男性は生涯学習センターの受講生で日本文化に一家言持っていた。「私の回答に文句をつけるとは! 再回答は拒否する」と抗議し、師範代と教室を凍りつかせた。
オリベ編集学校であった事件のひとコマだ。2003年~2004年に岐阜県生涯学習センターとの異色のコラボレーションで実現したこのイベント講座は、1期5教室、2期6教室体制だった。岐阜県下からの受講生が主で、本校に多い仕事のスキルアップをめざす人より、豊かなくらしを求める知的好奇心の強い人が多かった。
年配者の割合が高いのも特徴だった。先のモノ申す男性も60代。当時、インターネットの普及率は60%を突破したばかり。とりわけ年齢が上がるほど普及率は低く、60歳代は39%だった。そんな中、メールのみでのやりとりという新奇な環境、聞きなれないカタカナ用語の多いお題文…。回答の行間に浮かびあがる憂悶から、高年者のハンデが窺い知れた。
師範代もよく粘った。はじめは頭に血がのぼって、「彼とは水掛け論になるだけ。教室全体のためにも、今後、再指南はしません」と強硬姿勢をとっていた。しかし、事務局と師範代仲間からの共感と励まし、アドバイスが一昼夜続き、「切るのではなく、つなぐ指南」をと考え直す。
―指南を否定ととられるのは自分の書き方が至らなかったせいです。編集稽古に正解がないのは、試験問題のような正解がないだけで、指南には基準があり、好き勝手に書いているものではありません。そうした説明を十分にするべきでした―。
お詫びとともに送信されたメールの後、男性から再回答が届いた。抗議のメールから3日が経っていた。
花伝所ができる2年前の出来事だ。幾多の通じあおうとする人たちが方法を繋いできた。
リアル稽古ではポストイット編集術で盛り上がった
吉野陽子
編集的先達:今井むつみ。編集学校4期入門以来、ORIBE編集学校や奈良プロジェクトなど、18年イシスに携わりつづける。野嶋師範とならぶ編集的図解の女王。子ども俳句にいまは夢中。
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