『絵師ムネチカ』から目が離せない。天才は往々にして何かが欠けている。そしてそのこと自体がまた天才の天才性を引き立たせる。周囲の人々の鼻面を引き回し、人生を変えていく「天才少年」のデモーニッシュな魅力を容赦なく描いた怪作。
これまでにも「神童」もの(?)を数多く描いてきたさそうあきら先生だが、ご本人は極めて方法に自覚的な職人タイプ。長年、マンガ学科の教員として教鞭をとり、『マンガ脚本概論』などの技法書にも定評がある。
へんてこが、たまらない。イシス編集学校での最初の洗礼は、奇妙キテレツな教室名だ。学衆がおずおずと戸をくぐった教室には、それぞれ名前がついている。「モーラもらもら教室」「今さら今こそ教室」「点閃クレー教室」……
学校は世界に数あれど、教室一つひとつに翻訳不能な名を掲げる場はほかにない。その数、開講以来20年間で810。しかもこの謎めく文字列は、卒門のころにはたまらなく愛しくなる。校長松岡正剛の企みだった。
教室名には、師範代の出身地、趣味、職能、センス、読書歴そのほかがいろいろ組み込んである。教室名をつけるのは新生児に名前をつけるのと同様で、心意気を必要とするのだが、しかしこれは教室というコミュニカティブな集団に俳号や道号や屋号をつけるようなものだから、ぴったりなネーミングであるとともに、しだいに教室内チームの共感に変じていくようなものでありたかった。
『インタースコア』1.インタースコアする編集力「共読する教室」p.70
2021年9月5日、第77回感門之盟でも17の教室名が産声をあげた。その後さらに、速修コースに名乗りを挙げた3つの名が人知れず誕生した。松岡によるネーミングの数々を、手書きのカードとともにご覧にいれよう。
▲ソファから見守る校長セイゴオ
◆秦祐也 師範代 / M型スピリッツ教室
◆大濱朋子師範代 / 点閃クレー教室
◆輪島良子師範代 / 電束青猫教室
◆小椋加奈子師範代 / 板付Bダッシュ教室
◆はらあやこ師範代 / 源泉宅急便教室
◆中尾行宏師範代 / モーラもらもら教室
◆畑本浩伸師範代 / いつもトンネリアン教室
◆竹岩直子師範代 / はいから官界教室
◆妹尾高嗣師範代 / 平蔵もっぱら教室
◆與儀香歩師範代 / 断然ユイマール教室
◆渋江徹師範代 / じきじき編調教室
◆鎌田公子師範代 / いざよい東方神起教室
◆藤井一史師範代 / 一調二機三声教室
◆國富敬二師範代 / 今さら今こそ教室
◆山本ユキ師範代 / オリーブなじむ教室
◆高津法子師範代 / キャンピング・サティ教室
◆徳能弘一師範代 / イシス宣伝本部教室
速修コース
◆佐藤裕子師範代 / しんがりスサビ教室
◆西村慧師範代 / 臨間オチョコ教室
◆石黒好美師範代 / 平時有事教室
教室名を授けられ「うそ〜〜〜〜うれし〜〜〜〜!」と破顔する者もいれば、「重みがありすぎて、腰痛が」と松岡校長の「代」となる務めに慄く者もいる。
35[花]放伝生を代表して挨拶をした大濱朋子(点閃クレー教室師範代)は、「未知なる冒険には怪我がつきものだが、キズは創造の『創』」と覚悟をみせた。
「私は新しい門をあけて進みます。みなさんも、前へ、奥へ」 大濱の言葉は、まだイシスの門前で迷っている将来の学衆にも向けられたものだろう。コロナで揺れる有事に必要なのは、イシスで学ぶ「方法」だ。今さら? いえいえ、今こそ。
■48期[守] 〆切迫る
・応募締め切り:2021年10月11日(月)
・開講期間:2021年10月18日(月) ~2022年2月13日(日)
お申し込みはこちらから
文:梅澤奈央
エディスト編集部
編集的先達:松岡正剛
「あいだのコミュニケーター」松原朋子、「進化するMr.オネスティ」上杉公志、「職人肌のレモンガール」梅澤奈央、「レディ・フォト&スーパーマネジャー」後藤由加里、「国語するイシスの至宝」川野貴志、「天性のメディアスター」金宗代副編集長、「諧謔と変節の必殺仕掛人」吉村堅樹編集長。エディスト編集部七人組の顔ぶれ。
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コメント
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2026-03-19
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2026-03-17
目玉入道、参上。
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2026-03-10
平和に飛び交うモンシロチョウも、地球史スケールでは、ほんの少し前に日本にやって来たばかりのパイオニアらしい。押さえきれない衝動に駆り立てられて彼方に旅立つ人たちの原型は、海をわたる蝶なのかもしれない。