【このエディションフェアがすごい!23】丸善 京都本店②

2021/07/14(水)13:00
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■ 京都の流儀で、本を売る

 

 開幕から3週間。丸善 京都本店の「千夜千冊エディション20冊突破記念フェア」が好調です。

 

「よく売れています。期待以上です」

 

 丸善 京都本店 副店長の橋本雄史さんは声を弾ませます。

 

 「エディション」シリーズ、関連書籍、松岡正剛著書、記念冊子、どれも売れ行き快調です。なかでも、今年4月に待望の再増補版として出版されたばかりの『情報の歴史21』は、店頭在庫がすべて出てしまい、現在入荷待ちになっているほど。


 とくに『芸と道』、『感ビジネス』、『面影日本』の棚が全般的に好評です。「エディション」シリーズはもちろん、関連書籍もよく選ばれています。実は、通常の文庫コーナーで展開しているときは、『サブカルズ』など身近なテーマが強い傾向がありました。売り場や魅せ方次第で手にとってもらえる本が変わることを実感しています。(橋本)


 

『感ビジネス』の棚は、現代人の問題意識を刺激する選書群。7月刊行の最新刊『資本主義問題』との相乗効果も楽しみです。

 

 

 橋本副店長は、神奈川、埼玉、大阪、名古屋と、各地の大型店舗を歴任してきました。「数字ばかり見てきた」という猛者だけに、数字が示す今回のフェアの成果に、手応えを確信しています。

 


 京都のお客様は、ご要望をストレートに言葉でおっしゃることが少ないです。他地域店舗に比べて、書店員に対する距離感や接し方も独特で、奥ゆかしいと言いますか。そのため、言語化されないニーズを汲み取り、潜在的な可能性も探りつつ、店頭に反映していくことがとくに大切になります。だからこそ、実際に「売れている」ということは、フェアや棚づくりへの最大の評価のあらわれとなります。(橋本)


 

 丸善 京都本店では、言葉以上に、選書や棚や本そのものが、お客様と書店員のコミュニケーションを媒介していると言えそうです。

 

エディション既刊20冊を中心とした松岡正剛著書コーナー。エディションシリーズの字紋をデザインしたフェア限定記念冊子(下段中央)は在庫僅か。

 

 

■ 常時10以上のフェアを同時開催

 

 京都の丸善の歴史は波乱万丈です。明治5年に丸屋善吉店京都支店として二条柳馬場に開設され、同12年にいったん閉店。明治40年に三条麩屋町に再開設した後、昭和に入って河原町蛸薬師へ移転、長らく京都市民の書庫として愛されてきました。2005(平成17)年に惜しまれつつ閉店しますが、10年を経て2015年に現在の京都BALに再オープン。京都では2020年に四条富小路のジュンク堂書店京都店が閉店しており、現在は界隈唯一の大型書店となっています。

 

 かつて河原町通りや寺町通りに数多くあった「街の本屋さん」も、すっかり姿を減らしました。一方で、小さな個性派書店が各所に増えてもおり、京都の本屋さん事情はなかなかに複雑です。

 

 それでも書店に足を運ぶ人が求めているのは「やはり本との出会いだと思います」と、文庫・新書担当の森川佳美さん。なかでも、少し意外性のある、思いがけない本との出会いが人を惹きつけるようだ、と森川さんは語ります。

 


 当店には、大小あわせて20以上のフェア棚があり、常時10以上のフェアを同時開催しています。たとえば「エディション」フェアの隣、B2Fエレベーター前のフェア棚では、7月1日からヤングアダルトフェアが始まりました。中高生向けとして出版される本の総称なのですが、大人には大人の味わい方ができる良書も多く、児童書という分類に留まらせるにはしのびないとかねがね思っていました。年初にフェアを開催したところ、これが大反響。今回リバイバル開催となったものです。(森川)


 

地下2階、エレベーターを降りると目の前が「ヤングアダルト」フェアコーナーです。

 

 

 それまで接点のなかった本だけに、新鮮な感動があったのかもしれません。今回の「エディション」フェアも含め、書店のフェアは、そうした出会いをより広げるいとぐち。

 


 いま、ウェブにも街にも情報や娯楽があふれています。そのなかで自分のための貴重な時間を何に使うかが問われていると考えると、本や書店のライバルは、ネット通販や同業他店よりも、もっと広い何かなのかもしれません。フェアというささやかな非日常が、来店された方が新たな世界と出会うきっかけの場になればと願っています。(森川)


 

 丸善 京都本店のエディションフェアは、7月31日(土)まで。7月16日には、21冊目となる最新エディション『資本主義問題』が発売になります。好評の購入者特典動画サービスも、同じく7月末まで。お見逃しなく!

 

※フェア期間中、全国の丸善およびジュンク堂書店と、千夜千冊エディションフェア開催書店では、「エディション」購入者全員に、丸善150周年記念講演「松岡正剛の千夜千冊の秘密」の動画にアクセスできるQRコードを特典サービスとして進呈しています。

 

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  • 福田容子

    編集的先達:森村泰昌。速度、質、量の三拍子が揃うのみならず、コンテンツへの方法的評価、厄介ごと引き受ける器量、お題をつくり場を動かす相互編集力をあわせもつ。編集学校に現れたラディカルなISIS的才能。松岡校長は「あと7人の福田容子が欲しい」と語る。