ISIS 20周年師範代リレー [第34期 奥本英宏 頼れる兄貴はマショウの男]

2021/10/04(月)09:00
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2000年に産声をあげたネットの学校[イシス編集学校]は、2020年6月に20周年を迎えた。第45期の師範代までを、1期ずつ数珠つなぎにしながら、20年のクロニクルを紹介する。

 

◇◇◇

ハイパーコーポレートユニバーシティから、編集工学に心酔した男がイシスの門を叩いた。担当師範代は現在[守]学匠の鈴木康代。どこかビジネスマン然とした固さがあったが、釣りに行ったときの「ダンドリ・ダントツ」の開陳で、殻が破けたと康代は振り返る。男の名は奥本英宏。その後34[守]で、リクルートマネジメントソリューションズ社長を務めながら多軸ピボット教室師範代を担当した。

 

奥本は、どこまでいっても「安心して頼れる兄貴」だ。個々のメンバーに寄り添う優しさと、ぶれることのない大局観で、集った学び手の安心感は格別だ。その後、師範としてもその手腕を大いに発揮。タイプの大きく異なる師範代を同時に花開かせたり、花伝所で後進となる師範代を直に育成したりと、本業と編集学校の間を華麗に越境する編集コーチの筆頭格である。マネジメント経験を買われ、花伝式目の改訂にも関わった。

 

過去期編集コーチを集め、何でも混ぜ混ぜするというイベント「焼きそば会」では幹事を買って出て、当日はハチマキを締めて大いに盛り上がった。革のソファで腕組みをしているのではなく、焼きそばのコテや釣り竿を抱えて「下りてきてくれる」リーダー。常に奥本の回りには、自然な笑顔がたくさん咲き誇るのだ。

 

奥本のイシス史の原点、ハイパーコーポレートユニバーシティは現在、ハイパーエディティングプラットフォーム[AIDA]に姿を変えたが、今もなお受講者と編集コーチの間を取り持つ「間匠(ましょう)」として活躍中。福元邦雄と共に、魔性の男の魅力で、場を束ね続けている。

◎師範代メッセージ◎


 

>あのときメッセージ>

結晶一筋30余年、青色発光ダイオードを発明した中村修二さんのノーベル物理学賞受賞と共に始まった守稽古。川野・渡會両番匠の別院仕立は鉱石ラジオでした。深夜ラジオの温かな音に包まれて、大人揃いの師範代の遊び心と編集野心がジリジリ瞬く。職人気質と編集技にあふれた34期。

 

>これからメッセージ>

方法の学びから実践へと社会の様々なテーマでイシスの可能性を試行していきたいですね。

 

多軸ピボット教室 奥本英宏

 


 

●あの日!あの時!千夜千冊!●

〇奥本も「技を伝え、人を育てる」達人
1561夜 小川三夫『棟梁』

…2014年10月30日

◎2000年読み継がれた変革期のバイブル

1567夜 孟子『孟子』
…2014年12月25日

⦿日本文学史の原点は前代未聞の三夜語りで

1569夜-1571夜 紫式部『源氏物語』
…2015年01月13日

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  • 川野貴志

    編集的先達:多和田葉子。語って名人。綴って達人。場に交わって別格の職人。軽妙かつ絶妙な編集術で、全講座、プロジェクトから引っ張りだこの「イシスの至宝」。野望は「国語で編集」から「編集で国語」への大転換。

コメント

1~3件/3件

川邊透

2025-07-01

発声の先達、赤ん坊や虫や鳥に憑依してボイトレしたくなりました。
写真は、お尻フリフリしながら演奏する全身楽器のミンミンゼミ。思いがけず季節に先を越されたセミの幼虫たちも、そろそろ地表に出てくる頃ですね。

川邊透

2025-06-30

エディストの検索窓に「イモムシ」と打ってみたら、サムネイルにイモムシが登場しているこちらの記事に行き当たりました。
家庭菜園の野菜に引き寄せられてやって来る「マレビト」害虫たちとの攻防を、確かな観察眼で描いておられます。
せっかくなので登場しているイモムシたちの素性をご紹介しますと、アイキャッチ画像のサトイモにとまる「夜行列車」はセスジスズメ(スズメガ科)中齢幼虫、「少し枯れたナガイモの葉にそっくり」なのは、きっと、キイロスズメ(同科)の褐色型終齢幼虫です。
 
添付写真は、文中で目の敵にされているヨトウムシ(種名ヨトウガ(ヤガ科)の幼虫の俗称)ですが、エンドウ、ネギどころか、有毒のクンシラン(キョウチクトウ科)の分厚い葉をもりもり食べていて驚きました。なんと逞しいことでしょう。そして・・・ 何と可愛らしいことでしょう!
イモムシでもゴキブリでもヌスビトハギでもパンにはえた青カビでも何でもいいのですが、ヴィランなものたちのどれかに、一度、スマホレンズを向けてみてください。「この癪に触る生き物をなるべく魅力的に撮ってやろう」と企みながら。すると、不思議なことに、たちまち心の軸が傾き始めて、スキもキライも混沌としてしまいますよ。
 
エディスト・アーカイブは、未知のお宝が無限に眠る別銀河。ワードさばきひとつでお宝候補をプレゼンしてくれる検索窓は、エディスト界の「どこでもドア」的存在ですね。

堀江純一

2025-06-28

ものづくりにからめて、最近刊行されたマンガ作品を一つご紹介。
山本棗『透鏡の先、きみが笑った』(秋田書店)
この作品の中で語られるのは眼鏡職人と音楽家。ともに制作(ボイエーシス)にかかわる人々だ。制作には技術(テクネ―)が伴う。それは自分との対話であると同時に、外部との対話でもある。
お客様はわがままだ。どんな矢が飛んでくるかわからない。ほんの小さな一言が大きな打撃になることもある。
深く傷ついた人の心を結果的に救ったのは、同じく技術に裏打ちされた信念を持つ者のみが発せられる言葉だった。たとえ分野は違えども、テクネ―に信を置く者だけが通じ合える世界があるのだ。