ルーティンを脱し、創発へ。48[守]速修コース締切迫る

2021/11/06(土)22:30
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学びの方法は一つではない。
 
グレゴリー・ベイトソンの提唱するものの一つに「学習の3段階」がある。学習Ⅰは「反復と報酬による学習」、学習Ⅱは「再学習(学習することを学習する)」、学習Ⅲは「創発的な学習」と階層構造でとらえる見方である。
 
英語の学習を例にとると、学習Ⅰは単語や文法をそのまま記憶する。学習Ⅱでは接頭語や接尾語で関係づける、文型で分類するなど、英語の「学習のやり方」を学習していく。
 
このように、学習Ⅱは、学習Ⅰの理解を深める意味でも有効だが、時としてわたしたちの行動パターンを固定化し、新たな可能性や価値想像を妨げてしまう側面もある。「思考が固まった状態」「考え方に癖がついて変えにくい状態」などが該当する。もしあなたがSNSの着信に反射的に行動したり、オンラインで表示されるおすすめ商品にばかり選択を委ねているのだとしたら、相当深刻な状況かもしれない。
 
一方、イシス編集学校の学びは「学習Ⅲ」を重視している。学習Ⅱのような「学び方」や「思考プロセス」そのものを変化させるための学びであり、編集力を高め、創発を起こしていく学習スタイルである。入門コースである[守]では「38の編集稽古」をベースに、「お題・回答・指南」「問感応答返」といったイシス流の学びのシステムを通じて、創発的な学習が次々に起こっている。
 
松岡校長は、前述のベイトソンの千夜千冊『精神の生態学』で、学習Ⅲの特徴を次のように記しているが、イシス編集学校の学びは外部からの異質な情報を編集し、「創発を生むシステム」そのものと言えるだろう。
 
学習する集団や要素の関係に外部から異質な導入作用が入りこんできて、それが新たなシステムに相補的にはたらいて創発(emergence)を生み、集団と要素の相互関係のパターン自体が主因となって新たな変移をおこしていく
 
現在募集中の速修コースでは、受講生は通常コースよりも1ヶ月短い約3ヶ月で38のお題に取り組んでいく。そのため一つひとつのお題の間隔がよりコンスタントになり、言い換えれば、日常をより濃密な「学習Ⅲ」状態で過ごせるようになる。
 
速修コースの定員は30名。締切は11月15日(月)。
詳細が気になる方は、オンライン無料編集稽古体験や、無料学校説明会へ。

 

 

■速修コースの詳細・申込

 ・第48期[守]基本コース

  応募締切:2021年11月15日(月)
  稽古期間:2021年11月22日(月)~2022年2月13日(日)

 

■直接話を聞きたい方はこちら

 ・無料学校説明会(オンライン)

  2021年11月7日(日)14:00 – 15:30

  →「イシス編集学校で学べること」「編集稽古や教室のしくみ」などの説明のほか、Q&Aも設けています。当日の申込も歓迎します。

 

■編集稽古を体験したい方はこちら

 ・編集力チェック(オンライン・24時間受付・無料)

  →イシス編集学校の「お題」を体験できます。所要時間は数分。

   編集学校で実際にコーチをつとめる〈師範代〉から「指南メール」が届きます。

  • 上杉公志

    編集的先達:パウル・ヒンデミット。前衛音楽の作編曲家で、感門のBGMも手がける。誠実が服をきたような人柄でMr.Honestyと呼ばれる。イシスを代表する細マッチョでトライアスロン出場を目指す。エディスト編集部メンバー。

コメント

1~3件/3件

山田細香

2025-06-22

 小学校に入ってすぐにレゴを買ってもらい、ハマった。手持ちのブロックを色や形ごとに袋分けすることから始まり、形をイメージしながら袋に手を入れ、ガラガラかき回しながらパーツを選んで組み立てる。完成したら夕方4時からNHKで放送される世界各国の風景映像の前にかざし、クルクル方向を変えて眺めてから壊す。バラバラになった部品をまた分ける。この繰り返しが楽しくてたまらなかった。
 ブロックはグリッドが決まっているので繊細な表現をするのは難しい。だからイメージしたモノをまず略図化する必要がある。近くから遠くから眺めてみて、作りたい形のアウトラインを決める。これが上手くいかないと、「らしさ」は浮かび上がってこない。

堀江純一

2025-06-20

石川淳といえば、同姓同名のマンガ家に、いしかわじゅん、という人がいますが、彼にはちょっとした笑い話があります。
ある時、いしかわ氏の口座に心当たりのない振り込みがあった。しばらくして出版社から連絡が…。
「文学者の石川淳先生の原稿料を、間違えて、いしかわ先生のところに振り込んでしまいました!!」
振り込み返してくれと言われてその通りにしたそうですが、「間違えた先がオレだったからよかったけど、反対だったらどうしてたんだろうね」と笑い話にされてました。(マンガ家いしかわじゅんについては「マンガのスコア」吾妻ひでお回、安彦良和回などをご参照のこと)

ところで石川淳と聞くと、本格的な大文豪といった感じで、なんとなく近寄りがたい気がしませんか。しかし意外に洒脱な文体はリーダビリティが高く、物語の運びもエンタメ心にあふれています。「山桜」は幕切れも鮮やかな幻想譚。「鷹」は愛煙家必読のマジックリアリズム。「前身」は石川淳に意外なギャグセンスがあることを知らしめる抱腹絶倒の爆笑譚。是非ご一読を。

川邊透

2025-06-17

私たちを取り巻く世界、私たちが感じる世界を相対化し、ふんわふわな気持ちにさせてくれるエピソード、楽しく拝聴しました。

虫に因むお話がたくさん出てきましたね。
イモムシが蛹~蝶に変態する瀬戸際の心象とはどういうものなのか、確かに、気になってしようがありません。
チョウや蚊のように、指先で味を感じられるようになったとしたら、私たちのグルメ生活はいったいどんな衣替えをするのでしょう。

虫たちの「カラダセンサー」のあれこれが少しでも気になった方には、ロンドン大学教授(感覚・行動生態学)ラース・チットカ著『ハチは心をもっている』がオススメです。
(カモノハシが圧力場、電場のようなものを感じているというお話がありましたが、)身近なハチたちが、あのコンパクトな体の中に隠し持っている、電場、地場、偏光等々を感じ取るしくみについて、科学的検証の苦労話などにもニンマリしつつ、遠く深く知ることができます。
で、タイトルが示すように、読み進むうちに、ハチにまつわるトンデモ話は感覚ワールド界隈に留まらず、私たちの「心」を相対化し、「意識」を優しく包み込んで無重力宇宙に置き去りにしてしまいます。
ぜひ、めくるめく昆虫沼の一端を覗き見してみてください。

おかわり旬感本
(6)『ハチは心をもっている』ラース・チットカ(著)今西康子(訳)みすず書房 2025