「日に夜を継いで、夜に日を継ぐ」2週間だった。ほうき・はさみ・フィギュアをテーマにしたハイパーなミュージアムのプランとプレゼンテーションを練り上げながら、3教室の学衆と師範代は激走した。
[破]の編集稽古の総決算でもある「プランニング編集術」。ここで仕上げられた49破10教室の全プランの中から、特に輝く3作品のプランとプレゼンテーションが披露される破のクライマックスシリーズ、それが「P1グランプリ」だ。
ダメ出しから立ち上がり、寝不足も乗り越えた激走の果てに、3人の審査員から2票を得て、第5回を迎えたP1グランプリを制したのは、はさみをテーマにした「破叉美有事庵」(はさみゅうじあん)だった。プランナーは「まんなか有事教室」学衆・宮田一宏。「はさみ×ミュージアム」から名付けた「破叉美有事庵」館長を宮田が、主任学芸員を同教室学衆・飯田泰興が擬いて、プレゼンテーションを行った。登壇したのは限られたメンバーだったが、出場が決まってから「まんなか有事教室」が一致団結して勝ち取った優勝だった。
審査員の松田、山田の2票を得て優勝した「破叉美有事庵」。審査員・山田細香は、自身が仕事で使うカッターと対比して、鋏には摩擦があるからこそ周囲に変化をもたらすことに触れて、評価した。
グランプリに輝いた「まんなか有事教室」には、審査員・松田行正から、著書の『アート&デザイン表現史 1800s-2000s』が、共に激走した参加者にはイシスキャラメルが贈られた。
もっと直球に「UXミュージアムでも良かった」とネーミングにさらなるディレクションを寄せる松田行正審査員。
米田奈穂
編集的先達:穂村弘。滋賀県長浜出身で、伝統芸能を愛する大学図書館司書。教室名の「あやつり近江」は文楽と郷土からとられた。ワークショップの構成力に持ち前の論理構築力を発揮する。
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