エピクロスさん(40代女性)のご相談:
「寝食を忘れて」もよいのはいつからでしょう?留学中の息子が低血圧と選好みで寮の食事をきちんととらないらしく、結果学業にも支障が出ているのではと英国人の寮父から言われました。とはいえ、無理に不味いものをガツガツ食え!とも言いずらい胃袋の共感や教育的思想も複雑に相まっており、解はないかもしれません。一方でその不足へのビジネス的アプローチを考える投資家目線の自身もおり、介入との放置という子育てにつきまとう微妙なバランスをコロナ禍で模索しています。なにかよきアドバイスを!
サッショー・ミヤコがお応えします
えーっと、まず一般論として「寝食を忘れる」のは大人の専売特許ではありません。食事を忘れてかくれんぼや缶けり遊びにふけったり、布団の中にスタンドを持ち込んで親に禁止されたマンガや小説を朝まで読むなんて、小学生でも中学生でも日常的なことだというのを思い出しましょう。
息子さんが「食事をきちんととらない」のがお悩みのタネですね。「低血圧と選り好み」が原因というのはお母様の分析でしょうか。寮父から「学業にも支障が出ているのでは」と報告があった点、因果関係を1:1で捉えようとするアングロサクソン気質を感じてしまいました。一方で、「介入と放置」のバランスに悩みつつ「その不足へのビジネス的アプローチ」を頭に浮かべているエピクロスさんは、健全でたくましい日本の母!
千悩千冊0007夜
笙野頼子
『母の発達』河出書房新社
笙野頼子さんは、何を隠そう、サッショーが最も敬愛してきた作家の一人です。スクナヒコナがジャニーズ系であること、森茉莉は死後「森娘」という名の妖怪に変じて『贅沢貧乏』という一冊の本の中に住まいつづけていることなど、みんな彼女に教わりました。
この『母の発達』、一九九六年の新刊当初には斎藤美奈子さんから〈長年の糞づまりがいっきに解消するようなサイコーの浣腸小節〉という評価をもらっています。その斎藤さんが文庫の解説も担当されました。殺しても死なない母に悩む人、母である自分の立ち位置に迷う人、母から生まれてきたすべての存在に贈りたい一冊です。何しろ「あ」のお母さんから「ん」のお母さんまで、あらゆるお母さんのプロトタイプが満載。どれもこれも読んでほしいので、短い部分を引用しますね。
「ち」の母は小さい母やった。原子核よりも小さかった。危険やった。
母は世界一危険なフラジャイル
◉井ノ上シーザー DUST EYE
自分を引き合いにいたしますが、わたしは幼少のころ、かっぱえびせんとカルピスしか食さない痩せぎすの子供でした。箸を使ってモノを食べることがめんどくさかったからです。母親は母親で「カルシウムが取れているので、いいのではないか」と放置していました。小学校高学年に至り、「うまいもの」の味を覚えました。それからというもの「おれの前世は餓鬼だったのか」と思うぐらいの執着心を食に持っています。
エピクロスさんの息子さんも、どこかの時点で大飯食らいへと転換する可能性は大いにあります。むしろ、今の食が細いほど、どん欲になる可能性があります。
作家の坂口安吾は「親がなくとも子は育つ、ではない。親があっても子は育つ、なんだ」と述べました。
安吾の考え方に則ると、子育ては最高の長期投資にはなりませんでしょうか。
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井ノ上シーザー
編集的先達:グレゴリー・ベイトソン。湿度120%のDUSTライター。どんな些細なネタも、シーザーの熱視線で下世話なゴシップに仕立て上げる力量の持主。イシスの異端者もいまや未知奥連若頭、守番匠を担う。
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