[髪棚の三冊vol.3]エディスト的ブロックチェーン考(情報代謝と価値の流通)4-2

12/27(金)13:15
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[髪棚の三冊vol.3]

デザインは「主・客・場」のインタースコア。エディストな美容師がヘアデザインの現場で雑読乱考する編集問答録。


髪棚の三冊vol.3 エディスト的ブロックチェーン考(情報代謝と価値の流通)
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『エンデの遺言』(河邑厚徳+グループ現代、NHK出版)2000年
『ブロックチェーン・レボリューション』(ドン・タプスコット+アレックス・
タプスコット、ダイヤモンド社 )2016年
『クラブとサロン』(NTT出版)1991年
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■価値の測り方

 

 次世代通貨についての技術的なマスタープランは、2008年、サトシ・ナカモトを名乗る謎の人物(もしくはグループ)によって唐突に予告された。サトシが発表した論文には「ビットコイン」と呼ばれる暗号通貨を使った分散台帳技術についての仕様が書かれていた。
 この技術の最も革新的な点は、通貨の発行や管理に国家や公的な機関が一切関与しないことだ。中心となるデータベースは存在せず、全てがネットワーク上に分散され稼働しているので、誰もがデータの正しさを逐一検証することができる。暗号通貨の取引データは一定時間ごとにブロックとなって鎖のように繋がって記録されて行くので、このシステムには「ブロックチェーン」という名が与えられた。
 たとえ悪意ある者がハッキングを試みたところで、チェーンを過去へ遡って全てのブロックを改ざんすることは不可能だ。しかもシステムへ連なろうとする者が多いほどデータ全体の複雑度が増すので、システム全体のセキュリティはますます強化される仕掛けになっている。

 

 本稿ではブロックチェーンについての詳細な解説までは踏み込まないが、期待される可能性をいくつか順不同でかいつまんでおく。
 一つは、言わずもがなだが次世代通貨ツールとしての完璧な適性である。暗号通貨の普及は、商取引のためのコスト、契約にまつわるリスクマネジメント、財についての完全なトレーサビリティ、透明かつ迅速なコーポレート・ガバナンス等、あらゆる面で経済効率を劇的に向上させるだろう。
 さらには、記録されたデータの信頼性をネットワーク自体が保証するため、第三者による信用保証が不要になる。これについては社会的な法整備を待たねばならないものの、本人確認のための照会手続き一切を各個人が自身で管理する権利を尊重されるようになるとすれば、その衝撃はどう控えめに見積もっても国家や社会の仕組みを根底から更新させるほどの破壊力を秘めている。
 つまりブロックチェーンのポテンシャルが余すところなく解放された時、私たちは望むなら、自身の存在証明も、世界のあらゆる事物についての価値評価も、全て自らの手でコントロール可能な社会を構築できるのだ。

 

 とすれば当然ながら、ネットワークに参加するユーザー一人一人の意識やリテラシーが問われることになる。
 しかしながら、現在の為替市場において投機目的での取引は8割と見込まれていることから、暗号通貨への参入動機もこれに近い状況であると察っせられる。そうだとすれば、残念ながら暗号通貨も相変わらず自己増殖を目論んだ黒魔術に冒されるばかりだろう。テクノロジーがアップデートされてもそれを利用する者の意識が前世紀のままなのだ。
 欲望に翻弄される性は人間として仕方がないとしても、せめて私たちは様々に行き交う情報の価値を評価するためのリテラシーを養うことが求められているのではないだろうか。

 

 

[髪棚の三冊vol.3]エディスト的ブロックチェーン考
1)ヒトの生む価値
2)価値の測り方
3)情報リテラシーの作法
4)情報から価値を生む


  • 深谷もと佳

    編集的先達:最相葉月。自作物語で朗読ライブ、ブラonブラウスの魅せブラ・ブラ。レディー・モトカは破天荒な無頼派にみえて、人情に厚い。趣味は筋トレ。編集工学を体現する世界唯一の美容師。

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