【速報!!!!】大澤真幸賞発表 多読ジムSP「読了式」

2021/12/19(日)16:05 img
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只今開催真っ最中の多読ジムSPコース「大澤真幸を読む」の読了式で、冊匠賞、多読ボード賞、大澤真幸賞の受賞者が発表された。冊匠賞は大音美弥子冊匠、多読ボード賞は木村久美子月匠・吉村堅樹林頭・小倉加奈子析匠・金宗代代将、大澤真幸賞は大澤真幸さんがセレクターをつとめ、受賞者には各賞にちなんだ本が贈呈された。下記の受賞者三名の読創文は遊刊エディストで掲載される予定だ。

 


◆冊匠賞:林愛さん◆

時には母となり、父と母の子となり、『世界史の哲学』シリーズとダンスしながら、女が発見する「エディプス・コンプレックス」仮説に到達していきます。著者へのリスペクトをちりばめながら、最後はご自身がリスクを引き受ける肝の据わった読創文と拝見しました。
冊匠・大音美弥子

贈呈本:姜尚中『母(オモニ)』(集英社新書)、前田勉『江戸の読書会 会読の思想史』(平凡社ライブラリー)、北村紗衣『批評の教室 チョウのように読み、ハチのように書く』(ちくま新書)

 

 


◆多読ボード賞:猪貝克浩さん◆

もっとも「多読力」を感じさせる読創文でした。読書とは文字通り、「読む」と「書く」の一蓮托生。リプリゼンテーションが問われている。「こころの『小部屋』の奥底に、影を潜めているひとつの苦い思い出がある」から始まり、ヘッセの『デミアン』と自分の少年時代を重ねた、その冒頭にボードメンバー一同釘付けになりました。

代将・金宗代

贈呈本:『情報の歴史を読む』(NTT出版)

 

 


◆大澤真幸賞:梅澤光由さん◆

最も他者感の強い中世篇を選びながら、私の本にある考えと松岡正剛校長の考えを結びつけていくその結びつけ方がとても自然だった。「未来の他者」のために何を書けばいいのか。それは「未来」について書くのではなくて、いったん過去を経由しなくてならない。「未来の他者」への向き合い方も私ととてもシンクロしていた。『世界史の哲学』から「苗代という方法」への接続も面白かった。

大澤真幸

贈呈本:『ニーチェ全集9・10 ツァラトゥストラ 上・下』(ちくま文庫)

 

 

スライドデザイン:穂積晴明

  • 金 宗 代 QUIM JONG DAE

    編集的先達:宮崎滔天
    最年少《典離》以来、幻のNARASIA3、近大DONDEN、多読ジム、KADOKAWAエディットタウンと数々のプロジェクトを牽引。先鋭的な編集センスをもつエディスト副編集長。
    photo: yukari goto

コメント

1~3件/3件

川邊透

2025-07-01

発声の先達、赤ん坊や虫や鳥に憑依してボイトレしたくなりました。
写真は、お尻フリフリしながら演奏する全身楽器のミンミンゼミ。思いがけず季節に先を越されたセミの幼虫たちも、そろそろ地表に出てくる頃ですね。

川邊透

2025-06-30

エディストの検索窓に「イモムシ」と打ってみたら、サムネイルにイモムシが登場しているこちらの記事に行き当たりました。
家庭菜園の野菜に引き寄せられてやって来る「マレビト」害虫たちとの攻防を、確かな観察眼で描いておられます。
せっかくなので登場しているイモムシたちの素性をご紹介しますと、アイキャッチ画像のサトイモにとまる「夜行列車」はセスジスズメ(スズメガ科)中齢幼虫、「少し枯れたナガイモの葉にそっくり」なのは、きっと、キイロスズメ(同科)の褐色型終齢幼虫です。
 
添付写真は、文中で目の敵にされているヨトウムシ(種名ヨトウガ(ヤガ科)の幼虫の俗称)ですが、エンドウ、ネギどころか、有毒のクンシラン(キョウチクトウ科)の分厚い葉をもりもり食べていて驚きました。なんと逞しいことでしょう。そして・・・ 何と可愛らしいことでしょう!
イモムシでもゴキブリでもヌスビトハギでもパンにはえた青カビでも何でもいいのですが、ヴィランなものたちのどれかに、一度、スマホレンズを向けてみてください。「この癪に触る生き物をなるべく魅力的に撮ってやろう」と企みながら。すると、不思議なことに、たちまち心の軸が傾き始めて、スキもキライも混沌としてしまいますよ。
 
エディスト・アーカイブは、未知のお宝が無限に眠る別銀河。ワードさばきひとつでお宝候補をプレゼンしてくれる検索窓は、エディスト界の「どこでもドア」的存在ですね。

堀江純一

2025-06-28

ものづくりにからめて、最近刊行されたマンガ作品を一つご紹介。
山本棗『透鏡の先、きみが笑った』(秋田書店)
この作品の中で語られるのは眼鏡職人と音楽家。ともに制作(ボイエーシス)にかかわる人々だ。制作には技術(テクネ―)が伴う。それは自分との対話であると同時に、外部との対話でもある。
お客様はわがままだ。どんな矢が飛んでくるかわからない。ほんの小さな一言が大きな打撃になることもある。
深く傷ついた人の心を結果的に救ったのは、同じく技術に裏打ちされた信念を持つ者のみが発せられる言葉だった。たとえ分野は違えども、テクネ―に信を置く者だけが通じ合える世界があるのだ。