ラグビーとサッカーを対で表現すると?

2019/10/02(水)15:23
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 イメージはマネージできる。

 

 10月1日のエディットツアーのテーマは「編集術でイメージの幅を広げよう」。ナビゲーターは金融業で企業研修プログラムを担当している渋谷菜穂子師範代。

 

 まずは自己紹介。自分をお菓子に見立てて自分の「らしさ」を表現する。「見立て」はハイコンテクスト文化である日本が得意とする編集の一つである。何かに見立てることでイメージを相手に高速で伝えることができるのだ。その自己紹介を受けて、次のワークではペアワークで相手の「らしさ」に重なる本を本楼にある2万冊から1冊選び、贈りあう。

 


渋谷師範代による情報編集プロセスの絵。「らしさ」はなんとか伝わった。


 最後はイメージを広げる編集ワーク「ミメロギア」。「ミメロギア」とは古代ギリシアの編集技法の「ミメシス(模倣)」と「アナロギア(類推)」を組み合わせたイシス編集学校独自の名物編集稽古だ。

 

 例えば、「漱石・鴎外」という2つの情報が並んでいる。この2つに対角線を引き「出席をとる漱石・脈をとる鴎外」「ロンドンでウジウジ漱石・ベルリンでラブラブ鴎外」「冷ややっこの漱石・テリーヌの鴎外」など、一対の回答を作るプロセスで新たな関係性を発見していく。

 

 今回のお題は「ラグビー・サッカー」。制限時間5分で出来上がった回答の一つは「ハカのラグビー・国歌のサッカー」。試合前後の式で結びつけ情報の切り口をあわせ、語尾を「カ」で揃え表現を整えた。

 

 編集とは新たな関係を発見していくこと。新しい関係を見出すことでイメージの幅を広げていくことができるのだ。

 

 

 今期ラストとなるエディットツアーは、10月12日(土) 14:00〜16:00に開催。詳しくはこちらへ。

 

 

  • 後藤由加里

    編集的先達:石内都
    NARASIA、DONDENといったプロジェクト、イシスでは師範に感門司会と多岐に渡って活躍する編集プレイヤー。フレディー・マーキュリーを愛し、編集学校のグレタ・ガルボを目指す。倶楽部撮家として、ISIS編集学校Instagram(@isis_editschool)更新中!

コメント

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山田細香

2025-06-22

 小学校に入ってすぐにレゴを買ってもらい、ハマった。手持ちのブロックを色や形ごとに袋分けすることから始まり、形をイメージしながら袋に手を入れ、ガラガラかき回しながらパーツを選んで組み立てる。完成したら夕方4時からNHKで放送される世界各国の風景映像の前にかざし、クルクル方向を変えて眺めてから壊す。バラバラになった部品をまた分ける。この繰り返しが楽しくてたまらなかった。
 ブロックはグリッドが決まっているので繊細な表現をするのは難しい。だからイメージしたモノをまず略図化する必要がある。近くから遠くから眺めてみて、作りたい形のアウトラインを決める。これが上手くいかないと、「らしさ」は浮かび上がってこない。

堀江純一

2025-06-20

石川淳といえば、同姓同名のマンガ家に、いしかわじゅん、という人がいますが、彼にはちょっとした笑い話があります。
ある時、いしかわ氏の口座に心当たりのない振り込みがあった。しばらくして出版社から連絡が…。
「文学者の石川淳先生の原稿料を、間違えて、いしかわ先生のところに振り込んでしまいました!!」
振り込み返してくれと言われてその通りにしたそうですが、「間違えた先がオレだったからよかったけど、反対だったらどうしてたんだろうね」と笑い話にされてました。(マンガ家いしかわじゅんについては「マンガのスコア」吾妻ひでお回、安彦良和回などをご参照のこと)

ところで石川淳と聞くと、本格的な大文豪といった感じで、なんとなく近寄りがたい気がしませんか。しかし意外に洒脱な文体はリーダビリティが高く、物語の運びもエンタメ心にあふれています。「山桜」は幕切れも鮮やかな幻想譚。「鷹」は愛煙家必読のマジックリアリズム。「前身」は石川淳に意外なギャグセンスがあることを知らしめる抱腹絶倒の爆笑譚。是非ご一読を。

川邊透

2025-06-17

私たちを取り巻く世界、私たちが感じる世界を相対化し、ふんわふわな気持ちにさせてくれるエピソード、楽しく拝聴しました。

虫に因むお話がたくさん出てきましたね。
イモムシが蛹~蝶に変態する瀬戸際の心象とはどういうものなのか、確かに、気になってしようがありません。
チョウや蚊のように、指先で味を感じられるようになったとしたら、私たちのグルメ生活はいったいどんな衣替えをするのでしょう。

虫たちの「カラダセンサー」のあれこれが少しでも気になった方には、ロンドン大学教授(感覚・行動生態学)ラース・チットカ著『ハチは心をもっている』がオススメです。
(カモノハシが圧力場、電場のようなものを感じているというお話がありましたが、)身近なハチたちが、あのコンパクトな体の中に隠し持っている、電場、地場、偏光等々を感じ取るしくみについて、科学的検証の苦労話などにもニンマリしつつ、遠く深く知ることができます。
で、タイトルが示すように、読み進むうちに、ハチにまつわるトンデモ話は感覚ワールド界隈に留まらず、私たちの「心」を相対化し、「意識」を優しく包み込んで無重力宇宙に置き去りにしてしまいます。
ぜひ、めくるめく昆虫沼の一端を覗き見してみてください。

おかわり旬感本
(6)『ハチは心をもっている』ラース・チットカ(著)今西康子(訳)みすず書房 2025