【このエディションフェアがすごい!01】ブックファースト新宿店

2021/06/02(水)13:36
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 2021年5月22日(土)、ブックファースト新宿店で「千夜千冊エディション20冊突破記念フェア」が始まりました。フェア第1号・ブックファースト新宿店の【このエディションフェアがすごい!】をお届けします。

 

写真中央がモード学園コクーンタワー。この地下にブックファースト新宿店があります。

 

 ブックファースト新宿店は、新宿西口徒歩3分、東京都庁へと抜ける新宿西口地下道の途中にあります。東京に暮らす方なら一度は通ったことがある、あの地下道です。新宿西口で働く皆さんがオフィスの行き帰りに立ち寄る書店ですね。ちなみに、ブックファースト新宿店が入っているのは、不思議な楕円形のビルでお馴染みのモード学園コクーンタワーです。

 

 

 フェア中は、松岡校長がどーんと写った三連ポスターが入口付近でお待ちかねですので、エディスト読者の皆さんが通り過ぎることは絶対にないでしょう。

 

 

 フェアの場所は、地下1階入口から入ってすぐの柱回りです。階段を上って正面ですから、見逃しようがありません。ブックファースト新宿店店長・南口真さんにお聞きしたところ、普段は新刊・話題書や手帳を配置している人気のゾーンだそうです。

 

 

 柱回り全面ですから、けっこう広いです。20冊に取り上げられている千夜千冊本を立体的に展開し、じっくりゆっくりと回遊していただくことを狙った棚作りになっています。20冊それぞれの本棚を用意していますから、しっかり見て回ったら、あっという間に30分や1時間くらい経ってしまうはずです。

 

 

 

 棚には、エディションごとの千夜千冊本や関連本が並んでいます。各エディションとキーブックには、千夜千冊の引用文が書かれたPOPもついています。また、千夜千冊本は絶版本も多いのですが、その場合は代替本を入れるといった工夫も凝らしています。南口さんは「二度、三度と来ると、また違った発見が得られる棚が完成しました」とおっしゃっていました。

 

 

 

 奥には、セイゴオ著作棚があります。出たばかりの『情報の歴史21』も平積みになっていますよ~。それから柱の裏側には、なんと大音冊匠がエディストで展開している「千悩千冊」がリアル世界に出張し、さまざまなお悩みに答えています。

 

 

 そうそう、フェアでしか買えない「千夜千冊エディション20冊突破記念冊子」も販売中です。

 

ブックファースト新宿店店長・南口真さん

 

 南口さんは、フェアの意図をこのように語ってくださいました。


 フェア企画のご相談をいただいて、率直に面白そうだと思いました。松丸本舗を知っていたので、松丸本舗のミニ版をイメージした企画だとすぐにわかりました。実は、最近のお客様は本の内容を重視する傾向があり、高価格帯の書籍の売れ行きが全体的に伸びています。今回のフェアはその流れにも沿っており、せっかくならできるだけ大きなスペースを使って大々的にやってみたい、と思ってつくりました。


 

「千夜千冊エディション」担当編集者・廣瀬暁春さん

 

 さらに、フェア企画者の一人でもある千夜千冊エディション担当編集者の廣瀬暁春さん(株式会社KADOKAWA)にもお話を伺えました。


 Web版の千夜千冊は膨大なので、ただ一つ、各千夜のあいだを伝う流れや文脈を自分で見出すのは容易ではありません。「千夜千冊エディション」は、松岡さんご自身が千夜千冊をあらためて並べ直し、文脈をつけ、俯瞰的な視野でつながりを眺められるように再編集してある点が、Web版と大きく違います。
 たとえば『サブカルズ』なら、アメリカ文化が「ヒップ・クール・ポップ」のサブカルチャーを生み出し、それが日本にやってきて、やがて「おたく」と「萌え」に変わっていった、という流れが一目瞭然です。「千夜千冊エディション」でなければ、これほど明確に文脈を読み取ることはなかなかできないだろうと思います。
 今回の「松岡正剛千夜千冊エディション20冊突破記念フェア」は、20冊分の文脈を物理的に可視化したものです。本の並びを眺め、手に取り、つながりを読み取っていくだけで、複雑な世界観も空間的に把握できる場になっています。ぜひお楽しみください。


 

 ブックファースト新宿店のフェアは、7月25日(日)までの約2カ月開催しています。新宿に行った際は、新宿西口まで足を伸ばし、一度、二度、いや何度でもフェアを覗いてくださいね。

 

 

こちらもあわせて読みたい

【千夜千冊エディションフェア特集①】先陣をきった新宿ブックファースト

 

  • 米川青馬

    編集的先達:フランツ・カフカ。ふだんはライター。号は云亭(うんてい)。趣味は観劇。最近は劇場だけでなく 区民農園にも通う。好物は納豆とスイーツ。道産子なので雪の日に傘はささない。

コメント

1~3件/3件

川邊透

2025-07-01

発声の先達、赤ん坊や虫や鳥に憑依してボイトレしたくなりました。
写真は、お尻フリフリしながら演奏する全身楽器のミンミンゼミ。思いがけず季節に先を越されたセミの幼虫たちも、そろそろ地表に出てくる頃ですね。

川邊透

2025-06-30

エディストの検索窓に「イモムシ」と打ってみたら、サムネイルにイモムシが登場しているこちらの記事に行き当たりました。
家庭菜園の野菜に引き寄せられてやって来る「マレビト」害虫たちとの攻防を、確かな観察眼で描いておられます。
せっかくなので登場しているイモムシたちの素性をご紹介しますと、アイキャッチ画像のサトイモにとまる「夜行列車」はセスジスズメ(スズメガ科)中齢幼虫、「少し枯れたナガイモの葉にそっくり」なのは、きっと、キイロスズメ(同科)の褐色型終齢幼虫です。
 
添付写真は、文中で目の敵にされているヨトウムシ(種名ヨトウガ(ヤガ科)の幼虫の俗称)ですが、エンドウ、ネギどころか、有毒のクンシラン(キョウチクトウ科)の分厚い葉をもりもり食べていて驚きました。なんと逞しいことでしょう。そして・・・ 何と可愛らしいことでしょう!
イモムシでもゴキブリでもヌスビトハギでもパンにはえた青カビでも何でもいいのですが、ヴィランなものたちのどれかに、一度、スマホレンズを向けてみてください。「この癪に触る生き物をなるべく魅力的に撮ってやろう」と企みながら。すると、不思議なことに、たちまち心の軸が傾き始めて、スキもキライも混沌としてしまいますよ。
 
エディスト・アーカイブは、未知のお宝が無限に眠る別銀河。ワードさばきひとつでお宝候補をプレゼンしてくれる検索窓は、エディスト界の「どこでもドア」的存在ですね。

堀江純一

2025-06-28

ものづくりにからめて、最近刊行されたマンガ作品を一つご紹介。
山本棗『透鏡の先、きみが笑った』(秋田書店)
この作品の中で語られるのは眼鏡職人と音楽家。ともに制作(ボイエーシス)にかかわる人々だ。制作には技術(テクネ―)が伴う。それは自分との対話であると同時に、外部との対話でもある。
お客様はわがままだ。どんな矢が飛んでくるかわからない。ほんの小さな一言が大きな打撃になることもある。
深く傷ついた人の心を結果的に救ったのは、同じく技術に裏打ちされた信念を持つ者のみが発せられる言葉だった。たとえ分野は違えども、テクネ―に信を置く者だけが通じ合える世界があるのだ。