『野望の王国』原作:雁屋哲、作画:由起賢二
セカイ系が猖獗を極める以前、世界征服とはこういうものだった!
目標は自らが世界最高の権力者となり、理想の王国を築くこと。ただそれだけ。あとはただひたすら死闘に次ぐ死闘!そして足掛け六年、全28巻費やして達成したのは、ようやく一地方都市の制圧だけだった。世界征服までの道のりはあまりにも長い!

よっしいさん(50代・女性)のご相談:
個人事務所の代表に悩んでいます。スタート時は奥さんだけが手伝っていました。社会経験を積まないまま娘二人も働くようになってから、仕事上家族に対してきちんと指導ができない様子がますますひどくなり、職員たちはあきれ顔です。わたしはそろそろ60歳になるので、フルタイムから退く旨を伝えたら、これまで担当してきたお客様の関与を打ち切ることも考えていると言ってきました。それを苦労して担当してきた当事者であるわたしに話す神経がわかりません。10年ほど前、イシス編集学校をすすめ、守は受講しましたが、編集術がまったく身につかなかったようです。他の職員も体調不良を理由に退職を申し出ています。その奥にある気持ちに思い至らない事務所の代表とその家族にどう対応したらいいでしょうか。
◎
こんにちは。井ノ上シーザーです。
今回からは趣向を変えて、ご相談とサッショーの選本をわたしが橋渡しをいたします。みなさま、よろしくご愛顧をお願いいたします。
今回はセミリタイア間近に、長年勤めた事務所の行く末を気にかけて、もやもやが止まらないよっしいさんに、サッショーがこの一冊を紹介します。
千悩千冊0023夜
幸田文
『おとうと』(新潮文庫)
見かぎることについて書かれたせつない小説。底の底まで気の知れた「きかん気のくせに弱虫」の弟が不良のレッテルを貼られてしまったのは、両親の不和のせいかと姉は悩む。なさぬ仲の因果はもつれ、大波になって押し寄せる。決壊するのは一番弱い堰だ。「かっとのぼせる性質」から肺病へ。不出来で不運な弟に対する客観的な評価と濃い情や使命感がないまぜになるなか、客観を縦糸、情をヨコ糸として「幸田格子」が出来上がったかと思えます。他人さま一家の性格に起因する問題を、勤務先の上司だからという理由で、ご自分の退職後の行く末まで案じてあげるよっしいさんの博愛は、どんなテクスチャーになるでしょうか。
◉井ノ上シーザー DUST EYE
長年仕えたのですから、「活殺自在」(自分の思うように、自由にふるまうこと)でもいいかもしれません。
「飛ぶ鳥、あとを気にせず」もありですし、他の職員さんとお客を引き連れて、新しい事務所を設立する、という手もあります。編集術としては「地」の大胆な入れ替え、とかになりますね。
「千悩千冊」では、みなさまのご相談を受け付け中です。「性別、年代、ご職業、ペンネーム」を添えて、以下のリンクまでお寄せください。
井ノ上シーザー
編集的先達:グレゴリー・ベイトソン。湿度120%のDUSTライター。どんな些細なネタも、シーザーの熱視線で下世話なゴシップに仕立て上げる力量の持主。イシスの異端者もいまや未知奥連若頭、守番匠を担う。
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ちょっと裏話を。前回の「市井編」と今回の「ユーラシア編」は、もともとは一編でしたけど、遊刊エディスト編集部から「分割したほうがいいんじゃない?」という声があって分けてみました。今回もホリエ画伯がトホホ感あふれるアイキャッ […]
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中国在住歴通算11年(!)の井ノ上シーザーがこのネタに取り組みました。大真面目にDUSTYな編集中華料理をお届けします。たーんとご賞味ください。 ●――深夜に天津飯がやってきた: ある夜中の2時ころに目を覚 […]
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井ノ上シーザーが「い・じ・り・み・よ」する。今回は世間を騒がせているこの事件を取り上げる。 文学的でもあるし、超現代的でもある。そう睨んだのはシーザーだけではないだろう。 ●――電子計算機使用詐欺事件: 2 […]
コメント
1~3件/3件
2025-07-13
『野望の王国』原作:雁屋哲、作画:由起賢二
セカイ系が猖獗を極める以前、世界征服とはこういうものだった!
目標は自らが世界最高の権力者となり、理想の王国を築くこと。ただそれだけ。あとはただひたすら死闘に次ぐ死闘!そして足掛け六年、全28巻費やして達成したのは、ようやく一地方都市の制圧だけだった。世界征服までの道のりはあまりにも長い!
2025-07-08
結婚飛行のために巣内から出てきたヤマトシロアリの羽アリたち。
配信の中で触れられているのはハチ目アリ科の一種と思われるが、こちらはゴキブリ目。
昆虫の複数の分類群で、祭りのアーキタイプが平行進化している。
2025-07-07
七夕の伝承は、古来中国に伝わる星の伝説に由来しているが、文字や学芸の向上を願う「乞巧奠」にあやかって、筆の見立ての谷中生姜に、物事を成し遂げる寺島ナス。いずれも東京の伝統野菜だが、「継承」の願いも込めて。