読者投票あり!!45[破]「ハイパープランINFORM」プランニング編集術アワード予選を開催

2021/03/03(水)06:00
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イシス編集学校[破]講座、最後のお題は、「プランニング編集術」。松岡校長の仕事術をお題にした[破]の総仕上げである。


何をプランニングするのか? 学衆は各自が選んだ「数寄な千夜千冊」3夜から着想を得て、「ハイパーミュージアム」を考えだし、つくりあげる。ハイパーとは、まだ見たことがないもの、人の予想を超えるもの。[守][破]で学んだ方法を総動員し、連想と要約を繰り返し、まだこの世にないけれど、人々の心の奥底に待望されているような「忘れもの」を企画する。

 

稽古を稽古で終わらせてはもったいない。つくり上げたプランが本当に魅力あるものなら、現実の困難を突破して実現できるのではないか。その一歩として、稽古の成果を世に問うてみたい。ということで…

 

   \\開催! 「ハイパープランINFORM」//

 

45[破]各教室から1つずつプランが選ばれた。その後、企画者の学衆のみならず、クラスメイトと師範代、師範も加わって、寄ってたかってブラッシュアップした10企画をここに披露する。

 

心惹かれるプラン、参加してみたいプランにぜひ「投票」してほしい。『遊刊エディスト』読者ならどなたでも参加できる。読者投票が予選となり、上位3プランは、本選にすすむ。本選は、第75回感門之盟2日目(3月14日)に、行われる。企画者の学衆と師範代によるプレゼンが繰り広げられる予定だ。こちらも必見。イシス編集学校関係者はすぐ参加申し込みを! オンラインでどこからでも参加可能である。


では、10教室のプランを披露しよう。ほんとうはコンセプトだけでも10本、27のシーンがあるような大きく詳細なプランを300字ほどに圧縮している。ぜひイメージメントで補ってほしい。投票方法は、記事の最後にある。

 



◆プラン:1 分針タンブール教室
ミュージアム名「らくがき・ザ・ワールド」
 らくがきタウン物語
 ~新しいライフスタイルを描く街づくり~

 

 

企画者:蒲池卓巳
プロフィール:真宗大谷派長善寺住職

 

<千夜千冊数寄3冊>
1)1377夜『モモ』ミヒャエル・エンデ
2)1555夜『パタンランゲージ』クリストファー・アレグザンダー
3)0717夜『本を書く』アニー・ディラード

 

<概要>
失くしものはなんですか? 「らくがき」は書くこと。書くとは、掻くであり描くであり、欠くでもある(石川九楊)。そこに刻まれた跡が鍵穴になってまた次の思いを呼んでくるものです。らくがきを観る、描くだけでなくて、らくがきについて自由に思いをかわす、らくがきのある暮らしを体験する、そこに暮らしてみる、そんな街を作ってみたい。通り、建物、場所を、行き交う人たちの思いが触れあう特別なトポスに変えていきます。消えるチョークと消えないデジタルペンが作り出す不思議なミュージアムにぜひご参加ください。らくがきに夢中になった幼なごころと一緒に、コロナ禍で制限されてしまった「サードプレイス」を取り戻す試みでもあります。

 



◆プラン:2 播州ざこば教室
ミュージアム名「野球という名の山にのぼ~る」
 野球で表現する人間ドラマ
 ~千夜一球物語~

 

 

企画者:山本かずな
プロフィール:医療関係

 

<千夜千冊数寄3冊>
1)0098夜『和をもって日本となす』ロバート・ホワイティング
2)0138夜『文体練習』レイモン・クノー
3)1400夜『アラビアン・ナイト』前嶋信二・池田修[訳]

 

<概要>
 なぜ日本人は野球が好きなのか。なぜ甲子園と聞くと胸が高鳴ったり切なくなるのか。なぜ野球はドラマなのか。山あり谷あり、野球という人間ドラマのための、ありそうでなかった野球ミュージアムへようこそ! 何百、何千の漫画こそが野球のルールブック。人間関係や喜怒哀楽の全部を教えてくれる。物心がつく前から、ボールとバットと一緒に僕たちは大きくなった。作り手の想いをのせた野球道具のキズも大切なことを物語る。そして何よりも選手が与えてくれる感動こそかけがえのないもの。栄光の歴史も挫折の歴史も全部受け止めて、もっと野球を好きになろう。演出にも乞うご期待! ファンを増やし、日本の野球を強くする!!

 



◆プラン:3 神島鳴神教室
ミュージアム名「アジールKYOTO」
 京都のあわいにわたしのアジール
 ~個を再生させるアジールは京に広がり公となる~

 

 

企画者:西野佐弥香
プロフィール:研究職


<千夜千冊数寄3冊>
1)1748夜『子どもの本のもつ力』清水真砂子
2)1279夜『小倉百人一首』平田澄子・新川雅明
3)0778夜『建築書』ウィトルーウィウス

 

<概要>
 アジールは避難所、駆け込み寺と言われるが、この企画では「たくさんのわたしに出会える場」に拡張する。場が変われば、わたしも変わる。舞台はたくさんの”あわい”を持つ京都市。身近な場所と歴史が紐づき、一方で最先端の研究開発が盛んな過去と未来のあわい。共用の路地、大小の無数の寺社など、きっちり線引きできない場所が残る公私のあわい。街中に物の怪や鬼などの気配が自然に感じられる現実と幻想のあわい。そうしたあわいの結び目となる100の場所にアジールは配置される。各アジールにはお題の書かれた「異能札」があり、お題に応えながらたくさんのわたし=「あわいの私」を発見していく。そして個は公へと再度広がり「あわいの京都」へと越境していくだろう。

 



◆プラン:4 東方パエーリャ教室
ミュージアム名「こどものがたり」
 あなたのすべての子育てシーンに寄り添います
 ~スマホ写真に写しきれない
  子育てのすばらしい物語を、
  トータルに手軽に、ヴィジブルに残し、
  社会とシェアする新しいウェブミュージアム~

 

 

企画者:河村梢
プロフィール:医療系出版社の編集者(育休中)


<千夜千冊数寄3冊>
1)630夜『人生ではじめて出会う絵本100』横山真佐子ほか編
2)952夜『李白詩選』李白
3)0217夜『胎児の世界』三木成夫

 

<概要>
 子どもの「オギャー」と親の「ギャオー」が交差し、「!」と「?」が交錯する。育児は相互編集の最前線だ。『こどものがたり』はその育児を記録し、自動で本やドキュメンタリーに仕立ててくれる。しかしそれだけでなく、様々なシーンで子育てを楽しくするためのアプリが備わっているのが特徴だ。
 子育ては胎児期から始まる。胎児、乳幼児の写真に太古の生物の面影を探しながら、生物という大きなスケールの視野を持つことで命のつながりを感じよう。育児は人類の歴史とともに続いてきた。育児にまつわる古今東西の文化に共感し、勇気づけてもらおう。またメディア化した育児記録を共有することで、母親だけに頼る「孤育て」をなくし、子育て社会を進化させていけるでしょう。

 



◆プラン:5 語りなザナドゥ教室
ミュージアム名「見立ての日本ミュージアム」
 日本のおくの花道
 ~あわせ・かさね・ずらし道五十三次~

 

 

企画者:與儀香歩
プロフィール:メーカー販社/医療機器


<千夜千冊数寄3冊>
1)0583夜『草枕』     夏目漱石
2)0828夜『創造的人間』  湯川秀樹
3)1643夜『菊とポケモン』 アン・アリスン

 

<概要>
 突然、大学から人が消えた。あの宣言は学生を気配に変え、人との間に秘そむオモカゲを消しつつある。私たちはこれに抗い、モノゴトをもどき、見立てることを日常の技法に進化させる。まずはひとけのない大学をミュージアムに見立て3つの道を企画する。最初に見立ての系譜を学ぶ「畦道」。ワークショップで教室を枯山水化し、食堂のサンプルを見立てのお品書きに変える。次に見立ての体験を楽しむ「横道」。自分のモノを擬人化したARキャラクタとミュージアム内でスマホを通し、触れ合う。そして見立てを広める「新道」。オンラインで新たな見立てを全世界で競う。やがて大学には学生が戻るだろう。そして、ミュージアムは新たに見立てられることを待つ場に向け旅立つのだ。

 



◆プラン:6 雑品屋クロス教室
ミュージアム名「ここからだ」
 古来に目覚め、未来へ向かう
 ~からだの編集可能性を社会に発信するミュージアム~

 

 

企画者:宮坂由香
プロフィール:画像編集者・カメラマン

 

<千夜千冊数寄3冊>
1)0243夜『ムーン・パレス』   ポール・オースター
2)0676夜『整体入門』      野口晴哉
3)0366夜『意識の進化と神秘主義』セオドア・ローザク

 

<概要>
 1年前までは満員電車に詰め込まれ、今は誰にも会わずリモートワーク。6万年前の身体構造のままに、限界から限界へとゆすぶられ、私たちのからだもこころも悲鳴を上げている。このミュージアムは到来するデジタルツインの世界を生き抜くため、からだが覚えているモノと、かつて覚えていたコトを集め、からだを信頼できる場所として再編集する。太古の身体的記憶を呼び戻すため、粘土状のうねる床が日々形を変え、壁の襞や色彩がゆらぎ続ける空間。陰陽五行、舞踊、古来日本のナンバ歩きなど身体知と所作のアーカイブ。これらを組合せ、自然治癒力を高めるプログラムを実施し、ケアコミュニティをうみだす。設置する場所はスマートシティ豊洲。からだが目覚めるのは”ここからだ”。

 



◆プラン:7 ガンダム蓮結教室
ミュージアム名「迷宮プラネット」
 思考空漠放浪遊楽
 ~自分と世界の文脈を可視化する~

 

 

企画者:藤島あつこ
プロフィール:秘書


<千夜千冊数寄3冊>
1)0957夜『弓と竪琴』オクタビオ・パス
2)1576夜『寅さんとイエス』米田彰男
3)0552夜『伝奇集』ホルヘ・ルイス・ボルヘス

 

<概要>
 目指すのは出口ではない。これは迷うことを肯定するゲーム型ミュージアム。PCソフトの普及版とVRによる自然の迷宮がある。立ち塞がる竹林にワラワラ浮かび出るのは、進路を誘う言葉の群れ【いざ、いざ】や文献【こと、こと】だ。二頭身キャラ達にけしかけられ、鍵言葉【しる、しる】を入力すると、道が開いて先に進める。迷いの跡は思考の道、入れた言葉は思考のつなぎ目。その履歴は[アーカイブ][迷宮][アート]の3モードで俯瞰できる。アートモードが紡ぐ迷いの総体は、ストラヴィンスキーの曲やフンデルトヴァッサーの建築、若冲の絵のような驚異の複雑さで美しい。ここに集積した知の痕跡は、目的に一直線で辿り着くことにならされた世代の、探求心や推察力育成にいかされる。

 


 

◆プラン:8 柔走柔断教室
ミュージアム名「Go感測ラボ」
 わたしのミカタが視える、みつかる、力になる
 ~五感に贈る新しいエンパワメントの形~

 

 

企画者:志賀響子
プロフィール:リブセンス(不動産メディア運営部署)


<千夜千冊数寄3冊>
1)1560夜『申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。』カレン・フェラン
2)875夜『女は世界を救えるか』上野千鶴子
3)539夜『日本グルメ語辞典』大岡玲

 

<概要>
 もしも刺激や反応が方法になったら? 五感刺激の身体への影響をスコア化し、刺激との付き合い方を探るラボ型ミュージアム。入館者は反応集積ツール「Feel Trucker」を手首に着け、ゲーム性のある体感プログラムを経て展示を巡る。最終展示室「感覚曼荼羅」では、蓄積された入館者の刺激と反応の関係が様々な軸で分布され、アートのような文様を描き出しながら変化・成長する。ここを訪れた後は、自分を苛立たせたり、落ち着かせる刺激を知覚し、自分のなだめ方や、離れるべき刺激を学べる。また、企業と連携して商品開発に接続し、社会に還元していく新・感覚市場のためのプラットフォームでもある。ユーザーが育ち、開発者も学ぶ、その循環すべてがミュージアムなのだ。

 



◆プラン:9 つぐつぐアーク教室
ミュージアム名「「シ」に出会うミュージアム」
 若者の「死生観」を養うエッセンシャルなプログラム開発
 ~「死」に、文・理を超えた
  多様な角度で向き合うミュージアム~

 

 

企画者:西村洋己(にしむら・ひろき)
プロフィール:岡山県社会福祉協議会。社会福祉士。市民活動団体の中間支援、ボランティア・コーディネーションやファシリテーション、場づくり、人材育成に携わる。「無理しない地域づくりの学校」主宰。共編著書『「無理しない」地域づくりの学校』ミネルヴァ書房/2017年。


<千夜千冊数寄3冊>
1)1614夜『苔と歩く』田中美穂
2)1460夜『遺体』石井光太
3)1301夜『ネルーダ回想録』パブロ・ネルーダ

 

<概要>

 いつからか「死」は、語ることを憚られるものになってしまった。だが、「人はいつか必ず死ぬ」という当たり前のことから目を背けて、どうして切実な「生」を全うできようか。

 そんな心底からの魂の震えが、このミュージアムを構想させた。体験できないものを想像するため、多様な場とヒトとモノ、記録と記憶、そして参加者みずからの身体を使い、思考と想像力を刺激する。たとえば「死をめぐる60冊のブックリスト」。またたとえば「死を演じる」小中高の学齢ごとの体感考察プログラムといった具合だ。

──「死」をタブー視せず、死を語る機会を増やし、多様な死生観に出会う。それによって、子どもと大人の「死生観」を豊かにしたい。それが本企画の希いである。

 



◆プラン:10 おまたせ・おまかせ教室
ミュージアム名「身近なミュージアム」
 体験して身近な「不思議」を見つける、世界レベル科学者輩出プロジェクト
 シッテルは掘ってこう。ナンダロウは面白い!
 ~あなたの町にミュージアムを届けます~

 

 

企画者:渋江徹(しぶえ・とおる)
プロフィール:診療放射線技師

 

<千夜千冊数寄3冊>
1)0721夜『江戸の想像力』田中優子著
2)0859夜『ロウソクの科学』マイケル・ファラデー著
3)1733夜『宇宙137億年の歴史』佐藤勝彦著

 

<概要>

 月?太陽?シンバル? いいや、これは電球だ。本企画は、子供たちが科学の驚きと楽しさを体験し、未来の科学者を志すきっかけをつくる<出張ミュージアム>構想である。

「鉛筆の芯でダイヤモンドをつくるには?」

「巨大シャボン玉でギネスに挑戦」

「地球の“迷子石”の実家を探せ」……

 実験を通して、当たり前の中に隠れた「身近な不思議」を発見してもらいたい。実働部隊は、企画者みずから結成し、小中学校と連携して出張する。また、まずは対面から始めるが、続いてリモートへも展開。視覚聴覚を超えた「触覚の体験と驚きの共有」は、オンライン学習にとっても新たな手法開発となる。

 地域へ、おうちへ。ミュージアムが行きます!体験して見つけよう、隠れた真実を!

 


 

以上10プランのうち、魅力を感じたプランに投票をお願いします。
どなたでも参加いただけます。

<投票のルル3条>
・1位・2位・3位を選んでください。
・お一人一回に限ります。
・投票締め切り:2021年3月6日(土)午前9時


  • 原田淳子

    編集的先達:若桑みどり。姿勢が良すぎる、筋が通りすぎている破二代目学匠。優雅な音楽や舞台には恋慕を、高貴な文章や言葉に敬意を。かつて仕事で世にでる新刊すべてに目を通していた言語明晰な編集目利き。