節分とジャイアン――46[守]新師範代登板記 ♯13

2021/02/05(金)10:30
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 2月2日に、「節分汁講」と題した2回目のオンライン汁講を開催した。キャッチフレーズは、「数奇と稽古で鬼退治!? 福を招いていざ卒門へ」。卒門への一押しとなれば、という願いが込められている。ひとり急な都合で出席できなかったものの、9名中8名が参加する盛況な会だった。

 

 汁講は二部構成。その第一部は、<数奇稽古三昧>。強度高めの稽古を用意した。「この先」に進む彼らなら、やれるんじゃないか。ジャイアンの期待が込められている。

 

 自分の「数奇」なモノを画面に掲げ、稽古とインタースコアさせながら自分を語る。題して「仲間と繋げ! うねり重ね数奇語り」。これだけでも簡単ではないが、そこに「前の人の発表を受けて、重ねて語る」、という縛りを足した。
 遊刊エディスト愛読者ならピンと来たかも知れないが、実はこれ、先日行われた34[花]敢談儀で、これから師範代にならんとする花伝生に与えられた課題だ。
 どうなったかって? ここに再現できないのが残念なくらいだ。多種多様なプロフィールが見事に重ね合わされた。
 大学生の学衆からは「古いポータブルラジオ」が紹介された。「テレビは一方通行だけど、ラジオはリスナーがいないと成立しない」という言葉に、イシスの教室が重なった。学衆がリスナーなら、さしずめ師範代はパーソナリティか。

 

 第2回番ボー・ミメロギアの講評が出揃ったが、番ボーは講評が出た後が重要だ。この時、他の人の作品の面白さに気づくことができるか。講評の妙を感じ取ることができるか。「そう来たか!」という驚きを取り込むことは、自分の中の「わたし」を増やすことに繋がる。
 それには手っ取り早く、同朋衆をやってみればいいのでは? そこで、自分がいちばん数奇なミメロギア作品をひとつ選び、理由と共に発表してもらうことにした。「あなたも同朋衆 ミメロギア数奇語り」だ。
 するとどうか。自分の思い出と作品との関係線を引く学衆や、「句読点の使い方にひとつ上のステージを見た」という学衆も現れた。同朋衆顔負けの講評が揃うことになった。
 花伝所と同じメニューに、同朋衆の真似事。今だから言えるが、実は開催前、負荷をかけ過ぎじゃないかと危ぶんでいたのだが、どうしてどうして、皆、稽古をやりきってくれた。

 

 第一部の最後は、「実体ミメロギア」である。師範代と師範が、せーので画面にモノを出し、それを使ってミメロギアをする、というお題だ。「即席・即応 実体ミメロギア」である。

 モノは言い換えも可、というのがポイント。例えば、ペットボトルのお茶ならば「ペットボトル」「緑茶」「清涼飲料水」とズラしていける。お茶好きの「藤井聡太」や茶処の「静岡」を出してもいい。アナロジーを駆使するお題だ。
 種を明かすと、同期の森本康裕師範代(弓心一射教室)から、「汁講で実体ミメロギアが盛り上がった」という情報を入手し、それを拝借してきたのだ。
 これも難易度の高いお題だが、結果はどうか。わずか15分の間に、総回答数は26個を数えた。後日、「相乗効果で高めあうコラボ感が新鮮」「編集脳を早く動かすことを楽しんだ」「忘れられない稽古になった」という声が教室に溢れた。

 

 第二部は「先達破語り」である。最後の30分で、ジャイアンの担当編集である川野貴志師範に登場願った。「この先」を話してもらうためである。
 実は学衆時代、本楼で行われた合同汁講で、ジャイアンは川野師範のミニ講演を聞いている。その時の印象が強く、今回、遠回しに頼んでみたところ、快諾を得たのだ。
 川野師範からはこんな言葉が飛び出した。

 

 「実験室の守・実生活の破」

 

 守の稽古は、環境が整った実験室でしているに過ぎない。それを実践する場が破である。実生活の中で生かしたいなら、迷わず破に進むべきではないか。
 教師らしく、「守破はイシスの義務教育」という見立ても飛び出し、多くの学衆が刺激を受けたようだった。実際、川野師範の退場後、複数名から進破宣言が飛び出した。大丈夫、彼らなら破でも暴れてくれるだろう。

 

 汁講のあいだ中、ジャイアンは感慨深かった。
 学衆が頼もしいのである。3カ月前の入門当時と比べて、明らかに一回りも二回りも大きくなっている。
 しかし涙腺を緩めてる場合じゃない。ジャイアンに涙は似合わない。
 やることが多かったのは助かった。泣く暇もないからだ。
 今回、ジャイアンは汁講の最中、効果音を流し続けた。スマホの無料アプリの活用である(その名も「効果音アプリ」)。学衆の発表が終わると「拍手」を流し、コーナーごとに紙にしたためたタイトルを出しながら、「ジングル」を鳴らした。
 学衆のひとりが呟いた。
「ラジオっぽいですね」 
 いい番組だろ? いいリスナーに支えられているのだ。当然じゃないか。

 

 すべてを終えて、リビングのソファーにへたり込む。と、普段見慣れないものが目に入った。開けていない豆の袋だった。日付は変わっていた。

 

▲うねり胴鳴り九重山・角道ジャイアン教室の面々+山根師範+川野師範の計11名。賑やかさに、鬼は恐れをなして逃げていったようだ。

 

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ああ、それでもジャイアンは歌う――46[守]新師範代登板記 ♯1
ジャイアン、恋文を請い願う――46[守]新師範代登板記 ♯2
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汁講ぞ、ジャイアン――46[守]新師範代登板記 ♯9

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ジャイアンの破語り――46[守]新師範代登板記 ♯11

ジャイアン五箇条――46[守]新師範代登板記 ♯12


  • 角山祥道(ジャイアン)

    編集的先達:黒岩涙香。「松岡正剛と同じ土俵に立つ」と宣言。花伝所では常に先頭を走り続け、感門では代表挨拶。師範代登板と同時にエディストで連載を始めた前代未聞のプロライター。ISISをさらに複雑系にする異端児。

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