内なるダイバーシティ 編集かあさん感門記【79感門】

2022/09/18(日)14:38
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秋の風・鳥の声

 出番である校長校話まで、あと6時間あまり。

 ともにマイクを持つ「ふくよ」こと福田容子番匠と控室に入ると、先に座っていた大澤靖永師範が「実は松井さんとは師範代デビュー同期なんですよ。1617期[守]で」とニコっとしながら話しかけてくださった。
 お目にかかるのは10年ぶりぐらいかもしれない。すこしちがう道筋を歩んで、今日、同じ場にいる。いくつかあった結節点が思い出された。


豪徳寺・本楼に着いたのは正午すこし前

 休憩時間に『インタースコア』を鞄から出して開いた。
 全館、大きい窓も小さい窓も開けられていて、秋の風が入ってくる。
 控室のすぐそこに木立が見えることを初めて知った。
 鳥たちがやってきては、またどこかへ飛んでいく。
 カラスは一羽で電線にとまり、ひときわ大きい声で鳴いている。

テキストから声が聞こえる

 

 何度も読んだはずの『インタースコア』の一行一行が、ザワザワと立ち上がってきた。

 太田眞千代母匠の2000年6月20日の言葉。
 赤羽卓美さんの「ピカソ的多次元のソーシャルゲーム」。
 川野貴志さんと森山智子さんの「着物と国語」対談。
 大澤師範と同じく1617[守]同期の渡辺恒久さん、八[離]の別番だった米山拓也さん。33[守]再登板時の番匠・青木穣さん。奇内花伝組の赤松木の実さん。[物語講座]の岡村豊彦さん。エディストの小倉加奈子さん。[多読ジム]の米川青馬さん。
 2005年の入門の時から、背中を追いかけてきた師範、師範代のテキストが声になって聞こえてくる。
 あわせて、本には書かれていない言葉やシーンが、頭の中の遠くから、また近くから引き出されてくる。
 モニターから聞こえてくる49[守]師範、師範代、番匠、学匠の言葉と重なっていく。


1階本楼の様子が映し出されている学林堂のモニター

here から there へ

 1階での登壇を終えた師範、師範代のみなさんが、2階の学林堂にあがってくる。
 48[守]を再受講したときに同じ教室だった齋藤玲子さんのお姉さんである大塚信子師範代を見つける。
 「こんにちは」と話しかけると「編集かあさん、読んでます。高橋陽一師範代に紹介いただいて」と思いもかけない言葉をいただいた。

 学衆賛証の時間、あちこちでブレイクアウトの交し合いの花がさいている。

 ふたたび『インタースコア』に戻る。メモがどんどん増えていく。


感門団のみなさんが補充してくださっていた控室のお茶


ヨーロッパ関連本棚。時計の右にはサド侯爵、左にはルパンやホームズ

 控室で、ふくよさんが木村久美子月匠を捕まえてくれた。
 「あらゆる用意をしたうえで、場に入ったら、それを捨てるということも必要ね」。

 面影だけが残る「そこ」と、不意打ちが待っている「ここ」を行き来するうちに、窓の外の日の光が少しずつ弱まってきた。
 出番が近づいてくる。
 「遊」の次に「番」という雑誌を作ろうかなと思ったことがあるという、リハーサルでの校長の言葉が頭によぎる。
 鳥の声はやみ、ヒグラシの声が聞こえ始めた。東京ではまだセミが鳴いている。

 薄闇が広がり始めるころ、「そろそろ下にいきましょう」とふくよさんに誘われ、階段を下りる。
 本楼の扉を開け、「世界」にすべり入る。本楼、北海道、大阪、石垣島、をつないで「新しいお題」の芽が伸びている。
 その縁(ふち)に置かれた椅子に腰をかけ、「番」がめぐってくる時を待った。

 


マイクを持ち、インタビュアーというダイバーになる


  • 松井 路代

    編集的先達:中島敦。2007年生の長男と独自のホームエデュケーション。オペラ好きの夫、小学生の娘と奈良在住の主婦。離では典離、物語講座では冠綴賞というイシスの二冠王。野望は子ども編集学校と小説家デビュー。

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