟(略称・アフ感)」の幹事募集の知らせに、立ちあがった。

 動き出すと素早い白川は、進行表の作成から集金袋の手配まで高速にこなす。アフ感前の、感門之盟の集合写真撮影時には会場を抜け出し、アフ感の準備へとむかった。本人はこっそりとしているつもりであろうが“らくだ”であるため、微妙に目立つ。アフ感会場では、マイクとスピーカーを持ちこみ、学匠から進破・突破学衆まで、インタビューを敢行する獅子奮迅ぶり。すでに、来期の“アフ感団長”としての活躍が期待されている。

 何が白川“らくだ”を駆り立てたのか。失望である。編集学校の「感門之盟」は、入念なリハーサルのうえでの晴れ舞台である。その反動で「アフ感」は、単なる懇親会だった。席次もろくに決まっていないグダグダぶり。遠方から来ている学衆、師範代、師範もいるのに、「これではいけない」と声を上げたのが白川であった。
 
 写真はアフ感会場の白川“らくだ”。右手にマイク、左手に会費、そしていつもの下向きの笑顔。実は、人がたくさん集まる場は苦手らしい。

  • 井ノ上シーザー

    編集的先達:グレゴリー・ベイトソン。湿度120%のDUSTライター。どんな些細なネタも、シーザーの熱視線で下世話なゴシップに仕立て上げる力量の持主。イシスの異端者もいまや未知奥連若頭、守番匠を担う。

コメント

1~3件/3件

川邊透

2025-07-01

発声の先達、赤ん坊や虫や鳥に憑依してボイトレしたくなりました。
写真は、お尻フリフリしながら演奏する全身楽器のミンミンゼミ。思いがけず季節に先を越されたセミの幼虫たちも、そろそろ地表に出てくる頃ですね。

川邊透

2025-06-30

エディストの検索窓に「イモムシ」と打ってみたら、サムネイルにイモムシが登場しているこちらの記事に行き当たりました。
家庭菜園の野菜に引き寄せられてやって来る「マレビト」害虫たちとの攻防を、確かな観察眼で描いておられます。
せっかくなので登場しているイモムシたちの素性をご紹介しますと、アイキャッチ画像のサトイモにとまる「夜行列車」はセスジスズメ(スズメガ科)中齢幼虫、「少し枯れたナガイモの葉にそっくり」なのは、きっと、キイロスズメ(同科)の褐色型終齢幼虫です。
 
添付写真は、文中で目の敵にされているヨトウムシ(種名ヨトウガ(ヤガ科)の幼虫の俗称)ですが、エンドウ、ネギどころか、有毒のクンシラン(キョウチクトウ科)の分厚い葉をもりもり食べていて驚きました。なんと逞しいことでしょう。そして・・・ 何と可愛らしいことでしょう!
イモムシでもゴキブリでもヌスビトハギでもパンにはえた青カビでも何でもいいのですが、ヴィランなものたちのどれかに、一度、スマホレンズを向けてみてください。「この癪に触る生き物をなるべく魅力的に撮ってやろう」と企みながら。すると、不思議なことに、たちまち心の軸が傾き始めて、スキもキライも混沌としてしまいますよ。
 
エディスト・アーカイブは、未知のお宝が無限に眠る別銀河。ワードさばきひとつでお宝候補をプレゼンしてくれる検索窓は、エディスト界の「どこでもドア」的存在ですね。

堀江純一

2025-06-28

ものづくりにからめて、最近刊行されたマンガ作品を一つご紹介。
山本棗『透鏡の先、きみが笑った』(秋田書店)
この作品の中で語られるのは眼鏡職人と音楽家。ともに制作(ボイエーシス)にかかわる人々だ。制作には技術(テクネ―)が伴う。それは自分との対話であると同時に、外部との対話でもある。
お客様はわがままだ。どんな矢が飛んでくるかわからない。ほんの小さな一言が大きな打撃になることもある。
深く傷ついた人の心を結果的に救ったのは、同じく技術に裏打ちされた信念を持つ者のみが発せられる言葉だった。たとえ分野は違えども、テクネ―に信を置く者だけが通じ合える世界があるのだ。