伝えたいことを伝えられる、という自由に向かって 46[守]師範代三谷和弘が擬く

2020/10/16(金)19:00
img JUSTedit

   …伝えたいことを、的確に伝える技術を身に着けた。「言いたいことを盛り込み過ぎて、何を言いたいのか分からなくなる」、「つまり、自分が強すぎた」という懸案事項が、解消したのでは。そして、文体模写はうまいですね。三谷師範代、なかなか器用ですな。

 

井ノ上(46[守]師範)から、三谷和弘(46[守]かりぐらジョジョ教室師範代)へメッセージが贈られた。46[守]開講前、「錬守」の完了間際だった。錬守では、師範代と師範は真剣勝負の手合わせをする。師範は師範代に対し、指南の応答速度も求める。個人的な事情は二の次だ。

 

24歳の三谷は、連想が飛び、言葉があふれている。 その過剰ぶりは、作成したフライヤー(ちらし)にも表れている。 連想もできない「つまらない大人」ではないが、師範代としては伝え方が大きな課題であった。

 

 

三谷が作成したフライヤー。情報が「ごちゃっ」と多い。

 

なにが三谷を変えたのか。

優秀な先人師範代の指南を参観し、擬く(もどく)方法によってだ。 三谷もつぎのように振り返る。  

 

 

    …参観教室を擬くことによって、いい意味で連想が減ったように思います。「何を評価するか」を擬くことによって、ブレがなくなりました。言い過ぎてはいないだろうかと、気にしなくて済むようになりました。

 

はからずも、「かりぐらジョジョ教室」の“かりぐら”とは、「擬き」を意味する。 「開講が待ち遠しい」と述べる三谷は、10月13日現在、嬉々として先人の指南を擬き、体にしみ込ませている。

 

            ―――――――――――

 

イシス編集学校第46期「守」コースは、2020年10月26日(月)に開講します。 現在、19人の師範代が学衆のみなさまとの邂逅を楽しみにしながら、鋭意準備中です。

 

コロナ禍が世界の様相を変えた現在、編集で世界をとらえ直してみてはいかがでしょうか。 とっておきの「編集稽古」、ぶっちぎりな「方法の学校」が、「かくべつな体験」へと誘います。 イシスの20周年を記念しての各種割引きサービスも用意しております。

 

詳しくは本講座ウェブサイト(https://es.isis.ne.jp/course/syu)をご覧ください。

  • 井ノ上シーザー

    編集的先達:グレゴリー・ベイトソン。湿度120%のDUSTライター。どんな些細なネタも、シーザーの熱視線で下世話なゴシップに仕立て上げる力量の持主。イシスの異端者もいまや未知奥連若頭、守番匠を担う。

コメント

1~3件/3件

山田細香

2025-06-22

 小学校に入ってすぐにレゴを買ってもらい、ハマった。手持ちのブロックを色や形ごとに袋分けすることから始まり、形をイメージしながら袋に手を入れ、ガラガラかき回しながらパーツを選んで組み立てる。完成したら夕方4時からNHKで放送される世界各国の風景映像の前にかざし、クルクル方向を変えて眺めてから壊す。バラバラになった部品をまた分ける。この繰り返しが楽しくてたまらなかった。
 ブロックはグリッドが決まっているので繊細な表現をするのは難しい。だからイメージしたモノをまず略図化する必要がある。近くから遠くから眺めてみて、作りたい形のアウトラインを決める。これが上手くいかないと、「らしさ」は浮かび上がってこない。

堀江純一

2025-06-20

石川淳といえば、同姓同名のマンガ家に、いしかわじゅん、という人がいますが、彼にはちょっとした笑い話があります。
ある時、いしかわ氏の口座に心当たりのない振り込みがあった。しばらくして出版社から連絡が…。
「文学者の石川淳先生の原稿料を、間違えて、いしかわ先生のところに振り込んでしまいました!!」
振り込み返してくれと言われてその通りにしたそうですが、「間違えた先がオレだったからよかったけど、反対だったらどうしてたんだろうね」と笑い話にされてました。(マンガ家いしかわじゅんについては「マンガのスコア」吾妻ひでお回、安彦良和回などをご参照のこと)

ところで石川淳と聞くと、本格的な大文豪といった感じで、なんとなく近寄りがたい気がしませんか。しかし意外に洒脱な文体はリーダビリティが高く、物語の運びもエンタメ心にあふれています。「山桜」は幕切れも鮮やかな幻想譚。「鷹」は愛煙家必読のマジックリアリズム。「前身」は石川淳に意外なギャグセンスがあることを知らしめる抱腹絶倒の爆笑譚。是非ご一読を。

川邊透

2025-06-17

私たちを取り巻く世界、私たちが感じる世界を相対化し、ふんわふわな気持ちにさせてくれるエピソード、楽しく拝聴しました。

虫に因むお話がたくさん出てきましたね。
イモムシが蛹~蝶に変態する瀬戸際の心象とはどういうものなのか、確かに、気になってしようがありません。
チョウや蚊のように、指先で味を感じられるようになったとしたら、私たちのグルメ生活はいったいどんな衣替えをするのでしょう。

虫たちの「カラダセンサー」のあれこれが少しでも気になった方には、ロンドン大学教授(感覚・行動生態学)ラース・チットカ著『ハチは心をもっている』がオススメです。
(カモノハシが圧力場、電場のようなものを感じているというお話がありましたが、)身近なハチたちが、あのコンパクトな体の中に隠し持っている、電場、地場、偏光等々を感じ取るしくみについて、科学的検証の苦労話などにもニンマリしつつ、遠く深く知ることができます。
で、タイトルが示すように、読み進むうちに、ハチにまつわるトンデモ話は感覚ワールド界隈に留まらず、私たちの「心」を相対化し、「意識」を優しく包み込んで無重力宇宙に置き去りにしてしまいます。
ぜひ、めくるめく昆虫沼の一端を覗き見してみてください。

おかわり旬感本
(6)『ハチは心をもっている』ラース・チットカ(著)今西康子(訳)みすず書房 2025