この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

「編集は不足から生まれる」
編集工学で大事にしている言葉の一つだ。
不要不急の外出を避けるようにといわれ、多くの人が家から出ないようにしている。外出できない、人が集まることができないという「不足」の中で、イシス編集学校は「編集」を止めない。
編集したアウトプットの1つが「オンラインエディットツアー」だ。
豪徳寺ISIS館2階の学林堂では、4月5日もオンラインエディットツアーが開催された。
ツアーナビゲーターは上杉公志。前衛音楽の作編曲家でありながら、イシス編集学校の師範代。マイクの前で画面越しの参加者に語る姿は、まるでアナウンサー。
エディットツアーでは、編集とはどんなメソッドかを、ライブなワークショップをしながら体験する。編集がどのように発想や情報の扱い方を変えるのかをワークお題で体験できるのだ。
これまでは、豪徳寺ISIS館1階のブックサロン「本楼」に集まって行われていたが、オンラインエディットツアーはオンライン会議システムをつかって行われた。
画面の向こうは東京都世田谷区、名古屋、宮崎、そして台湾からも参加され、オンラインならではの顔ぶれが揃った。
Mr.Honestyと呼ばれる誠実な人柄に定評がある上杉は、各地の参加者に声がけをしつつ、編集ワークをもとに編集による可能性の広がりを示した。今、身近な話題を交えつつ、お題と回答の軽妙なやりとりに、参加者も自分にない見方を得る機会となっていた。
イシス編集学校はインターネット上で編集の学びを深めていく。
学ぶ場と同じオンラインで編集を体験できる「オンラインエディットツアー」はこの後も続いていく。
家にずっといることに変化をつけたいアナタ!まずオンラインエディットツアーに参加されてはいかがだろうか。
衣笠純子
編集的先達:モーリス・ラヴェル。劇団四季元団員で何を歌ってもミュージカルになる特技の持ち主。折れない編集メンタルと無尽蔵の編集体力、編集工学への使命感の三位一体を備える。オリエンタルな魅力で、なぜかイタリア人に愛される、らしい。
コメント
1~3件/3件
2025-06-10
この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。
2025-06-10
藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。
2025-06-06
音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。