勇者求ム! 物語講座14綴、間もなく開講

2021/09/21(火)09:00
img JUSTedit

講座が冒険になった。

 

イシス編集学校の物語講座で開講以来はじめてのお題改編が行われ、お題の一つ「トリガー・ショット」が「トリガークエスト」に大きく変わる。

クエストとは、探索や冒険の旅といった意味を持つが、ここではゲーム用語の意味が用いられる。ゲームにおけるクリアすべき課題という意味だ。物語講座を立ち上げたゲームクリエイターの赤羽卓美綴師の姿が見え隠れする。

 

「トリガークエスト」では、物語を書いている叢衆(学衆)に師範からクエストが出題される。叢衆の創作の進行や内容に応じて出されるクエストは、叢衆が「その時」に必要なクエストだ。文叢(教室)の他の叢衆とは異なるクエストが出題される。

これはイシス編集学校ではじめてのことだ。同じお題に取り組みながら共読し学びを深める編集学校の仕組みの中で、物語を書くまでの稽古過程が異なる初の試み。しかも出題されるお題がどれなのかを、指南する師範代も知らないなんて!

 

新たなシステムとなるお題改編のチャレンジに取り組んだのは、物語講座の顔である赤羽綴師、講座への情熱あふれる小濱有紀子創師。そして、お題工学エースとして名高い米川青馬師範、語り巫女の後田彩乃師範代、物語王子こと宮前鉄也師範代。約1年にわたるお題改編の道のりでは、さらに多くのメンバーが果敢に取り組んできたが、最後の仕上げを引き受けたのはこの5人だった。

先日行われた第77回感門之盟で配られた新聞『Editor Ship』の紙面で、改編5人衆が物語講座の魅力をクロスレビューしている。改編猛者が感じている講座のチャームをぜひご一読いただきたい。

 

 

 

 いかがだろうか。書きたいものがあるから書くのではなく、偶然やってきたものからも物語を書く講座へ生まれ変わった物語講座。[守][破]の講座で学んだ方法論を実践する集大成の講座だ。方法のアイテムを手に、お題に立ち向かってほしい。

 

 そう。講座の真の勇者は、受講するあなたなのだ。

 

──────────────────────────────
[遊]技法研鑽コース 「物語講座」第14綴
https://es.isis.ne.jp/course/yu#story

■期間   :2021年10月11日(月)~2022年2月6日(日)
       ライブ稽古「蒐譚場」12月4日(土)
■資格   :突破以上
■プログラム:窯変三譚/トリガークエスト/編伝1910
■お申込み :https://shop.eel.co.jp/products/detail/305
※再受講割引あり。
──────────────────────────────

  • 衣笠純子

    編集的先達:モーリス・ラヴェル。劇団四季元団員で何を歌ってもミュージカルになる特技の持ち主。折れない編集メンタルと無尽蔵の編集体力、編集工学への使命感の三位一体を備える。オリエンタルな魅力で、なぜかイタリア人に愛される、らしい。

コメント

1~3件/3件

山田細香

2025-06-22

 小学校に入ってすぐにレゴを買ってもらい、ハマった。手持ちのブロックを色や形ごとに袋分けすることから始まり、形をイメージしながら袋に手を入れ、ガラガラかき回しながらパーツを選んで組み立てる。完成したら夕方4時からNHKで放送される世界各国の風景映像の前にかざし、クルクル方向を変えて眺めてから壊す。バラバラになった部品をまた分ける。この繰り返しが楽しくてたまらなかった。
 ブロックはグリッドが決まっているので繊細な表現をするのは難しい。だからイメージしたモノをまず略図化する必要がある。近くから遠くから眺めてみて、作りたい形のアウトラインを決める。これが上手くいかないと、「らしさ」は浮かび上がってこない。

堀江純一

2025-06-20

石川淳といえば、同姓同名のマンガ家に、いしかわじゅん、という人がいますが、彼にはちょっとした笑い話があります。
ある時、いしかわ氏の口座に心当たりのない振り込みがあった。しばらくして出版社から連絡が…。
「文学者の石川淳先生の原稿料を、間違えて、いしかわ先生のところに振り込んでしまいました!!」
振り込み返してくれと言われてその通りにしたそうですが、「間違えた先がオレだったからよかったけど、反対だったらどうしてたんだろうね」と笑い話にされてました。(マンガ家いしかわじゅんについては「マンガのスコア」吾妻ひでお回、安彦良和回などをご参照のこと)

ところで石川淳と聞くと、本格的な大文豪といった感じで、なんとなく近寄りがたい気がしませんか。しかし意外に洒脱な文体はリーダビリティが高く、物語の運びもエンタメ心にあふれています。「山桜」は幕切れも鮮やかな幻想譚。「鷹」は愛煙家必読のマジックリアリズム。「前身」は石川淳に意外なギャグセンスがあることを知らしめる抱腹絶倒の爆笑譚。是非ご一読を。

川邊透

2025-06-17

私たちを取り巻く世界、私たちが感じる世界を相対化し、ふんわふわな気持ちにさせてくれるエピソード、楽しく拝聴しました。

虫に因むお話がたくさん出てきましたね。
イモムシが蛹~蝶に変態する瀬戸際の心象とはどういうものなのか、確かに、気になってしようがありません。
チョウや蚊のように、指先で味を感じられるようになったとしたら、私たちのグルメ生活はいったいどんな衣替えをするのでしょう。

虫たちの「カラダセンサー」のあれこれが少しでも気になった方には、ロンドン大学教授(感覚・行動生態学)ラース・チットカ著『ハチは心をもっている』がオススメです。
(カモノハシが圧力場、電場のようなものを感じているというお話がありましたが、)身近なハチたちが、あのコンパクトな体の中に隠し持っている、電場、地場、偏光等々を感じ取るしくみについて、科学的検証の苦労話などにもニンマリしつつ、遠く深く知ることができます。
で、タイトルが示すように、読み進むうちに、ハチにまつわるトンデモ話は感覚ワールド界隈に留まらず、私たちの「心」を相対化し、「意識」を優しく包み込んで無重力宇宙に置き去りにしてしまいます。
ぜひ、めくるめく昆虫沼の一端を覗き見してみてください。

おかわり旬感本
(6)『ハチは心をもっている』ラース・チットカ(著)今西康子(訳)みすず書房 2025