指南とはそもそもどういうものだろう? 回答を送る学衆と指南を手渡す師範代はどのような関係なのだろうか?
そうした問いから始まった森由佳[守]師範は、第149回伝習座で師範代の構えを語った。
道に迷わないために南を示すという、中国の「指南車」が起源と示しつつこう続けた。
「学衆がお客さんで師範代は人力車なのか? そうではない。
また、師範代の力だけで南につくかというとそうでもなく、学衆は回答を繰り返すだけで動く電気自動車でもない。
つまり、学衆の力だけでも、師範代の力だけでもない。」
すると、学衆をいいかえるとどうなるだろう。
「学衆は車輪かな。自分で進まないといけないから。
ただ、車輪だけで動かないからエンジンが必要。
それは編集学校の仕組みそのもの。あるいは教室、問感応答返、先達が積み重ねた指南事例。
何よりその真ん中に松岡校長という超強力なエンジンがある。」
では、編集エンジンがあるだけでいいのか。そんな中で注意が必要なことがある。
「編集の力を直接車輪に伝えると動かなくなる。
だからその間にギア(歯車)が必要になる。
編集エンジンの動力を伝えるのが師範代なんじゃないかな。」
学衆は車輪、師範代がギア、車を動かすのが編集力。
「ギアにも色々ある。
ハイギアは高速道路や番ボーに。学衆を乗せていける。
だが、山道や手強いお題には、ローギアでじっくり時間をかけて登っていくことも必要。
38番のお題をいかに全部やっていけるように学衆さんの車輪を回して、編集エンジンをうまく伝えていくのが師範代の役割です。
ぜひたくさんのギアを持ち替えて、ギアチェンジしながら頑張ってください!」
と締めくくった。
上杉公志
編集的先達:パウル・ヒンデミット。前衛音楽の作編曲家で、感門のBGMも手がける。誠実が服をきたような人柄でMr.Honestyと呼ばれる。イシスを代表する細マッチョでトライアスロン出場を目指す。エディスト編集部メンバー。
2022年7月最終日。東京豪徳寺へ向かう道すがら、炎天下のアスファルトに陽炎が立つ。いつもの景色がぐらりとゆらぐ。同じ情報も、条件や見方によって、いかようにも動かせことを実感する。 輪読座「湯川秀樹を読む」 […]
型を伝える師範代が「乱世の現代」に求められている理由【37[花]敢談儀】
全国的な通信障害、参院選中の銃撃事件。桜島は噴火をはじめ、コロナの波が急速に再び押し寄せる。 あたり前の常識は崩れ、「まさかないだろう」と思っていたことが現実になってしまう。日々の買い物でさえ、物価高が財布にチクチク針を […]
佐藤優が語る、「大きなナラティブ」に流されずにロシア・ウクライナ情勢を読む方法【ISIS FESTA SP速報】
2022年7月22日のISIS FESTA SPイベント「『情歴21』を読む」の開催に先立ち、ゲストの佐藤優さんは事前読書として次の五冊の課題本を参加者へ差し出していた。 (1)『ウクライナ戦 […]
「反観合一」という方法で湯川秀樹を共読する【輪読座 第3輪】
「江戸時代の科学」「日本の科学百年」「空海の世界の構造と広がり」。 どれも湯川秀樹の著作タイトルである。湯川の「科学観」はこのタイトルにもありありとあらわれている。既存のステレオタイプな「科学」の概念の枠組 […]
次の舞台は宇宙へ!「日本のインターネットの父」が語る、インターネットの過去と未来【ISIS FESTA SP速報】
「インターネットが普及すると、ものごとは今までの10倍のスピードになる」 この表現は、比喩でも誇張でも、ましてや幻想でもない。実際に起こったことであり、わたしたちが今まさに体験していることである。 &nbs […]