京都人の「ひさしぶり」は、ケタが違う。
「ひさしぶりに床下あけたら、防空壕が出てきましてん」
「祇園祭の曳山の鷹山さんな、しばらく“休み山”やったけど、196年ぶりに巡行に戻ってきはるえ」
「山名家と細川家がこないだ和睦したはったんやて。え、何ってほれ、応仁の乱で争うてはったやろ」
千年の都は、時間の流れもはんなりたおやか。みやこびとにとっては、先週も百年前もおなじく「こないだ」なのかもしれない。
◆気は長く、新しもん好き
かといって、伝統に縛られないのがたくましい京都人だ。彼らは、アグレッシブな「新しもん好き」でもある。パン&コーヒーの消費量が日本一。ラーメンは天下一品こってり派。祇園祭の山鉾をきらびやかに飾るのは、シルクロードからやってきた舶来のペルシャ絨毯。
新しもん好きで、気が長い。こんな気質の地では、2020年の祇園祭でも画期的な挑戦があった。疫病退散を祈願して、真言宗・寺院神泉苑と八坂神社とが協力し、神仏習合の御霊会を実現したのだ。実に明治の神仏分離令以来初めてのこと。
独自の新陳代謝で成り立っている京都。その根底にあるものは何なのか。
京都を知れば、日本もわかる。
◆京の茶室で稽古体験
8/23(日)午前、京都よりエディットツアーを開催する。
ナビゲーターは、京都在住25年の福田容子。編集学校では、[守][破]師範や[離]別番などを歴任する。その言葉は妖刀のごとき斬れ味で、あまたの袈裟斬り伝説がひそやかに語り継がれている。
本業は、まちづくりのプロ。
この夏、世界遺産・二条城からのライブ配信を実現させ、禁断の非公開エリアからも中継を行うなど、「史上初」の冠をほしいままにする凄腕プランナーでもある。
そんな福田、今回のオンラインツアーのロケ地選定にも余念がない。彼女が手配したのは、京都東山を借景とする日本庭園。比叡山を望む茶室を貸し切り、晩夏の京の風を感じてもらう仕立てだ。
1000年の歴史に肖る、90分の京都旅情。
うちもきばりますさかい、よろしゅうおたの申します。
【EX京都】
はんなり編集しはっておおきに祭 /福田容子、阿曽祐子、梅澤奈央
・日時:8月23日(日)10:30 〜 12:00
・参加費: 1,100円(税込)
・申し込み:https://shop.eel.co.jp/products/detail/239
今回のエディットツアーでは、京都の「気の長さ」を体感しつつ、時間の見え方が変わる編集稽古体験を行う。
100年、200年を柔軟に飛び越えられるのは、なぜなのか?
新奇なものを取り入れても「京都らしさ」が揺らがない秘訣とは?
ローカリティーを超えた京都の「方法」に迫る。
新しい歴史観や祇園祭のトリビア、さらにはいけずな京都人対策も身につくまたとない機会。お隣さんに「お嬢ちゃん、ピアノ上手にならはったなあ」と言われたら、なんと答える?
正解がわからないあなた、ぜひともツアーへおこしやす。
(「奇内花伝組」額撮影:木藤良沢)
梅澤奈央
編集的先達:平松洋子。ライティングよし、コミュニケーションよし、そして勇み足気味の突破力よし。イシスでも一二を争う負けん気の強さとしつこさで、講座のプロセスをメディア化するという開校以来20年手つかずだった難行を果たす。校長松岡正剛に「イシス初のジャーナリスト」と評された。
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