巣の入口に集結して、何やら相談中のニホンミツバチたち。言葉はなくても、ダンスや触れ合いやそれに基づく現場探索の積み重ねによって、短時間で最良の意思決定に辿り着く。人間はどこで間違ってしまったのだろう。
世の中に「〆切」というものがなかったら、いま存在する本は、半分くらいの量だったかもしれない。それくらい〆切の威力は大きい。本日11月13日(日)18:00、49[破]第1回アリスとテレス賞「セイゴオ知文術」のエントリーが締め切られた。
その刻限目指して加速し、ラストスパートを駆け抜ける、いや書き抜ける興奮をはじめて味わった学衆も多いだろう。その加速と集中のなかで、いままで動かなかった思考が進む、別の次元へ向かう時がくるのだ。編集学校に「〆切は編集エンジン」という言葉がある。『〆切本』にあるように、それはつらく苦しい瀬戸際であるが、相転移を起こし、別様を生み出す装置でもあるのだ。
10教室・学衆67名中、エントリーしたのは59名だった。赤ラン十徳教室、まんなか有事教室、ちちろ夕然教室は全員エントリーを果たした。おめでとう!!
選評委員(木村久美子月匠、[破]の師範、番匠、評匠、学匠)は、それぞれ全エントリー創文を読んで選評会議に臨む。結果発表は、12月上旬。全エントリー作品に講評がつく。
さて、気になるのは、今期、大幅に入れ替えた課題本の人気ランキングである。トップは2つ、『数学する身体』『地球にちりばめられて』
が各12点。次に『虫と歌 市川春子作品集』が7点。マンガだけれどそう簡単に人を寄せ付けない雰囲気かもしれない。『生命誌とは何か』『フラジャイル』が各6点、『悪童日記』が5点、『あなたの人生の物語 』『椿の海の記』が各4点、『東京プリズン』が3点であった。『文字逍遥』でのエントリーがなかったのは残念だ。白川静先生ごめんなさい。
驚いたのは、『数学する身体』森田真生が、多和田葉子とならんでの1位だったこと。数学大好き、という人は少数派だと思っていたが、みんな実は数学に憧れているのか? 「身体」をとおして数学するという関係の引き方には、数学が苦手でも大丈夫かなと思わせるものがある。エントリー作品に、学衆たちの数学への想いがどのように溢れているか、じっくり読んでゆく。
原田淳子
編集的先達:若桑みどり。姿勢が良すぎる、筋が通りすぎている破二代目学匠。優雅な音楽や舞台には恋慕を、高貴な文章や言葉に敬意を。かつて仕事で世にでる新刊すべてに目を通していた言語明晰な編集目利き。
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