蔵出し隊結成秘話 福田恵美の苗代

2019/10/17(木)20:17
img

 蔵から出すから蔵出し隊。何を蔵出しするかと言えば、イシス編集学校に大量に眠る松岡正剛校長の講演だ。


 隊の結成を呼び掛けた福田恵美師範代は、足を運んだ講演でメモをとり、まとめて共有するのを習慣としていた。何度か繰り返すうちに、校長の話は、名詞をメモにとっても、あとで意味が通じないことに気がついた。動詞がなければ文章にできない。さりとて、講演を聞きながら、リアルタイムで文章を編集するには限界がある。そこで、吉村林頭に校長の講演音源を借りて、文字起ししたいと志願した。こうして蔵出し隊の活動がはじまった。


 校長講演の文字起こし、やりたい人はたくさんいるはず。福田は、蔵出し隊が編集学校を突破した人のその後のニューロールになりうると考えた。[離]や師範代への道はハードルが高く、編集学校に関わり続けられない人のために、蔵出しはちょうどいい負荷で、極上の編集知に触れ続けることができる。

 

 [守]や[破]の修了後、生活の中でじわりじわり学んだ編集術の意義に気づき始めていく。その場にいて、一度聞いたはずの校長校話の文字起しを蔵出ししてみて、あらためて肚落ちし、編集学校を再受講した人もいた。福田師範代の行動原理は、目の前にあるものをつかまえること。自分を媒介にして隣同士のものをくっつけること。いいなと思うものは何かがつながっているということが、本業とNPO活動を並走してきた福田の実感だ。


 フライング気味とも言えるほどの行動力が真骨頂と林頭も評価する福田恵美の身軽さの秘密。それは、自分ですべてやらなきゃいけないとは思っていないということだ。「種蒔きはするけれど、わたし自身も育っていった先が楽しみなんです」。蔵出し隊の果実は近々、遊刊エディストでお披露目される予定だ。福田は林頭に聞いた5秒後にはさっそく隊員たちに報告している。


 福田恵美は「やりたい!」という好奇心の種を撒いた苗代に、周りをどんどん巻き込んでいく。今、東京と長野の飯綱で二拠点生活を送り、りんごをつかったブランドの開発と販路開拓に取り組んでいる。

 

福田師範代の最新の活動はこちらから。
ハネダシりんごを美味しいお菓子に! りんご農家とパティシエの交流会を開催


  • 林 愛

    編集的先達:山田詠美。日本語教師として香港に滞在経験もあるエディストライター。いまは主婦として、1歳の娘を編集工学的に観察することが日課になっている。千離衆、未知奥連所属。

  • Q→Eの波打ち際―校長校話・お題問答編【79感門】

    どうして蝉は7日で死ぬのだろう。雨はなにをもって落ちてくるのか。自分の中にある地図をつくってみたい。小学校に通った二条烏丸から松原烏丸までの市電で編集稽古していた「たくさんの僕」。少年時代からずっと、70年お題と格闘し […]

  • イドバタイムズ issue.6  バイクみたいな子どもフィールド―オトナのための千夜千冊共読会レポート

    編集学校の方法を子どもたちのために外へつなぐ。 「イドバタイムズ」は子どもフィールドからイシスの方法を発信するメディアです。    そらをとぶバイクみたいなはちがくる  千夜千冊362夜『小学生の俳句歳時記』( […]

  • 【Playlist】未知の奥へ(林愛)

    みちのく、道の、未知の奥  ゆけど遠のく、言の奥  分け入りてただ、奥へと歩く   【Playlist】未知の奥に分け入る10本 林愛選   一、【三冊筋プレス】道に迷いたい 物に入りたい(米川青馬 […]

  • 【多読SP】冊匠賞受賞作全文掲載(林愛)

    多読ジムSPコース「大澤真幸を読む」の読了式で【冊匠賞】【多読ボード賞】【大澤真幸賞】の受賞者が発表された。冊匠賞は林愛さん、多読ボード賞は猪貝克浩さん、大澤真幸賞は梅澤光由さんが受賞した。大澤真幸賞の梅澤光由さんに続い […]

  • 【三冊筋プレス】なる、なっているユーモリスト(林愛)

    おもしろいつもりなんてない、ぼくはいつでもおおまじめだよ。  おかあさんはどうしてぼくをみてわらっているの?    ヨシタケシンスケの絵本の男の子にそう聞かれているような気がして、『笑いの哲学』という本を手に […]