2020ETS編集聖火キャスト09 「知識を知恵に変える入り口に立った!」(座談会・熊本)

2020/03/06(金)21:29
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全国同時多発で打ちあがった編集の祭典「ISISフェスタエディットツアースペシャル(ETS)』。4月までに全国20か所を編集聖火ランナーがかけぬけます。ここでは開催終了会場の参加者の声を紹介します。

 

 明治の面影を宿す長崎次郎喫茶室での編集ワークショップを終えた面々は、会場のお向かいにある大正ロマンカフェ『天の川』でティータイム。朝摘みのイチゴでつくったイチゴセーキや自家製カレーセットを頬ばりながら、感想を交わしあいました。

 

登場人物

 木本智子さん(初/茶道講師)

 黒田 勝さん(36[守]、36[破]、37[破]/元福祉施設職員)

 吉田麻子(師範代/テーブルコーチ)

 中野由紀昌(師範/インターアクター)

 

 

中野「木本さんは初めての編集ワークショップでしたね」

木本「なにもわかってなくて参加したんです。なにしろ吉田さんのお誘いでしたから、何も説明を受けないまま、行きます、行きますと」

中野「どんなふうにお誘いをしたの?」

吉田「チラシを渡しながら、こういう編集ワークショップがあるのでとお誘いしたら、え? 編集って何を編集するんですか、と」

木本「以前、私が主催するお茶のワークショプに吉田さんがきてくださったとき、言葉の選び方が素晴らしい方だなあと感心していたんです」

吉田「そのときに編集学校の話をしたんだと思います」

木本「お勉強されている方という印象が強くて。そんな吉田さんから誘われたので、前情報がなくても参加しました」

 

中野「この人が勧めるのなら間違いない、というのは決め手になりますね。参加していかがでした?」

木本「自分の中にしかないものでものを作り上げてしまいがちだけど、外の意見を取り入れたほうがぐっと面白くなると、すごく勉強になりました。今日のワークショップでは本を使いましたが、これは今後私も取り入れてみようかな。自分の中にないものからヒントを得るというやり方ですね」

吉田「編集学校のお題って、これを使わないといけないの?と一瞬躊躇するものもあるんですけど、それをうまく自分の中に取り込んでいくうちに、最終的には納得のいくものができていくんですよね」

木本「関係のなさそうなものでも紐付けできますね」

吉田「木本さんがお茶会をするときも、外からどう見られているかという感覚は自然に身についているんだと思います。ぜひ木本さんには編集学校を試みていただきたいと思っていたので、こうした機会があってよかったです」

木本「お誘いいただいてありがとうございます」

 

 

中野「黒田さんはイシスの経験者ですが、編集ワークショップ自体は初めてですね」

黒田「おもしろかったですねぇ。プランニング編集術では、この場で初めて出会った3人でのグループワークでしたが、見事なプランができました。ポストイット編集術の一つのテーマは『100年後の熊本に残したいもの』という一見難しそうなものなのに、自然と「わたし」に結びついていく。頭がやわらかいまんまカタチになっていく。ワークショップではナビ(IA)の進行に従ってたんたんと、楽しみながらやっていくんだけど、それが未来のプランに結びついていくんだもの。本の活かし方も勉強になりました。知識を知恵に変えていく入り口に立った感じがしています」

中野「三位一体の要素の一つに本を取り入れていただきましたが、巧みに関係づけができていましたね」

 

黒田「しかしイシス編集学校はネット上だけどすごいですよね。入る前は受講料の金額に見合うのかなと思っていたけど、とりあえずやってみたら驚くほどきめ細やかで」

吉田「私もはじめは受講料が高いかなと思っていたけど、入ってみたらとんでもない密度の濃さでした」

黒田「師範代や師範の方って、ほとんどボランティアなんじゃないですか。それでも楽しく、自分自身も学ぶ意欲をもって参加されている。その熱量がすごい」

中野「この編集ワークショップもほぼ自主的にやっているんですよ。編集術の奥行きを知ってほしいという思いひとつ。リアルな場で直に伝えられる場ってなかなかないんですよ。今日お会いした方々ともこれからも繋がっていけるんじゃないかな、と期待しています。破の再受講、陰ながら応援しています」

 

  • 中野由紀昌

    編集的先達:石牟礼道子。侠気と九州愛あふれる九天玄氣組組長。組員の信頼は厚く、イシスで最も活気ある支所をつくった。個人事務所として黒ひょうたんがシンボルの「瓢箪座」を設立し、九州遊学を続ける。

コメント

1~3件/3件

川邊透

2025-07-01

発声の先達、赤ん坊や虫や鳥に憑依してボイトレしたくなりました。
写真は、お尻フリフリしながら演奏する全身楽器のミンミンゼミ。思いがけず季節に先を越されたセミの幼虫たちも、そろそろ地表に出てくる頃ですね。

川邊透

2025-06-30

エディストの検索窓に「イモムシ」と打ってみたら、サムネイルにイモムシが登場しているこちらの記事に行き当たりました。
家庭菜園の野菜に引き寄せられてやって来る「マレビト」害虫たちとの攻防を、確かな観察眼で描いておられます。
せっかくなので登場しているイモムシたちの素性をご紹介しますと、アイキャッチ画像のサトイモにとまる「夜行列車」はセスジスズメ(スズメガ科)中齢幼虫、「少し枯れたナガイモの葉にそっくり」なのは、きっと、キイロスズメ(同科)の褐色型終齢幼虫です。
 
添付写真は、文中で目の敵にされているヨトウムシ(種名ヨトウガ(ヤガ科)の幼虫の俗称)ですが、エンドウ、ネギどころか、有毒のクンシラン(キョウチクトウ科)の分厚い葉をもりもり食べていて驚きました。なんと逞しいことでしょう。そして・・・ 何と可愛らしいことでしょう!
イモムシでもゴキブリでもヌスビトハギでもパンにはえた青カビでも何でもいいのですが、ヴィランなものたちのどれかに、一度、スマホレンズを向けてみてください。「この癪に触る生き物をなるべく魅力的に撮ってやろう」と企みながら。すると、不思議なことに、たちまち心の軸が傾き始めて、スキもキライも混沌としてしまいますよ。
 
エディスト・アーカイブは、未知のお宝が無限に眠る別銀河。ワードさばきひとつでお宝候補をプレゼンしてくれる検索窓は、エディスト界の「どこでもドア」的存在ですね。

堀江純一

2025-06-28

ものづくりにからめて、最近刊行されたマンガ作品を一つご紹介。
山本棗『透鏡の先、きみが笑った』(秋田書店)
この作品の中で語られるのは眼鏡職人と音楽家。ともに制作(ボイエーシス)にかかわる人々だ。制作には技術(テクネ―)が伴う。それは自分との対話であると同時に、外部との対話でもある。
お客様はわがままだ。どんな矢が飛んでくるかわからない。ほんの小さな一言が大きな打撃になることもある。
深く傷ついた人の心を結果的に救ったのは、同じく技術に裏打ちされた信念を持つ者のみが発せられる言葉だった。たとえ分野は違えども、テクネ―に信を置く者だけが通じ合える世界があるのだ。