ポール・オースターの名訳で知られる翻訳家・柴田元幸氏へアプローチをかけ、インタビュー集『ナイン・インタビューズ 柴田元幸と9人の作家たち』(柴田元幸など、アルク)の編集・出版を果たした白川雅敏(44[守]師範)。
本職は、語学出版社の編集者だ。同著のための村上春樹氏への取材は、村上氏の自宅で行われた。編集者冥利につきる機会を創出した。
輝かしき白川の編集キャリアに、一枚のイラストが転機をあたえた。11[離]を受講中のことだ。自画像を描くお題で自らを“らくだ”になぞらえ、太田香保総匠の爆笑を誘う。必然性のない意匠に、松岡正剛校長からは「で、それでどうする?」とツッコミがはいり、あげくには39[守]師範代デビュー時の教室名は「全部らくだ教室」。直球過ぎるネーミングに、発表時の会場では失笑のさざなみがおこった。
“らくだ”として再出発をした白川。3度目の師範ロールを担うが、その道のりは平たんではない。
19年9月の第70回感門之盟前夜のリハーサル。“らくだ”は万全の準備でいどむも、「ほかの人と同じことをしてはいけない」と、イシス林頭・吉村堅樹から叱責をうける。実情は、桂大介(43[守]師範・当時)と同じテーマを選び、たまたま桂の後に発表しただけのことだった。同僚師範は「いつも理不尽な目にあうよねぇ」とささやきあい、「同じテーマでも師範の異なる見方がみえていいんじゃない」と話していた鈴木康代学匠も、そしらぬ顔をする。
リハーサルで殺気立つ吉村からのダメ出しと、“らくだ”の徹夜のやり直しは、今や風物詩だ。「リハーサル後に、“らくだ”と一杯やる約束をしてはいけない」が師範陣の共通了解となっている。
白川は、突然に“らくだ”になったのか。実はそうではない。かねて家族から「歩きかたがおそい。まったく“らくだ”なんだから!」となじられてきた。そのうち“らくだ”という言葉が白川の「らしさ」をじわじわと輪郭づけていった。
だが、本物のらくだは時速65Kmで走る。白川の出身地の新潟県上越市は豪雪地帯で、らくだ生態圏ではない。らくだは木の葉ばかり食べるが、白川は海鮮料理も好む。白川は“らくだ”ではない。“らくだモドキ”なのだ。
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井ノ上シーザー
編集的先達:グレゴリー・ベイトソン。湿度120%のDUSTライター。どんな些細なネタも、シーザーの熱視線で下世話なゴシップに仕立て上げる力量の持主。イシスの異端者もいまや未知奥連若頭、守番匠を担う。
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