ホンキな会読 美味しい旬読【ツアー@軽井沢】

2021/03/05(金)08:00
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 ブロッコリー、レタス、セリに葉わさび・・・春を彩る瑞々しい野菜たち。

 「旬の食材」は味わうごとに、春夏秋冬と季節の変化を体感できる醍醐味があります。

 

 では、本には「旬」があるのでしょうか。
 ベストセラーや文学賞を受賞した作品がいわゆる「旬な本」?いえいえ、古典も新書もノンフィクションもどんな本だって、読む人がその気になればいつだって旬になります!

 いつか読もうと手に取りながら、どんどん山積みになっていく本、部屋の隅に埋もれさせて、見て見ぬふりをしている本はありませんか?

 積読(つんどく)を解消するひとつに、日本には古くから伝わる「会読(かいどく)」という読み方があります。これは江戸時代後期に広まったと言われているもので、グループを組んで共読しながら意見を交わし合う、いわば「読書会」のことを指します。藩校や私塾で多く採用されてきた、歴史あるコミュニケーション型の読書スタイルです。

 

 

                               
      

              

 

          『蘭学事始』の翻訳をめぐって、燭台の下で討論する杉田玄白、前野良沢、中川淳庵

                             (千夜千冊1661夜『江戸の読書会』より)

 今回、軽井沢エディットツアーでは「旬な会読」をテーマにグループを組んで、共読に挑戦します。日本全国、約250藩のなかで、建設当時からの建造物や藩校敷地が唯一残っているのが長野県。日本で「会読」の面影を色濃く残した地域です。

 

                                       長野県長野市 松代文武学校

 


 ワークを担当するのは、【多読ジム】コースで軽やかに共読をいざなう、浅羽登志也冊師と中原洋子冊師。「会読」に縁が深い地域、軽井沢在住のふたりが、とびきり美味しく、フレッシュな読書法を伝授します。読む機会を逃していた本も、誰かと共に「会読」することで、新しい発見が生まれるかもしれません。
 

 当日は、お家で眠っている積読本を1冊連れてご参加ください。


 参考:千夜千冊1661夜『江戸の読書会』前田勉/平凡社

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イシスフェスタオンラインツアー@軽井沢 
「さよなら積読ほんとの旬読」

2021年4月3日(土) 15:00~16:30  
■会場:Zoomを利用します。
お申込みの方に参加用URL、パスワードをお送りします。
■定員:12人
■料金:1100円(税込)
■インターアクター:浅羽登志也(師範/ガイアラボ代表)、
中原洋子(師範代/ジャズシンガー)
■申し込みはこちらから
■未読の新書を1冊ご用意ください。新書がお手元にない場合は、目次のある本をご用意ください。

  • 増岡麻子

    編集的先達:野沢尚。リビングデザインセンターOZONEでは展示に、情報工場では書評に編集力を活かす。趣味はぬか漬け。野望は菊地成孔を本楼DJに呼ぶ。惚れっぽく意固地なサーチスト。

コメント

1~3件/3件

山田細香

2025-06-22

 小学校に入ってすぐにレゴを買ってもらい、ハマった。手持ちのブロックを色や形ごとに袋分けすることから始まり、形をイメージしながら袋に手を入れ、ガラガラかき回しながらパーツを選んで組み立てる。完成したら夕方4時からNHKで放送される世界各国の風景映像の前にかざし、クルクル方向を変えて眺めてから壊す。バラバラになった部品をまた分ける。この繰り返しが楽しくてたまらなかった。
 ブロックはグリッドが決まっているので繊細な表現をするのは難しい。だからイメージしたモノをまず略図化する必要がある。近くから遠くから眺めてみて、作りたい形のアウトラインを決める。これが上手くいかないと、「らしさ」は浮かび上がってこない。

堀江純一

2025-06-20

石川淳といえば、同姓同名のマンガ家に、いしかわじゅん、という人がいますが、彼にはちょっとした笑い話があります。
ある時、いしかわ氏の口座に心当たりのない振り込みがあった。しばらくして出版社から連絡が…。
「文学者の石川淳先生の原稿料を、間違えて、いしかわ先生のところに振り込んでしまいました!!」
振り込み返してくれと言われてその通りにしたそうですが、「間違えた先がオレだったからよかったけど、反対だったらどうしてたんだろうね」と笑い話にされてました。(マンガ家いしかわじゅんについては「マンガのスコア」吾妻ひでお回、安彦良和回などをご参照のこと)

ところで石川淳と聞くと、本格的な大文豪といった感じで、なんとなく近寄りがたい気がしませんか。しかし意外に洒脱な文体はリーダビリティが高く、物語の運びもエンタメ心にあふれています。「山桜」は幕切れも鮮やかな幻想譚。「鷹」は愛煙家必読のマジックリアリズム。「前身」は石川淳に意外なギャグセンスがあることを知らしめる抱腹絶倒の爆笑譚。是非ご一読を。

川邊透

2025-06-17

私たちを取り巻く世界、私たちが感じる世界を相対化し、ふんわふわな気持ちにさせてくれるエピソード、楽しく拝聴しました。

虫に因むお話がたくさん出てきましたね。
イモムシが蛹~蝶に変態する瀬戸際の心象とはどういうものなのか、確かに、気になってしようがありません。
チョウや蚊のように、指先で味を感じられるようになったとしたら、私たちのグルメ生活はいったいどんな衣替えをするのでしょう。

虫たちの「カラダセンサー」のあれこれが少しでも気になった方には、ロンドン大学教授(感覚・行動生態学)ラース・チットカ著『ハチは心をもっている』がオススメです。
(カモノハシが圧力場、電場のようなものを感じているというお話がありましたが、)身近なハチたちが、あのコンパクトな体の中に隠し持っている、電場、地場、偏光等々を感じ取るしくみについて、科学的検証の苦労話などにもニンマリしつつ、遠く深く知ることができます。
で、タイトルが示すように、読み進むうちに、ハチにまつわるトンデモ話は感覚ワールド界隈に留まらず、私たちの「心」を相対化し、「意識」を優しく包み込んで無重力宇宙に置き去りにしてしまいます。
ぜひ、めくるめく昆虫沼の一端を覗き見してみてください。

おかわり旬感本
(6)『ハチは心をもっている』ラース・チットカ(著)今西康子(訳)みすず書房 2025