仲間と一緒に組み立てる編集稽古―49[守]

2022/05/24(火)05:42
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 「ラベルの付け方を再考してみました」「師範代に再チャレンジしても良いとのお言葉をいただきましたので」と007番で初の再回答が八段プラモデル教室に届いた。守稽古の007番は「ラベリング・トラベリング」。40種類の食材に自由な分類軸を立て「2つ」と「3つ」に分類してみる稽古だ。学衆たちは四苦八苦して分類軸を見つけて回答するが、あれでよかったのだろうかと後ろ髪を引かれるお題である。
 遠慮がちな再回答に、八段プラモデル教室師範代の小松原一樹は、歓喜と共に早速再指南を届けた。と同時に、学衆の一人から「こういうふうに考え直すといいんだあと学びました。すごいです。ありがとうございました。」と喝采があがった。

 

 教室という場で起きるあらゆることが、集った面々の体験となる。師範代が一人の学衆に放つ指南は、教室の全員への指南であり、一人の学衆によって放たれたどんな言葉も、教室全員の学びとなっていく。

「Hさんのお稽古がすばらしいです!わーこんなにいろいろ!と、

 驚きでした。」

 

「前回のお題はとても勉強になりました。わからないこと、とか、

 これから考えてみたいこととか、そういうものとの出会いは

 いいですね。」

 

「他の方の回答を拝見して、私の頭の中にはない分類軸だったので

 人が出るなあと改めて思いました。」

 回答と共に感想の交わし合いと再チャレンジが止まらない。異なるバックグラウンド背負って、教室に集った学衆たちの境目がなくなり、新しい輪が出来上がる様は、まるで夏祭りの盆踊りのようだ。

 

 奇しくも49[守]は、講座全体で盛り上がるお祭り、番ボーに差しかかっている。小松原師範代の「祭りだ!祭りだぁ!」の声に焚きつけられて、学衆たちは喜び勇んで彩回答へと向かっていく。

  • 阿曽祐子

    編集的先達:小熊英二。ふわふわと漂うようなつかみどころのなさと骨太の行動力と冒険心。相矛盾する異星人ぽさは5つの小中に通った少女時代に培われた。今も比叡山と空を眺めながら街を歩き回っているらしい。 「阿曽祐子の編集力チェック」受付中 https://qe.isis.ne.jp/index/aso

コメント

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川邊透

2025-06-30

エディストの検索窓に「イモムシ」と打ってみたら、サムネイルにイモムシが登場しているこちらの記事に行き当たりました。
家庭菜園の野菜に引き寄せられてやって来る「マレビト」害虫たちとの攻防を、確かな観察眼で描いておられます。
せっかくなので登場しているイモムシたちの素性をご紹介しますと、アイキャッチ画像のサトイモにとまる「夜行列車」はセスジスズメ(スズメガ科)中齢幼虫、「少し枯れたナガイモの葉にそっくり」なのは、きっと、キイロスズメ(同科)の褐色型終齢幼虫です。
 
添付写真は、文中で目の敵にされているヨトウムシ(種名ヨトウガ(ヤガ科)の幼虫の俗称)ですが、エンドウ、ネギどころか、有毒のクンシラン(キョウチクトウ科)の分厚い葉をもりもり食べていて驚きました。なんと逞しいことでしょう。そして・・・ 何と可愛らしいことでしょう!
イモムシでもゴキブリでもヌスビトハギでもパンにはえた青カビでも何でもいいのですが、ヴィランなものたちのどれかに、一度、スマホレンズを向けてみてください。「この癪に触る生き物をなるべく魅力的に撮ってやろう」と企みながら。すると、不思議なことに、たちまち心の軸が傾き始めて、スキもキライも混沌としてしまいますよ。
 
エディスト・アーカイブは、未知のお宝が無限に眠る別銀河。ワードさばきひとつでお宝候補をプレゼンしてくれる検索窓は、エディスト界の「どこでもドア」的存在ですね。

堀江純一

2025-06-28

ものづくりにからめて、最近刊行されたマンガ作品を一つご紹介。
山本棗『透鏡の先、きみが笑った』(秋田書店)
この作品の中で語られるのは眼鏡職人と音楽家。ともに制作(ボイエーシス)にかかわる人々だ。制作には技術(テクネ―)が伴う。それは自分との対話であると同時に、外部との対話でもある。
お客様はわがままだ。どんな矢が飛んでくるかわからない。ほんの小さな一言が大きな打撃になることもある。
深く傷ついた人の心を結果的に救ったのは、同じく技術に裏打ちされた信念を持つ者のみが発せられる言葉だった。たとえ分野は違えども、テクネ―に信を置く者だけが通じ合える世界があるのだ。

山田細香

2025-06-22

 小学校に入ってすぐにレゴを買ってもらい、ハマった。手持ちのブロックを色や形ごとに袋分けすることから始まり、形をイメージしながら袋に手を入れ、ガラガラかき回しながらパーツを選んで組み立てる。完成したら夕方4時からNHKで放送される世界各国の風景映像の前にかざし、クルクル方向を変えて眺めてから壊す。バラバラになった部品をまた分ける。この繰り返しが楽しくてたまらなかった。
 ブロックはグリッドが決まっているので繊細な表現をするのは難しい。だからイメージしたモノをまず略図化する必要がある。近くから遠くから眺めてみて、作りたい形のアウトラインを決める。これが上手くいかないと、「らしさ」は浮かび上がってこない。