自ら編み上げた携帯巣の中で暮らすツマグロフトメイガの幼虫。時おり顔を覗かせてはコナラの葉を齧る。共に学び合う同志もなく、拠り所となる編み図もなく、己の排泄物のみを材料にして小さな虫の一生を紡いでいく。
多読ジムSeason08・秋のラインナップが明らかになった。
<ブッククエスト>は「児童書44冊」、<エディション読み>は『少年の憂鬱』、<三冊筋プレス>は「ボタニカルな3冊」。おそらく、あとにも先にもこんなに”おいしいブックコース”はないだろう。「ハードルが高そうで…」と多読を諦めていた方も、Season08・秋、ゲキ推しです。
『徳間アニメ絵本31 借りぐらしのアリエッティ』
(原作:メアリー・ノートン 企画・脚本:宮崎駿、徳間書店)
「児童書44冊」には、千夜千冊でもおなじみのアンデルセンや石井桃子らはもちろん、世界三大ファンタジーのあの作品や、ジブリ映画『借りぐらしのアリエッティ』の原作メアリー・ノートン『床下の小人たち』など、“幼な心”ときめくキラッキラの44冊が揃う。さらにそこに<エディション読み>の『少年の憂鬱』がやってくるのだから、もうたまらない。これだからやめられない、止まらない。川平慈英が本好きなら「クゥーーーーーッ!」と絶叫すること、間違いなし。
ちなみにそんな人はほとんどいないと思うけれど、「44」という冊数を見て、せっかちに「うっ…不吉だ」などとは思ってほしくない。「4」の音が不幸を象徴する「死」と同じだというのなら、「師」だって「私」だっていいはずである。ほかにも「詩」も「史」も「紙」も「市」も「支」も「し」。どうせなら、世の中が決めたジョーシキに囚われずに「たくさんの4」を見出してほしい。されど、「子」を忘れることなかれ。幼年時代、誰だって”ほんと”なんてホイホイで、”つもり”にこそガチンコだったはずである。
『ボタニカル・ライフ-植物生活』(いとうせいこう、新潮社)
トドメの三冊筋は「ボタニカル」。松岡正剛校長も仲良しの植物派、ベランダーのいとうせいこうさんがまさしく『ボタニカル・ライフ』(新潮文庫)という本を書いている。『自己流園芸ベランダ派』(河出文庫)や『植物はヒトを操る』(毎日新聞出版)という共著もあり、千夜千冊1613夜のステファノ・マンクーゾ『植物は〈知性〉をもっている』や同じくマンクーゾの『植物は〈未来〉を知っている』の帯文も実はいとうさん。最近は「育児俳句」に凝っているらしい。いや、「子」ってますね。
Info
◉多読ジム season08・秋◉
∈START
2021年10月11日(月)
∈MENU
<1>ブッククエスト(BQ):児童書44冊
<2>エディション読み :『少年の憂鬱』
<3>三冊筋プレス :ボタニカルな3冊
∈URL
∈DESIGN the eye-catching image
穂積晴明
金 宗 代 QUIM JONG DAE
編集的先達:夢野久作
最年少《典離》以来、幻のNARASIA3、近大DONDEN、多読ジム、KADOKAWAエディットタウンと数々のプロジェクトを牽引。先鋭的な編集センスをもつエディスト副編集長。
photo: yukari goto
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コメント
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2025-11-18
自ら編み上げた携帯巣の中で暮らすツマグロフトメイガの幼虫。時おり顔を覗かせてはコナラの葉を齧る。共に学び合う同志もなく、拠り所となる編み図もなく、己の排泄物のみを材料にして小さな虫の一生を紡いでいく。
2025-11-13
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(※大ヒットした「孤独のグルメ」の原作者は「泉昌之」コンビの一人、久住昌之)
2025-11-11
木々が色づきを増すこの季節、日当たりがよくて展望の利く場所で、いつまでも日光浴するバッタをたまに見かける。日々の生き残り競争からしばし解放された彼らのことをこれからは「楽康バッタ」と呼ぶことにしよう。