千悩千冊0024夜★「新人さんの他力本願に悩んでいます」30代女性より

2021/08/14(土)09:15
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いつのまにかカモさん(30代会社員)のご相談:
新人さんの他力本願に悩んでいます。
ある日の終業間際、新人さんの一人が、「この件について調べておいてね」と、先輩に宿題を出されていました。先輩が去った、次の瞬間。彼女はおもむろに、少し離れたところで作業をしていた私のもとに歩み寄り、にっこりとほほ笑んで、「○○(私)さん。この件について教えてください」と、言ったのです。
後日、新人に安易に答えを教えたという罪で、私の方が先輩からお叱りを受けたことは、理不尽と言うほかありませんでした。
新人さんが自主的に課題に取り組めるようにはたらきかけるには、どうすればよいでしょうか。

 

 

みなさま、お久しぶりです。井ノ上シーザーです。
コロナパンデミックな世の中ですが、オリンピックの閉幕を経て見取りがよくなるのか、悪くなるのか。そんな世界の潮流とは別次元の、後輩をお持ちの女性からのご相談です。
辞書によると「カモ」とは「よいえもの。うまうまと利益をせしめることができる相手。食いものにするのに都合のよい相手」です。あなたの先輩は、この後輩に覚えてもらおうとする、子を崖の上から突き落とす獅子です。あなたは後輩の落下地点に都合よくいる獲物です。職場の生態系が、ここにあります。

 

サッショー・ミヤコがお応えします

 長らくお待たせしましたが、その後新人さんの態度に変化はあったでしょうか。もう新人さんとは呼べない立場になっているかもしれませんね。そう、時は刻々と過ぎ、事態はいつの間にか変容します。その間、「いつのまにかカモさん」の心境にも変化はあったでしょうか。

 もし今でも「新人さんの態度を変えたい」ことに悩んでおられるなら、悩みの角度を変えてみることをお勧めします。いっとき大流行したアドラー心理学で言われたように「嫌われる勇気」を持ち、自己変革に乗り出すのが、この先の人生を明るくしてくれるはずです。

 

千悩千冊0024夜
森茉莉
『マリアの気紛れ書き』(新潮社)

 

 

 贅沢貧乏とも貧乏サヴァランとも自称した森茉莉。その本質が天衣無縫なまでのワガママにあったことは誰にも否めないでしょう。

 そうです。人にはワガママになる自由がありますし、ワガママになることで得る効用は計り知れません。ええから、カモさんも新人さんに負けないぐらいワガママになりなはれ。

 その場合、大事なのは、威張った態度とふてぶてしさです。これは森茉莉のエッセーからも学べますし、小説『甘い蜜の部屋』の主人公モイラからもたっぷり学べます。周囲の人は、威張ったふてぶてしい女に対しては、それなりの対応を心掛けるので、これまでの境遇ときれいにおさらばできること、間違いありません。

 美味しいもの、好きなものだけを食べましょう。嫌な人、自分を利用しようという下心の透けて見える人に対しては、曇り硝子のフィルターをかけましょう。社会人としてどうこうとか、先輩としてかくあるべきとか、女にあるまじき云々かんぬんの<わきまえ>を削ぎ落とした後に残る価値観が、カモさんを幸せに導き、輝かせてくれると確信します。

 

◉井ノ上シーザー DUST EYE

あなたが30代以上の男性で、後輩が可愛く媚びを売るタイプでしたら、絵にかいたような“カモな風景”になります。しかし、下心がないと思われるあなたは、単なるお人よしです。後輩に食い物にされた上に、先輩に怒られてはたまったものではありません。
では、どうするか。
「あなたに教えるとわたしが先輩から怒られて迷惑なのよ」と言う一撃で解決をすると思われます。

 

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  • 井ノ上シーザー

    編集的先達:グレゴリー・ベイトソン。湿度120%のDUSTライター。どんな些細なネタも、シーザーの熱視線で下世話なゴシップに仕立て上げる力量の持主。イシスの異端者もいまや未知奥連若頭、守番匠を担う。