【参丞EEL便#010】近大ビブリオシアターPR映像②「DONDEN」

2022/06/30(木)12:00
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編集機密術35=ジグザグ、右往左往、アプト式、プロクロニズム、左見右見、リミックス、かわるがわる、オートポイエーシス、カットアップ。これ、みんな編集の極意。

 

近畿大学ビブリオシアター「NOAH33」の映像に続いて、「DONDEN」を紹介する。

1階「NOAH33」を7CHAのリズムでチャチャチャと踊りでて、2階「DONDEN」は11トピアをジグザグと駆けいだす。「DONDEN」は、漫画を鍵に、新書と文庫が鍵穴になって、知のどんでん返しがおこる日本で唯一の本棚空間である。三段で構成する映像をご覧あれ。

 

近大ビブリオシアターPR映像②「DONDEN」←ここをクリック

 

必冊「DODEN読み」は、漫画・新書・文庫を三間連結して知をつなげる。知をどんでん返しする読み方だ。棚にはISISフェスタゲストの近藤ようこさんや、近大生が実践したパネルも展示されている。漫画の「アーキタイプ」を独自の視点でググッと掴めるかが編集のコツ。

 

吉村林頭の大胆な演出プランによって、文楽と漫画が一種合成した。左上)ご用意された「DONDEN床本」を掲げるのは太夫・豊竹藤太夫師匠。右下)各三段の幕開けシーンも注目されたい。人形遣い・吉田玉男御大による口上が、シアターの東西に鳴り響いた。

 

DONDEN・近大文楽収録の様子はこちら:

【近大文楽】義太夫三味線レコーディングの段

【近大文楽】三味線・鶴澤清志郎インタビューの段

【近大文楽】吉田玉男一門、図書館ロケの段

 

 

[編工研界隈の動向を届ける橋本参丞のEEL便]

//つづく//

  • 橋本英人

    函館の漁師の子どもとは思えない甘いマスクの持ち主。師範代時代の教室名「天然ドリーム」は橋本のタフな天然さとチャーミングな鈍感力を象徴している。編集工学研究所主任研究員。イシス編集学校参丞。

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コメント

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山田細香

2025-06-22

 小学校に入ってすぐにレゴを買ってもらい、ハマった。手持ちのブロックを色や形ごとに袋分けすることから始まり、形をイメージしながら袋に手を入れ、ガラガラかき回しながらパーツを選んで組み立てる。完成したら夕方4時からNHKで放送される世界各国の風景映像の前にかざし、クルクル方向を変えて眺めてから壊す。バラバラになった部品をまた分ける。この繰り返しが楽しくてたまらなかった。
 ブロックはグリッドが決まっているので繊細な表現をするのは難しい。だからイメージしたモノをまず略図化する必要がある。近くから遠くから眺めてみて、作りたい形のアウトラインを決める。これが上手くいかないと、「らしさ」は浮かび上がってこない。

堀江純一

2025-06-20

石川淳といえば、同姓同名のマンガ家に、いしかわじゅん、という人がいますが、彼にはちょっとした笑い話があります。
ある時、いしかわ氏の口座に心当たりのない振り込みがあった。しばらくして出版社から連絡が…。
「文学者の石川淳先生の原稿料を、間違えて、いしかわ先生のところに振り込んでしまいました!!」
振り込み返してくれと言われてその通りにしたそうですが、「間違えた先がオレだったからよかったけど、反対だったらどうしてたんだろうね」と笑い話にされてました。(マンガ家いしかわじゅんについては「マンガのスコア」吾妻ひでお回、安彦良和回などをご参照のこと)

ところで石川淳と聞くと、本格的な大文豪といった感じで、なんとなく近寄りがたい気がしませんか。しかし意外に洒脱な文体はリーダビリティが高く、物語の運びもエンタメ心にあふれています。「山桜」は幕切れも鮮やかな幻想譚。「鷹」は愛煙家必読のマジックリアリズム。「前身」は石川淳に意外なギャグセンスがあることを知らしめる抱腹絶倒の爆笑譚。是非ご一読を。

川邊透

2025-06-17

私たちを取り巻く世界、私たちが感じる世界を相対化し、ふんわふわな気持ちにさせてくれるエピソード、楽しく拝聴しました。

虫に因むお話がたくさん出てきましたね。
イモムシが蛹~蝶に変態する瀬戸際の心象とはどういうものなのか、確かに、気になってしようがありません。
チョウや蚊のように、指先で味を感じられるようになったとしたら、私たちのグルメ生活はいったいどんな衣替えをするのでしょう。

虫たちの「カラダセンサー」のあれこれが少しでも気になった方には、ロンドン大学教授(感覚・行動生態学)ラース・チットカ著『ハチは心をもっている』がオススメです。
(カモノハシが圧力場、電場のようなものを感じているというお話がありましたが、)身近なハチたちが、あのコンパクトな体の中に隠し持っている、電場、地場、偏光等々を感じ取るしくみについて、科学的検証の苦労話などにもニンマリしつつ、遠く深く知ることができます。
で、タイトルが示すように、読み進むうちに、ハチにまつわるトンデモ話は感覚ワールド界隈に留まらず、私たちの「心」を相対化し、「意識」を優しく包み込んで無重力宇宙に置き去りにしてしまいます。
ぜひ、めくるめく昆虫沼の一端を覗き見してみてください。

おかわり旬感本
(6)『ハチは心をもっている』ラース・チットカ(著)今西康子(訳)みすず書房 2025