「集え!編集遊者諸君!」バジラ高橋と行く輪読クエスト《古河探訪篇》

2019/12/10(火)19:07
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 「編集は冒険から始まる」というが、知の冒険には読書が最適だ。イシス編集学校の輪読座はこれをディープに引き受けている。万葉集、空海、折口信夫、西田幾多郎、井筒俊彦などの「レジェンド級」知的モンスターを毎シーズン相手取り、己が知力と仲間の見方を総動員して読み倒すのである。そんなインテレクチャル・ダンジョンを案内するのは、バジラ高橋こと高橋秀元。オブジェクト・マガジン『遊』の立ち上げメンバーにして、図示解説の鬼。「彼の知力を前にしては学者が10人でかかっても敵わない」と松岡正剛に言わしめた、博覧狂気の編集導師である。


 そんなバジラ高橋から日本中の編集遊者に対して、「緊急クエスト」の告知がなされた。2019年12月15日(日)、茨城の小京都「古河」にて、「輪読座スペシャル・フィールドワーク」が開催されるのだ。

 古河は『万葉集』に「まくらがの許我(こが)」と詠まれた歴史ある土地だ。平安には剛勇・源頼政が支配した河港町。親鸞の一番弟子・西念坊の拠点が築かれ、江戸時代には関東有数の要塞都市として名を馳せた。そして、今シーズンのターゲット・熊沢蕃山が治水の偉業を成し遂げた土地でもある。
 蕃山は日本陽明学を興したキーパーソンであり、幕末志士が国造りの上で依拠した実学思想の持ち主だ。そんな蕃山の思想と実践が折り畳まれた土地「古河」を、高橋が独創的な解説で案内する。「令和元年の終わりに、明治維新の精神の基盤となった「日本陽明学」の成果を見ておく必要がある。ぜひみんなに来てもらいたい。」と高橋は言う。「たくさん歩きます。歩きやすい服装・シューズでおいでください」。
 参列希望者は、イシス編集学校・輪読座の受講経験に関係なく、1,500円(税別)で冒険に参加することができる。申し込みはこちら

 詳しい内容は案内状を確認されたい。

 

(「古河」の由来となった万葉歌碑)

 

 

★バジラ高橋からの案内状はこちら

 

・日程:2019年12月15日(9:00〜20:00)
・集合:9:16古河着の湘南新宿ライン宇都宮行
(恵比寿:07:59発/渋谷:08:02発/新宿:08:08発/池袋:08:13発)
・参加費:1,500円(税別)
・申し込み:https://shop.eel.co.jp/products/detail/166

・お問い合わせ:isis_editschool@eel.co.jp(イシス編集学校学林局)

 

  • 穂積晴明

    イシス編集学校方源、編集工学研究所デザイナー、「おっかけ千夜千冊」の千冊小僧。『情報の歴史21』『知の編集工学 増補版』ほか、編集学校のあらゆるものをデザインするが、疲れ目に祟り目でたまに目にカビが生える。

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コメント

1~3件/3件

川邊透

2025-07-01

発声の先達、赤ん坊や虫や鳥に憑依してボイトレしたくなりました。
写真は、お尻フリフリしながら演奏する全身楽器のミンミンゼミ。思いがけず季節に先を越されたセミの幼虫たちも、そろそろ地表に出てくる頃ですね。

川邊透

2025-06-30

エディストの検索窓に「イモムシ」と打ってみたら、サムネイルにイモムシが登場しているこちらの記事に行き当たりました。
家庭菜園の野菜に引き寄せられてやって来る「マレビト」害虫たちとの攻防を、確かな観察眼で描いておられます。
せっかくなので登場しているイモムシたちの素性をご紹介しますと、アイキャッチ画像のサトイモにとまる「夜行列車」はセスジスズメ(スズメガ科)中齢幼虫、「少し枯れたナガイモの葉にそっくり」なのは、きっと、キイロスズメ(同科)の褐色型終齢幼虫です。
 
添付写真は、文中で目の敵にされているヨトウムシ(種名ヨトウガ(ヤガ科)の幼虫の俗称)ですが、エンドウ、ネギどころか、有毒のクンシラン(キョウチクトウ科)の分厚い葉をもりもり食べていて驚きました。なんと逞しいことでしょう。そして・・・ 何と可愛らしいことでしょう!
イモムシでもゴキブリでもヌスビトハギでもパンにはえた青カビでも何でもいいのですが、ヴィランなものたちのどれかに、一度、スマホレンズを向けてみてください。「この癪に触る生き物をなるべく魅力的に撮ってやろう」と企みながら。すると、不思議なことに、たちまち心の軸が傾き始めて、スキもキライも混沌としてしまいますよ。
 
エディスト・アーカイブは、未知のお宝が無限に眠る別銀河。ワードさばきひとつでお宝候補をプレゼンしてくれる検索窓は、エディスト界の「どこでもドア」的存在ですね。

堀江純一

2025-06-28

ものづくりにからめて、最近刊行されたマンガ作品を一つご紹介。
山本棗『透鏡の先、きみが笑った』(秋田書店)
この作品の中で語られるのは眼鏡職人と音楽家。ともに制作(ボイエーシス)にかかわる人々だ。制作には技術(テクネ―)が伴う。それは自分との対話であると同時に、外部との対話でもある。
お客様はわがままだ。どんな矢が飛んでくるかわからない。ほんの小さな一言が大きな打撃になることもある。
深く傷ついた人の心を結果的に救ったのは、同じく技術に裏打ちされた信念を持つ者のみが発せられる言葉だった。たとえ分野は違えども、テクネ―に信を置く者だけが通じ合える世界があるのだ。