巣の入口に集結して、何やら相談中のニホンミツバチたち。言葉はなくても、ダンスや触れ合いやそれに基づく現場探索の積み重ねによって、短時間で最良の意思決定に辿り着く。人間はどこで間違ってしまったのだろう。
「奥座敷」とも「士官学校」とも呼ばれる花伝所へようこそ。

2020年5月16日、袈裟をまとう三津田知子花目付が33[花]の入伝の開式を告げる。
世阿弥にあやかり名付けられた「花伝所」。
25名の入伝生を誘うプロムナードに、三津田花目付は世阿弥の生きた時代を敷く。
「世阿弥の生きた14世紀はヨーロッパでペストが流行し、日本では南北朝にわかれ、足利義満が天下を取った戦乱期。
今日うまく行ったことが明日うまくいくかわからない、さきがまったく読めない乱世の時代だった。
その状況下、世阿弥は代々受け継いだ技を複式夢幻能として再現し、風姿花伝をはじめとする芸能本に著した。」
「序破急」「まねぶはまなぶ」など全て世阿弥から生まれた言葉。編集学校に限らず馴染みのある言葉だが、どれほどのその奥を理解しているだろうか。花目付はそう問いを重ねる。
揺らぎの中の今こそ、考えていかねばならない。
世阿弥の行きた時代とコロナ下の今について、最新の千夜『免疫ネットワークの時代』(西山賢一)を重ねて入伝生へメッセージをおくる。
「免疫ネットワークの働きの中に、すでに協働的で普段からシュミレーションをしたり、外部のものを内部に転写し、相互にインタラクティブに学ぶ場が形成されている。
こうした生命の型にもあやかりつつ、世阿弥に立ち返り、一人一人の中に問感応答返の型が動き、刺激しあっていく1日にしていきたい」

くれない、やまぶき、むらさき、わかくさの各道場の花伝師範の面々
「2010年、松岡校長は『日本の将来のための師範代を養成するのが花伝所』といった。2020年の20周年はそれを公にしていきたい」

続いて田中晶子所長がメッセージの冒頭にこう告げた。
ISIS編集学校でも昨夏に遊刊エディストをスタートし、鈴木康代学匠の音頭で全国のエディットツアーも始まった。
世界的な自粛が余儀なくされる中、4月開講の45[守]は200人を超える入門者があり、オンライン状況下でのzoomを使った編集稽古も起こっている。
「川野師範は『教育現場の先端にいる人たちに必要なものは全て花伝所にある』、奥本師範は『組織のミドルリーダーに必要な多様性を生み出す力は師範代モデルである』といっている。
現在の社会も重ねながら、33[花]では花伝所の方法を伝えていきたい。」
2020年はNEXT ISISに向かう20周年となる。編集学校の奥座敷であり士官学校でもある花伝所は、今や社会や将来にもつながっている。
入伝式での様子は数日をかけて公開予定。

編集工学研究所の穂積デザイナーの設えの一枚
上杉公志
編集的先達:パウル・ヒンデミット。前衛音楽の作編曲家で、感門のBGMも手がける。誠実が服をきたような人柄でMr.Honestyと呼ばれる。イシスを代表する細マッチョでトライアスロン出場を目指す。エディスト編集部メンバー。
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