外国語から日本語への「翻訳」もあれば、小説からマンガへの「翻案」もある。翻案とはこうやるのだ!というお手本のような作品が川勝徳重『瘦我慢の説』。
藤枝静男のマイナー小説を見事にマンガ化。オードリー・ヘプバーンみたいなヒロインがいい。
「ナポレオンも戦争も朝顔も、港も潮も、すべて本になる。ありとあらゆる”ちえ”を一番かたちにしてきた乗り物が、本なんですね。」
福井県敦賀市の駅前に、賑わい・交流の新拠点「otta」が、明日9月1日にオープンする。EELは、otta内の本屋スペース「ちえなみき TSURUGA BOOKS & COMMONS」の選書プロデュースや本棚編集を行なった(詳細は以前エディスト記事で紹介)。
ちょうど10年前の2012年に、丸の内オアゾ内の実験書店「松丸本舗」が店仕舞いをし、年末に編集工学研究所&松岡正剛事務所は、赤坂から、現在の赤堤に引っ越した。松岡校長の構想のもと、知の移転を試みた。新たな空間である1階本楼や2階学林堂の書棚群に6万冊以上の本を配架し、たくさんのイシスの皆さんと、それぞれ担当する棚や複数の棚エリアに意味の束や模様を編集した。千夜千冊1493夜『知識の社会史』に詳しいので読まれたい。
やがて本楼はイシスの知と人がまじわる活きた劇場となり、新たな文脈の地と図と格闘する本棚編集の知恵は、近畿大学「ビブリオシアター」や良品計画「MUJIBOOKS」、資生堂「SHISEIDO THE TABLES」や角川武蔵野ミュージアム「エディットタウン」に継承、拡張されてきた。
敦賀市知育・啓発施設プロジェクトの基幹拠点として始動した「ちえなみき」も、そのジーンとミーム、コードとモードを受け継いでいる。知と共読が波うつコモンズが、敦賀駅前に動きだす予定だ。本記事の冒頭に少しだけ紹介した松岡校長のメッセージ動画も店内で流れる。千枝のように交差する本棚とともに、ぜひ現地で見ていただきたい。
[編工研界隈の動向を届ける橋本参丞のEEL便]
//つづく//
橋本英人
函館の漁師の子どもとは思えない甘いマスクの持ち主。師範代時代の教室名「天然ドリーム」は橋本のタフな天然さとチャーミングな鈍感力を象徴している。編集工学研究所主任研究員。イシス編集学校参丞。
かつて校長は、「”始末”とは、終わりのことですが、エンディングとビギニングは一緒だということ。歌舞伎役者が最後に舞いたい踊りは、自分を目覚めさせる踊りかもしれないわけで、終わりのメッセージとは、何か始まりを感じさせるもの […]
「日本流(経営)の本質は、異質なものを編集する力だったはずだ。ーーー異質なデータを価値ある情報に編集する知恵がこれからの勝負となる。それをセマンティックプラットフォーマーと呼んでいる。」 一橋大学ビジネスス […]
【参丞EEL便#034】 職場から「おしゃべり」が失われている?
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【参丞EEL便#033】「ちえなみき」で触れる7つの文字の世界
ひとつ、「雲」という字は元々は「云」と書き、これは雲気たなびく下に、竜のくるっと巻いたしっぽが見えている形である。大昔、人々は雲の中に「竜」がいると考えていた。 来場者10万人を突破した福井県敦賀市「ちえなみき」で、「一 […]
赤坂から、赤堤へ。 2012年12月、EELは6万冊の本と一緒に、赤坂から赤堤(最寄りが豪徳寺駅)へと引っ越しをした。知の移転を行った。 そこからちょうど10年、校長への献本や千夜本や、EELプロジェクト関 […]
コメント
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2025-12-25
外国語から日本語への「翻訳」もあれば、小説からマンガへの「翻案」もある。翻案とはこうやるのだ!というお手本のような作品が川勝徳重『瘦我慢の説』。
藤枝静男のマイナー小説を見事にマンガ化。オードリー・ヘプバーンみたいなヒロインがいい。
2025-12-23
3Dアートで二重になった翅を描き出しているオオトモエは、どんな他者に、何を伝えようとしているのだろう。ロジカルに考えてもちっともわからないので、イシスなみなさま、柔らか発想で謎を解きほぐしてください。
2025-12-16
巣の入口に集結して、何やら相談中のニホンミツバチたち。言葉はなくても、ダンスや触れ合いやそれに基づく現場探索の積み重ねによって、短時間で最良の意思決定に辿り着く。人間はどこで間違ってしまったのだろう。