スコアの技術・記譜の作法 32[花]

2019/11/04(月)07:56
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「スコアの技術・記譜の作法」

 32[花]開講後はじめての週末、4道場の入伝生たちが集うラボへ花目付・三津田知子から得番録が届けられた。ラボは、[守]・[破]の別院にあたる。

 

 得番録とは、番稽古で得た学びの軌跡が記録されたスコアのこと。ひらたく言えばカリキュラムの進捗状況を採録した星取表のことで、[守]・[破]の教室ではこれが毎週配信される。各師範代が意匠を凝らした得番録は、学衆の稽古を後押しもするし、学びを振り返る手すりにもなる。


 三津田はこの得番録を花伝所風にアレンジして入伝生へ届けた。名付けて「風流三昧’s Scoring」。[花]での得番録は初めての試みである。松岡校長の入伝式メッセージを受けての編集だ。

 

 三津田が施した[花]版得番録の工夫は、演習の進捗状況ではなく、入伝生らが式目の理解を深めた際の方法に注目し、編集の軌跡をスコアリングしたことだ。どんなアナロジー・アブダクション・アフォーダンスが動いたのか。各道場での発言をいくつか抽出し、方法に応じて「見立篇」「仮説篇」「図解篇」に分けて再編集した。


 編集学校が標榜する「インタースコア」は、直訳すれば「相互記譜」。情報がスコアされて運ばれるだけでは、コミュニケーションは間に合わない。ならば、情報を取り巻くエディティング・モデルまでを含んで記譜してみてはどうか。情報に纏いつくノイズや偏向や「風・式・様」までを相互に照合してみてはどうか。情報とは、等価交換され得るものではないのである。

 

 互いのエディティング・モデルを徹底的にインタースコアしあう花伝所の演習は2週目へ向かう。


  • 深谷もと佳

    編集的先達:五十嵐郁雄。自作物語で語り部ライブ、ブラonブラウスの魅せブラ・ブラ。レディー・モトカは破天荒な無頼派にみえて情に厚い。編集工学を体現する世界唯一の美容師。クリパルのヨギーニ。