プラン10:科学のときめきよ輝け【45[破] ハイパープランINFORM】

2021/03/04(木)10:02
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 いきなり始まった45[破]「ハイパープランINFORM」プランニング編集術アワード予選。第75回感門之盟 INFORM共読区「P1グランプリ」本戦出場をめざし、師範が援軍となって応援編集を繰り広げる。あなたの琴線に響くのはどのプランだろうか?

 

 

──プラン10:おまたせ・おまかせ教室/身近なミュージアム──

 

 投票記事にも掲載した、このキービジュアル。

 今回のアワードエントリーにあたり、ある学衆が制作した。石垣島で美術教師をつとめる大濱朋子だ。6歳と10歳の子をもつ母として、「このミュージアムが石垣に来たら、真っ先に子供を連れていきます」と手を挙げた。

 

(科学に)興味はあるけど、体感できる場所がなくって、いつの間にか学校の授業についていけないから、難しいものって思い込んで遠のいていくのかなと思います。

 

 では、どんなプログラムがあるといいのか?

 「身近でハイパー」を体験できる実験って?

 

 10歳児へのインタビューもまじえ、渋江のプランイメージを、ビジュアルへと昇華していく。


 

 よ〜く見ると、「身近なミュージアム」タイトルが、細かな文字の集合体でできていることがわかる。いずれも教室内の発言だ。言葉が重なって対話が深まっていくように、皆の言葉を重ねて、プランが立ち上がっていくさまを表現している。

 

 

 「こんなこともできます」と大濱がイメージを飛ばすと、企画者である渋江徹も「作ってみました」とビジュアル表現に挑戦。

 

 

 それを見た大濱が「楽しい!驚き!発見!って感じが伝わります」と刺激を受け、「すっごい晴天の公園や自然の中で<身近なミュージアム>がズレてても面白いかもと思いました。明日、写真撮れたら撮ってみます」と呼応し、17時間後には、3つのビジュアル案が届けられた。

 

 

 

 

 師範代の古野伸治は「電球のクエスチョン型、いいですねぇ。凧の尾も、ツルのようにみえていい。シーソーは鮮やか。渋江さんの手作り感も好き」と目を細める。


 校長 松岡正剛は[破]を語って「[破]は相互編集。編集的演出家として、現実に介入してほしい」と学衆を鼓舞しているが、[破]が目指す相互編集の風が、今まさにおまたせ・おまかせ教室に起きている。

 

一人で好きを追求することって、みんながみんなできることではない。好き!やりたい!もっと!って思ったら、その場限りではなく後に続くステージがなきゃだと思う。

 

 本プランについて語った大濱の言葉が奥行きをもって45[破]に響く。

 感門之盟当日「P1グランプリ」での本戦発表にも期待されたい。

 


▼投票はこちら
45[破] ハイパープランINFORM
・投票締め切り:2021年3月6日(土)午前9時
 

→ 10)おまたせ・おまかせ教室/身近なミュージアム
  体験して身近な「不思議」を見つける、世界レベル科学者輩出プロジェクト
  ~シッテルは掘ってこう。ナンダロウは面白い! あなたの町にミュージアムを届けます~

 

 

  • 福田容子

    編集的先達:森村泰昌。速度、質、量の三拍子が揃うのみならず、コンテンツへの方法的評価、厄介ごと引き受ける器量、お題をつくり場を動かす相互編集力をあわせもつ。編集学校に現れたラディカルなISIS的才能。松岡校長は「あと7人の福田容子が欲しい」と語る。

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コメント

1~3件/3件

川邊透

2025-07-01

発声の先達、赤ん坊や虫や鳥に憑依してボイトレしたくなりました。
写真は、お尻フリフリしながら演奏する全身楽器のミンミンゼミ。思いがけず季節に先を越されたセミの幼虫たちも、そろそろ地表に出てくる頃ですね。

川邊透

2025-06-30

エディストの検索窓に「イモムシ」と打ってみたら、サムネイルにイモムシが登場しているこちらの記事に行き当たりました。
家庭菜園の野菜に引き寄せられてやって来る「マレビト」害虫たちとの攻防を、確かな観察眼で描いておられます。
せっかくなので登場しているイモムシたちの素性をご紹介しますと、アイキャッチ画像のサトイモにとまる「夜行列車」はセスジスズメ(スズメガ科)中齢幼虫、「少し枯れたナガイモの葉にそっくり」なのは、きっと、キイロスズメ(同科)の褐色型終齢幼虫です。
 
添付写真は、文中で目の敵にされているヨトウムシ(種名ヨトウガ(ヤガ科)の幼虫の俗称)ですが、エンドウ、ネギどころか、有毒のクンシラン(キョウチクトウ科)の分厚い葉をもりもり食べていて驚きました。なんと逞しいことでしょう。そして・・・ 何と可愛らしいことでしょう!
イモムシでもゴキブリでもヌスビトハギでもパンにはえた青カビでも何でもいいのですが、ヴィランなものたちのどれかに、一度、スマホレンズを向けてみてください。「この癪に触る生き物をなるべく魅力的に撮ってやろう」と企みながら。すると、不思議なことに、たちまち心の軸が傾き始めて、スキもキライも混沌としてしまいますよ。
 
エディスト・アーカイブは、未知のお宝が無限に眠る別銀河。ワードさばきひとつでお宝候補をプレゼンしてくれる検索窓は、エディスト界の「どこでもドア」的存在ですね。

堀江純一

2025-06-28

ものづくりにからめて、最近刊行されたマンガ作品を一つご紹介。
山本棗『透鏡の先、きみが笑った』(秋田書店)
この作品の中で語られるのは眼鏡職人と音楽家。ともに制作(ボイエーシス)にかかわる人々だ。制作には技術(テクネ―)が伴う。それは自分との対話であると同時に、外部との対話でもある。
お客様はわがままだ。どんな矢が飛んでくるかわからない。ほんの小さな一言が大きな打撃になることもある。
深く傷ついた人の心を結果的に救ったのは、同じく技術に裏打ちされた信念を持つ者のみが発せられる言葉だった。たとえ分野は違えども、テクネ―に信を置く者だけが通じ合える世界があるのだ。