自ら編み上げた携帯巣の中で暮らすツマグロフトメイガの幼虫。時おり顔を覗かせてはコナラの葉を齧る。共に学び合う同志もなく、拠り所となる編み図もなく、己の排泄物のみを材料にして小さな虫の一生を紡いでいく。
ニューヨーク・ポスト紙は、2020年12月12日付の記事で「2020年のニューヨークでのUFO目撃情報は、3年前の3倍近くとなった」と報じた。
この事態について、迫村勝([破]師範)は次のように述べている。
「去年の夏頃から、ニューヨークでUFO(ユー・エフ・オー)の目撃情報が増えています。なんでかは、ぼくも分かりません。」
国立大学勤務のサイエンティストである迫村だが、いわゆる超常現象の否定はしない。「かもしれないな、と思うことが大事」という姿勢をつらぬく。だがインタビュー場所への入店時、非接触型検温計で体温が’Low’と出た迫村は、猛然とおでこを手で擦った。摩擦で無理やりに体温を上げようとした、そのふるまいは姑息であった。

▲ 開始後3時間後の迫村。
青森県産の日本酒で気持ちよく酔い、UFOを語っている。
「コロナ禍には宇宙人の陰謀の可能性はありますか」という質問に「そうは思いません。コロナウィルスは人為的に作られたものでしょう」と、迫村は即応するが「可能性は気に留めておきます」ともつけ加える。
インタビューアーの井ノ上シーザー([守]師範)は、「確率論的にありえそうもない」として、UFOの存在について懐疑的だ。
「イスラエル高官によると、隠れている宇宙人は人類の滅亡を待っている」「スーパースター マイリー・サイラスのUFO目撃談」などと、やたらにUFOと宇宙人ネタを掲載するニューヨーク・ポスト紙の姿勢は「悪ノリ」とみている。とはいえ「きわどく切り込む」カマエには、親近感も感じている。
井ノ上が「この前松岡校長が『某出版社はUFO関係の本を出したら駄目になった。UFOに関心のある学者もダメになるだろう』って言ってましたよー。」と水を向けると、満面の笑みを浮かべた迫村。「もう編集学校に貢献してませんから」と言いつつ、校長にいじられると喜ぶ点、やはり生粋のイシス人だ。
直近のニュースによると、トランプ大統領は米情報機関が収集したUFOの情報を公開するよう国防長官に求めている。迫村の見通しは「バイデン新大統領はUFOについてはノータッチでしょう」というところだ。新大統領にとっては、UFO以上の懸案事項が山積みであろう。
アメリカ当局は、UFOについてはつまびらかにすべきではない。
伏せ開けの「伏せ」が続くからこそ、迫村のUFO物語は終わらないからだ。
<参考資料>
New York Post ‘NYC UFO sightings in 2020 are up 283% from 2018.’
「2020年のニューヨークでのUFO目撃情報は、2018年比で283%もの上昇率示した」(ニューヨーク・ポスト紙)
https://nypost.com/2020/12/22/over-achieving-aliens-likely-annihilated-themselves-study/
ヤフーニュース「トランプ氏のとんでもない“置きみやげ” 米UFO&宇宙人情報公開へ」
https://news.yahoo.co.jp/articles/babb1c3c735d48fd7c8dfcd762563149d5b1dcbf
遊刊エディスト「UFOは”ユー・エフ・オー” サイエンティスト迫村勝の回答(後編)」
井ノ上シーザー
編集的先達:グレゴリー・ベイトソン。湿度120%のDUSTライター。どんな些細なネタも、シーザーの熱視線で下世話なゴシップに仕立て上げる力量の持主。イシスの異端者もいまや未知奥連若頭、守番匠を担う。
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2025-11-11
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