新企画予告 短編小説連載がスタート!

2020/01/07(火)19:25
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 ハンカチ王子、ハニカミ王子、編み物王子、氷上の王子。
 世の中にはかくも多くの王子がいるものだが、イシスの「物語王子」と言えば宮前鉄也のことである。
 
 20[破]のアリストテレス賞知文術では、古井由吉『仮往生伝試文』を取り上げ、祖父の死と「往生」を蛍光ペンで印す読書体験を重ねて他の学衆を圧倒。大賞を受賞し、宮前の名前をイシスに知らしめた。続く物語編集術では、日航機事故での地元の遺体収容を題材にした物語で、日本人の死生観にまで踏み込んでいくであろうテーマを描き一席入選。
 
 物語講座でも窯変ミステリー賞、トリガーショット賞をW受賞し、最優秀賞にあたる冠綴賞を受賞。色白で端正なルックスと相まって「物語王子」の呼称は確定した。
 
物語講座4綴にて冠綴賞受賞。
(第30回感門之盟 2012年3月10日 草月ホール)
 
 昨年は筆力を買われ、編集工学研究所のプロジェクトで、最新の科学テクノロジーから発想し、いくつもの物語を創り出すロールを担っている。
 
 エディストで新たにスタートする短編小説連載企画名は「一瞬の皹(ひび)・日々の一旬」。豪徳寺ISIS館にある大小様々なオブジェの写真から、宮前が産み出す一記事読み切りの物語になる。記事末尾には、宮前本人による物語創作の方法解読も付記されることになっている。本楼や学林堂のどのようなワンショットが選ばれ、そこからいかなる物語が生まれ、どのような方法で紡ぎ出されるのか。連載開始は1月9日予定。
  • 吉村堅樹

    僧侶で神父。塾講師でスナックホスト。ガードマンで映画助監督。介護ヘルパーでゲームデバッガー。節操ない転職の果て辿り着いた編集学校。揺らぐことないイシス愛が買われて、2012年から林頭に。

コメント

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川邊透

2025-07-01

発声の先達、赤ん坊や虫や鳥に憑依してボイトレしたくなりました。
写真は、お尻フリフリしながら演奏する全身楽器のミンミンゼミ。思いがけず季節に先を越されたセミの幼虫たちも、そろそろ地表に出てくる頃ですね。

川邊透

2025-06-30

エディストの検索窓に「イモムシ」と打ってみたら、サムネイルにイモムシが登場しているこちらの記事に行き当たりました。
家庭菜園の野菜に引き寄せられてやって来る「マレビト」害虫たちとの攻防を、確かな観察眼で描いておられます。
せっかくなので登場しているイモムシたちの素性をご紹介しますと、アイキャッチ画像のサトイモにとまる「夜行列車」はセスジスズメ(スズメガ科)中齢幼虫、「少し枯れたナガイモの葉にそっくり」なのは、きっと、キイロスズメ(同科)の褐色型終齢幼虫です。
 
添付写真は、文中で目の敵にされているヨトウムシ(種名ヨトウガ(ヤガ科)の幼虫の俗称)ですが、エンドウ、ネギどころか、有毒のクンシラン(キョウチクトウ科)の分厚い葉をもりもり食べていて驚きました。なんと逞しいことでしょう。そして・・・ 何と可愛らしいことでしょう!
イモムシでもゴキブリでもヌスビトハギでもパンにはえた青カビでも何でもいいのですが、ヴィランなものたちのどれかに、一度、スマホレンズを向けてみてください。「この癪に触る生き物をなるべく魅力的に撮ってやろう」と企みながら。すると、不思議なことに、たちまち心の軸が傾き始めて、スキもキライも混沌としてしまいますよ。
 
エディスト・アーカイブは、未知のお宝が無限に眠る別銀河。ワードさばきひとつでお宝候補をプレゼンしてくれる検索窓は、エディスト界の「どこでもドア」的存在ですね。

堀江純一

2025-06-28

ものづくりにからめて、最近刊行されたマンガ作品を一つご紹介。
山本棗『透鏡の先、きみが笑った』(秋田書店)
この作品の中で語られるのは眼鏡職人と音楽家。ともに制作(ボイエーシス)にかかわる人々だ。制作には技術(テクネ―)が伴う。それは自分との対話であると同時に、外部との対話でもある。
お客様はわがままだ。どんな矢が飛んでくるかわからない。ほんの小さな一言が大きな打撃になることもある。
深く傷ついた人の心を結果的に救ったのは、同じく技術に裏打ちされた信念を持つ者のみが発せられる言葉だった。たとえ分野は違えども、テクネ―に信を置く者だけが通じ合える世界があるのだ。