ISIS 20周年師範代リレー[第9期土井内英子 2期連続で走り抜ける]

2020/10/15(木)10:00
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2000年に産声をあげたネットの学校[イシス編集学校]は、2020年6月1日に20周年を迎えた。現在開講中の第45期の師範代まで、1期ずつ数珠つなぎにしながら、20年のクロニクルを紹介する。

個人で開設できるブログが定着し始めた2004年。アメリカではFacebookが設立され、日本では「冬のソナタ」で韓流ブームが巻き起こりました。千夜千冊が1000夜達成目前となり、編集学校では専ら「どの本が千夜目を射止めるのか」の予想に沸きました。七夕の日、第1000夜『良寛全集』が明かされると、当たり外れはともあれお祝いコメントが千と寄せられたのでした。

この頃、守では稽古期間を5ヶ月から4ヶ月に変更。お題を整理し、情報の乗り替え・持ち替え・着替えを打ち出して、自由編集状態に向かうための4用法を確立。大きな方向転換期に師範代を務めあげたのは、型にはまらずエネルギッシュなフリーライター・土井内英子師範代。持ち前のバイタリティで2期連続で師範代登板も果たされました。それまでは第1期師範代の太田眞千代さんが早くに再登板をされていましたが、入門から始めて再登板師範代となったのは、「自信がなかった自分の生き方を支持できるようになった」と学衆に言わしめた信頼絶大の土井内師範代でした。

●あの日!あの時!千夜千冊!●

⦿900夜台は骨太な千夜が並ぶ

0950夜

フョードル・ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』

2004年03月18日

◎日本に文字が生まれなかった謎を解く

0987夜

白川静『漢字の世界』

2004年06月07日

〇千夜達成は七夕だった

1000夜

良寛『良寛全集』

2004年07月07日

◎師範代メッセージ◎


2004年は松岡校長の還暦、「千夜千冊」での1000冊達成と、再篇が2つも織り込まれた年でした。9守から呼び名が変わった「学衆」も千冊カウントダウンに伴走し、編集稽古の合間に千夜を辿り時空を跨いでその一冊を予想。「番ボー」同様に大きな盛り上がりでした。

想起も縁起も化学反応もこの世のすべてが編集。真の価値観の多様性を謳えるイシス族がもっともっと増えますように。

 

シリウス繚乱教室 土井内英子


 

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【図版引用】

Mark Zuckerberg from Wikipedia CC2.0
https://en.wikipedia.org/wiki/Mark_Zuckerberg#/media/File:Mark_Zuckerberg_F8_2019_Keynote_(32830578717)_(cropped).jpg
Morning first day of Orange Revolution from WikipediaCC3.0
https://en.wikipedia.org/wiki/Orange_Revolution#/media/File:Morning_first_day_of_Orange_Revolution.jpg

  • 後藤由加里

    編集的先達:石内都
    NARASIA、DONDENといったプロジェクト、イシスでは師範に感門司会と多岐に渡って活躍する編集プレイヤー。フレディー・マーキュリーを愛し、編集学校のグレタ・ガルボを目指す。倶楽部撮家として、ISIS編集学校Instagram(@isis_editschool)更新中!

コメント

1~3件/3件

山田細香

2025-06-22

 小学校に入ってすぐにレゴを買ってもらい、ハマった。手持ちのブロックを色や形ごとに袋分けすることから始まり、形をイメージしながら袋に手を入れ、ガラガラかき回しながらパーツを選んで組み立てる。完成したら夕方4時からNHKで放送される世界各国の風景映像の前にかざし、クルクル方向を変えて眺めてから壊す。バラバラになった部品をまた分ける。この繰り返しが楽しくてたまらなかった。
 ブロックはグリッドが決まっているので繊細な表現をするのは難しい。だからイメージしたモノをまず略図化する必要がある。近くから遠くから眺めてみて、作りたい形のアウトラインを決める。これが上手くいかないと、「らしさ」は浮かび上がってこない。

堀江純一

2025-06-20

石川淳といえば、同姓同名のマンガ家に、いしかわじゅん、という人がいますが、彼にはちょっとした笑い話があります。
ある時、いしかわ氏の口座に心当たりのない振り込みがあった。しばらくして出版社から連絡が…。
「文学者の石川淳先生の原稿料を、間違えて、いしかわ先生のところに振り込んでしまいました!!」
振り込み返してくれと言われてその通りにしたそうですが、「間違えた先がオレだったからよかったけど、反対だったらどうしてたんだろうね」と笑い話にされてました。(マンガ家いしかわじゅんについては「マンガのスコア」吾妻ひでお回、安彦良和回などをご参照のこと)

ところで石川淳と聞くと、本格的な大文豪といった感じで、なんとなく近寄りがたい気がしませんか。しかし意外に洒脱な文体はリーダビリティが高く、物語の運びもエンタメ心にあふれています。「山桜」は幕切れも鮮やかな幻想譚。「鷹」は愛煙家必読のマジックリアリズム。「前身」は石川淳に意外なギャグセンスがあることを知らしめる抱腹絶倒の爆笑譚。是非ご一読を。

川邊透

2025-06-17

私たちを取り巻く世界、私たちが感じる世界を相対化し、ふんわふわな気持ちにさせてくれるエピソード、楽しく拝聴しました。

虫に因むお話がたくさん出てきましたね。
イモムシが蛹~蝶に変態する瀬戸際の心象とはどういうものなのか、確かに、気になってしようがありません。
チョウや蚊のように、指先で味を感じられるようになったとしたら、私たちのグルメ生活はいったいどんな衣替えをするのでしょう。

虫たちの「カラダセンサー」のあれこれが少しでも気になった方には、ロンドン大学教授(感覚・行動生態学)ラース・チットカ著『ハチは心をもっている』がオススメです。
(カモノハシが圧力場、電場のようなものを感じているというお話がありましたが、)身近なハチたちが、あのコンパクトな体の中に隠し持っている、電場、地場、偏光等々を感じ取るしくみについて、科学的検証の苦労話などにもニンマリしつつ、遠く深く知ることができます。
で、タイトルが示すように、読み進むうちに、ハチにまつわるトンデモ話は感覚ワールド界隈に留まらず、私たちの「心」を相対化し、「意識」を優しく包み込んで無重力宇宙に置き去りにしてしまいます。
ぜひ、めくるめく昆虫沼の一端を覗き見してみてください。

おかわり旬感本
(6)『ハチは心をもっている』ラース・チットカ(著)今西康子(訳)みすず書房 2025