あべこべで、ちぐはぐな世界のなかで 44[破]開講!

2020/04/20(月)22:03
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 一番乗りのタイムスタンプは、11:51。半七アセット教室に、最初の回答が飛び込んできた。44[破]の開講は、2020年4月20日正午ごろと告知されていたが、門前で待ってくれていたのがわかる。前日にあらかじめ出題されていた00番セルフプロフィールは、けっこう手間のかかる自己紹介お題なのだが、ひさしぶりの稽古にまっすぐ取り組んでくれたようだ。

 

 冒頭の挨拶には「コロナで外出もできない生活ですが、脳内だけは自由でいたいと思います。」とある。そうそう、師範代も師範もみな同じ気持ちだ。二番手の回答は、バニー注進蔵教室、12:03「いよいよ「破」が開講し、嬉しさのあまり、回答開始がお昼だったことを忘れて、昨晩、ドキドキしながら回答に取り掛かってしまいました(笑) コロナの影響もあり、なかなか思うように外出できない日々ですが、編集をはじめ、頭の中だけは、どこまでも自由だな~と物思いに耽る日々を過ごしています。」

 

 期せずして、2人の学衆がアタマの中は自由だ、とメッセージしている。千夜千冊で紹介されているJ.G.バラードの言葉「ねえ、松岡さん、地球上に残されている最後の資源は想像力ですよ、そう思いませんか」が浮かぶ。松岡校長が、想像力を触発(リリース)するために考えた稽古、それをするのがイシス編集学校なのだ。

 

 [守]を卒門した学衆は、わかっているはずだ。「型」や「方法」を意識的に取り入れることで、自由に想像力を使うことができるのだと。 非日常が日常化してしまった、あべこべでちぐはぐな世界にあって、想像力こそが生き抜くエネルギーとなる。さあ、イメージを言葉にしてみよう! そこに思いがけない、あたらしい未知のわたしがあらわれてくる。

 

バラードの言葉 1540夜 キエラン・イーガン『想像力を触発する教育』より

  • 原田淳子

    編集的先達:若桑みどり。姿勢が良すぎる、筋が通りすぎている破二代目学匠。優雅な音楽や舞台には恋慕を、高貴な文章や言葉に敬意を。かつて仕事で世にでる新刊すべてに目を通していた言語明晰な編集目利き。

コメント

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川邊透

2025-07-01

発声の先達、赤ん坊や虫や鳥に憑依してボイトレしたくなりました。
写真は、お尻フリフリしながら演奏する全身楽器のミンミンゼミ。思いがけず季節に先を越されたセミの幼虫たちも、そろそろ地表に出てくる頃ですね。

川邊透

2025-06-30

エディストの検索窓に「イモムシ」と打ってみたら、サムネイルにイモムシが登場しているこちらの記事に行き当たりました。
家庭菜園の野菜に引き寄せられてやって来る「マレビト」害虫たちとの攻防を、確かな観察眼で描いておられます。
せっかくなので登場しているイモムシたちの素性をご紹介しますと、アイキャッチ画像のサトイモにとまる「夜行列車」はセスジスズメ(スズメガ科)中齢幼虫、「少し枯れたナガイモの葉にそっくり」なのは、きっと、キイロスズメ(同科)の褐色型終齢幼虫です。
 
添付写真は、文中で目の敵にされているヨトウムシ(種名ヨトウガ(ヤガ科)の幼虫の俗称)ですが、エンドウ、ネギどころか、有毒のクンシラン(キョウチクトウ科)の分厚い葉をもりもり食べていて驚きました。なんと逞しいことでしょう。そして・・・ 何と可愛らしいことでしょう!
イモムシでもゴキブリでもヌスビトハギでもパンにはえた青カビでも何でもいいのですが、ヴィランなものたちのどれかに、一度、スマホレンズを向けてみてください。「この癪に触る生き物をなるべく魅力的に撮ってやろう」と企みながら。すると、不思議なことに、たちまち心の軸が傾き始めて、スキもキライも混沌としてしまいますよ。
 
エディスト・アーカイブは、未知のお宝が無限に眠る別銀河。ワードさばきひとつでお宝候補をプレゼンしてくれる検索窓は、エディスト界の「どこでもドア」的存在ですね。

堀江純一

2025-06-28

ものづくりにからめて、最近刊行されたマンガ作品を一つご紹介。
山本棗『透鏡の先、きみが笑った』(秋田書店)
この作品の中で語られるのは眼鏡職人と音楽家。ともに制作(ボイエーシス)にかかわる人々だ。制作には技術(テクネ―)が伴う。それは自分との対話であると同時に、外部との対話でもある。
お客様はわがままだ。どんな矢が飛んでくるかわからない。ほんの小さな一言が大きな打撃になることもある。
深く傷ついた人の心を結果的に救ったのは、同じく技術に裏打ちされた信念を持つ者のみが発せられる言葉だった。たとえ分野は違えども、テクネ―に信を置く者だけが通じ合える世界があるのだ。