プラン9:「死」と「死生観」の博物誌を現代に【45[破] ハイパープランINFORM】

2021/03/03(水)21:28
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 いきなり始まった45[破]「ハイパープランINFORM」プランニング編集術アワード予選。第75回感門之盟 INFORM共読区「P1グランプリ」本戦出場をめざし、師範が援軍となって応援編集を繰り広げる。あなたの琴線に響くのはどのプランだろうか?

 

 

──プラン9:つぐつぐアーク教室/「シ」に出会うミュージアム──

 

■もし、愛する人を理不尽に失ったら

悲惨な事件を見ては、想像します。私は、身近な人を失うことは怖いですし、小さい子供たちを事故や事件で失いたくない。


 「死生観」をテーマにしたミュージアムという重厚な構想は、立案者・西村洋己の「恐怖」と「希望」の一種合成から創発された。福祉の現場に携わって15年。もうすぐ6歳になる長女を筆頭とする二児の父。

 彼は想像する。

 もし、自分が当事者になったら……。

そうなった時に何かに憎悪を向けずに暮らしを保つことは難しいと思う。しかし、憎悪の連鎖に絡めとられることなくありたいとは思います。事前にそんな心構えを持つのは難しいかもしれませんが、「避ける」のであっても、「死」を語る機会をもっと持つことは大事かなと思います。


■日本の「死生観」を豊かにしたい

 「死」をタブー視せず、死と出会い、死を知り、死と交わる。それによって、豊かな「死生観」を育みたい。本企画では、そのための27のシーンを用意した。とはいえ、師範代・三國紹恵が稽古中に言ったとおり、「死」に詳しい人などいない。だからこそ、先入観や強すぎる感情にとらわれず、素直に、ニュートラルに、多角的に「死」に出会う体験を、とくに子供たちにしてほしい。

 重く深いテーマだからこそ、入り口は広く、やわらかく。

 まず実施したいのは、「死」をめぐるライブラリーをつくることだ。<隣接と波及>として始まったこの企画は、教室内の支持と共鳴を得て、わずか一週間にして、60冊にのぼる選書リストができあがり、今もなお拡張をつづけている。まもなく100冊に達する勢いだ。それだけ「死」を考えたいという思いは、多くの人のなかに忘れ物のように眠っているのだろう。

 それぞれの視点で持ち寄った本は、西村が当初めざした「文理融合」を軽く超えて、死の別様可能性に満ちている。『人類堆肥化計画』『火の鳥』から『宗教に明日はあるか?』『詩と死をむすぶもの』『化石になりたい』まで、やさしく深く、しかし厳しくリアルに「死」と語らう。

■街の図書館から、<多読ジム>の課題本まで

 リストを元に、ウェブで公開する、ペーパーを配布する、書店でフェア本棚を実装する…等への展開が可能。西村本人は地元で「街の図書館」を構想。また、教室メンバーは自分が働く書店で「フェアが組めそう」と意気軒昂だ。

 なお、筆者としては、まずは木村月匠、大音冊匠はじめ多読ボードメンバーへ、<多読ジム>ブッククエストの課題本リストとして提案したい。

■死と死生観をめぐる、圧巻の100冊

 まもなく100冊に達する選書リストから、その一端を、下記に披露する。


『人類堆肥化計画』東千茅/創元社
『パウラ、水泡(みなわ)なすもろき命』イサベル・アジェンデ/国書刊行会
『宇宙のかけら』竹内薫、片岡まみこ絵/青土社
『カラー図解 アメリカ版 大学生物学の教科書 第1巻 細胞生物学』D・サダヴァ/ブルーバックス新書
『化石になりたい よくわかる化石のつくりかた』土屋健/技術評論社
『動物学者が死ぬほど向き合った「死」の話』ジュールズ・ハワード/フィルムアート社
『生ごみ先生が教える「元気野菜づくり」超入門』吉田俊道/東洋経済
『ずーっとずっとだいすきだよ』ハンス・ウィルヘルム/評論社
『風が吹くとき』レイモンド・ブリッグズ、さくまゆみこ訳/あすなろ書房
『ギャシュリークラムのちびっ子たち』E・ゴーリー/河出書房新社
『宗教に明日はあるか?』阿蘇谷正彦、坂本堯、真田芳憲、竹村牧男、ホアン・マシア、森章司著/佼成出版社
『夜と霧』ヴィクトール・E・フランクル/みすず書房
『挽歌の宛先』河北新報社編集局/公人の友社
『一日一花』川瀬敏郎/新潮社
『苦海浄土』石牟礼道子/講談社文庫
『永訣の朝』宮沢賢治/新潮文庫
『火の鳥』手塚治虫
『ペット・セマタリー』スティーヴン・キング/文春文庫
『ハーメルンの死の舞踏』ミヒャエル・エンデ/朝日新聞
『チロ愛死』荒木経惟/河出書房新社
『LIFETIME』クリスチャン・ボルタンスキー/水声社
『人間臨終図鑑』山田風太郎/徳間書店
『眠れない一族―食人の痕跡と殺人タンパクの謎』ダニエル T.マックス/紀伊國屋書店
『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』佐々涼子/集英社
『樹木希林 120の遺言 死ぬときぐらい好きにさせてよ』樹木希林/宝島社
『何とめでたいご臨終』小笠原文雄/小学館
『痛くない死に方』長尾和宏/ブックマン社
『シルバーバーチの霊訓』アン・ドゥーリー
『詩と死をむすぶもの 詩人と医師の往復書簡』谷川俊太郎、徳永進/朝日文庫
『ホモ・デウス』ユヴァル・ノア・ハラリ/河出書房新社



 このリストに、あなたならどんな一冊を加えたい?
 丁々発止とひた走る師範代・三國紹恵は、伴走の果てにオフィーリアに扮して何を思うのか?!

 気になる続きは感門之盟「P1グランプリ」にて!

 


▼投票はこちら
45[破] ハイパープランINFORM
・投票締め切り:2021年3月6日(土)午前9時
 

→ 9)つぐつぐアーク教室/「シ」に出会うミュージアム
  若者の「死生観」を養うエッセンシャルなプログラム開発
  ~「死」に、文・理を超えた多様な角度で向き合うミュージアム~

 

 


  • 福田容子

    編集的先達:森村泰昌。速度、質、量の三拍子が揃うのみならず、コンテンツへの方法的評価、厄介ごと引き受ける器量、お題をつくり場を動かす相互編集力をあわせもつ。編集学校に現れたラディカルなISIS的才能。松岡校長は「あと7人の福田容子が欲しい」と語る。