習慣や周囲に合わせて行動してしまう。そこで、モンキリな言葉を口にしてしまう。けれど、どんな言葉やマニュアルにも、本来の意味や意図がある。モンキリな言葉のイメージも、情報の組み合わせでできている。
できあがったモンキリな意味を分解して、“そもそも”へと迫ってみる。ヘンシューの方法で組み立てられた情報を動かせば、見方が変わり、発見にいたる。
■モンキリをキリわける
情報は「図」と「地」にわけられる。「地」は、人生・思想・文化といった背景、会話や物語の文脈にあたる。「地」を変えると、受け手のイメージが異なってくる。
紋切型の言葉も、小さな子供が発すれば、大きな驚きや感動として伝わることもある。
『文章心得帖』(鶴見俊輔、ちくま学芸文庫)
「ありがとう」「おはよう」、子供が、最初に言う言葉に「マ
ンマ」というのがあります。それらはみんな紋切型の言葉です。
しかし、1歳、2歳の子供が紋切型の言葉を使うときには、躍
動があって、自由な生命の動きというものがある。
話す・聞く・読む・書くを中心に考えられがちなコミュニケーション。実際は、身振りと言葉をの組み合わせや、サインや合図のたぐいもある。
『ダイアログ・イン・ザ・ダーク』は、伝える不自由さに直面しても、それを超えれば新たな方法があることをしめす。
「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」
真っ暗な中で、視覚障害者のコミュニケーションを体感する。
「ダイアログ・イン・ザ・サイレンス」
無音の中で、聴覚障害者のコミュニケーションを体感する。
http://www.dialoginthedark.com
■「らしさ」とヘンシュー
どんな意味も単独では成り立たない。意味の輪郭は、情報の対比や関係性から生じる。辞書によって言葉の説明が異なるように、それは輪郭をしめすのみで、厳密な定義というものは成立しない。
あくまでも「っぽい」「~らしい」といったとらえ方による。「わかる」の目安は、次の編集が起こせるかどうかにかかる。たいていの場合「らしさ」を把握すれば、つないだり、かさねたりすることができる。次の編集へと向かえる。
たとえば「カブキ」というカタカナの言葉から、どんなイメージが浮かぶだろうか。歌舞伎を連想すれば、伝統・派手・大袈裟などが挙がり、語源の傾く(かぶく)に気づけば、婆娑羅・ヤクザへとつながる。傾者(かぶきもの)の立場や心理にまで思いを馳せれば、危うさや弱さもカブキに含まれるかもしれない。
1543夜『弱いから、好き』(長沢節、草思社文庫)
マイナスとマイナスがふと引き合う時が最も美しく、真の優し
さが生まれるとばかり考えてきた。
ブランディングもまた、「らしさ」をつくり、共感や価値を広く伝える。社史、ストーリー、製品の特徴、ライバルとの違いを強調する。「らしさ」は、言葉とモノや現象をやわらかくつなぐ。
自動車のマツダは、デザイン部門でイメージを共有するためのオブジェを制作した。それをデザイナー間で共有し、「魂動デザイン」というコンセプトをつくり上げた。
『デザインが日本を変える』(前田育男、光文社新書)
大事なのは、カタチと言葉、まるで車の両輪のように2つが並
び揃ってこそ初めて相手を動かす力が生まれる