『情歴21』を読む 第三弾ゲスト決定! 田中優子篇【ISIS FESTA SP】

2022/03/26(土)10:00
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人気大沸騰中のISIS FESTAスペシャル「『情歴21』を読む」シリーズ。その第三弾のゲストが決定しました。

第一弾は『情歴』のヘビーユーザーを自称する文筆家兼ゲーム作家の山本貴光さんがフランスの文豪バルザックと格闘し、第二弾は社会学者の大澤真幸さんが中世の東西教会分裂から現代のウクライナ問題までを一気通貫する白熱講義を披露しました。そして、第三弾のゲストはついにこの方の登場です。江戸文化研究家の田中優子さんです。

 

 

山本貴光さんが『情歴』ヘビーユーザーなら、田中優子さんはイシス編集学校のヘビーユーザーです。基本コースの守、破、離、そして多読ジムや物語講座などほぼすべてのコースウェアをモーラし、編集学校内で「優子先生」の名前で親しまれています。法政大学総長の時代には「遊刊エディスト」のインタビューにも登場しました。

 

 

旧知の仲である松岡正剛校長は、千夜千冊0721夜『江戸の想像力』の中で田中優子さんの“19のぶっちぎり”を次のようにあらわしています。

  1. 田中優子は山東京伝が熱燗でわかっている。
  2. 次に『江戸の想像力』の序でスーザン・ソンタグのキャンプ・ノートを引いて、人工美意識過剰の18世紀の幕開けの枕としてその由来を援用したところが、二番に粋だった(第695夜参照)。
  3. 三番、中野美代子にモテて、金沢の夜に上野千鶴子と花魁の妍を競い、女たちには度胸があると思われているのに、本人は伝法な愛嬌ばかりを気にしてきたというのが、いい。
  4. それから四番、歴史や現実の「全体」の病気に目を奪われず、たえず「異質」や「外部」や「部分」や「相対的なるもの」に注意のカーソルを動かしつづけているところ、それをサブジェクトなどという忌まわしいものなんぞで括らず、そこに及んだメソッドの意味を問いつつ切り刻んでいくところが、好きだ。
  5. 五番目には、研究であれ仕事であれ付き合いであれ、準備と戦闘開始と後の祭りとがいちいち問われているのが、おもしろい。
  6. 六番目、本書の題名ではないが、やっぱり想像力がいい。その想像力を繰り出す拠点が絞れていて、それでいて大きい。そこが評価されてよい。
  7. 七番目に言いたいことは、田中優子は文体はコクがあるのにキレがある(笑)。
  8. ともかくも八番目、彼女はなにより「文の音の人」(あやのねのひと)であるだろう。
  9. 九番に、まず廣末保がお師匠さんにいた。この人は「悪場所」や「悪所」を研究した人で、江戸社会の闇の文化(遊郭や芝居など)の専門家だった。
  10. そこで十番、これは邪推だが、そもそも田中優子は自分が影響をうけた相手に「きそひ・あはせ・そろひ」を挑みたいという、生まれながらの宿命的性癖の持ち主なのではないかと思われる。
  11. だからこそ、十一番、田中優子のコンセプトのひとつは「連」なのだ。
  12. 十二番、しかしながら田中優子の身体感覚はリテラルというよりもヴィジュアルを得意とする。彼女にとってリテラルは技能、ヴィジュアルは官能なのだ。
  13. 十三番、田中優子は枕絵がめっぽう好きな人である。きっと少女期に何かがあったのだろう。
  14. それゆえ十四番、「俗」が了解できない「聖」を嫌い、「聖」を許容できない「俗」にはいない。だから孤独な群衆の中などにはいずに、群衆の孤独の中にいる。
  15. しかし十五番、オヤジやオジンにモテまくっていて困っている。彼女は静かな暮らしがしたいのだ(と、言っている。モテなきゃこんなことも言わないかもしれないが)。
  16. 十六番、編集工学研究所に事務を預けたのとはうらはらに、彼女には実はたいそうな事務能力がある。交渉能力も管理能力もある。
  17. 十七番、繊細な度胸があって、臆病な勇気がある。だから過剰な江戸社会に咲いた“超部分”に振り向ける。
  18. そして十八番、これがふつうに田中優子の特色をあらわしてきたことだろうが、メディアの側から世界を考えることができる人である。世界をメディエーションの変化として捉える人なのだ。話してみてわかったのだが、彼女はそれを横浜の花街の中で少女時代に身につけた。
  19. 最後に十九番、そういう少女のころのことを、小説なんぞに書いてもらいたい。

 

さて、田中さんと松岡校長には『日本問答』『江戸問答』(ともに岩波新書)という「問答シリーズ」があります。「第三弾 田中優子篇」では、その『日本問答』と『江戸問答』を『情歴21』と重ね、世界を横目に日本の近世と近代を対比ながら展開していきます。日本の伝統とは何か、日本が失ったものは何なのか。おそらく、かつてない「世界と日本の見方」が浮かび上がってくることでしょう。松岡校長が20番目の”田中優子さんのぶっちぎり”を発見する日もこの日かもしれません。

 

 

「ISIS FESTA SP『情報の歴史21』を読む」は、古代から中世、近世、近代そして2020年まで古今東西様々なジャンルを見開きで一望できる『情歴21』という一大クロニクルに、どんな可能性があるのか、どのように使い倒すことができるのかをめぐって、さまざまなゲストが自らの方法を開陳するスペシャルイベントです。

「第一弾 山本貴光篇」「第二弾 大澤真幸篇」「第三弾 田中優子篇」に続いて、第四弾、第五段とシリーズ企画として毎月一回ほどのペースで続いていきます。さらに『情歴21』編集長の吉村林頭によると、書籍化の目論見もあるそうです。まだまだ見逃せない情歴プロジェクト、今後の展開もどうぞお楽しみに!

 


ISIS FESTA SP『情報の歴史21』を読む 第三弾 田中優子篇
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2022年4月10日(日) 14:00~16:30
■会場:
リアル参加:本楼(世田谷区豪徳寺)
オンライン参加:お申し込みの方にZOOM アクセスをお送りします。

■参加費 :
リアル参加:¥ 3,850 税込
オンライン参加:¥ 2,200 税込

■参加資格:どなたでもご参加いただけます。

■お申込み:以下よりお手続きください。
https://shop.eel.co.jp/products/detail/385
*プルダウンでリアル/オンラインをお選びください。
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田中優子 たなかゆうこ

法政大学名誉教授、江戸文化研究者

1952年、横浜市生まれ。法政大学大学院博士課程(日本文学専攻)修了。法政大学社会学部教授、学部長、法政大学総長を歴任。専門は日本近世文化・アジア比較文化。『江戸の想像力』(ちくま文庫)で芸術選奨文部大臣新人賞、『江戸百夢』(朝日新聞社、ちくま文庫)で芸術選奨文部科学大臣賞、サントリー学芸賞受賞。2005年、紫綬褒章受賞。朝日新聞書評委員、毎日新聞書評委員などを歴任。「サンデーモーニング」(TBS)のコメンテーターなども務める。江戸時代の価値観、視点、持続可能社会のシステムから、現代の問題に言及することも多い。

  • 金 宗 代 QUIM JONG DAE

    編集的先達:エドワード・W・サイード
    セイゴオ師匠の編集芸に憧れて、イシス編集学校、編集工学研究所の様々なメディエーション・プロジェクトに参画。ポップでパンクな「サブカルズ」の動向に目を光らせる。