中二病という言葉があるが、この前後数年間は、”生きづらい”タイプの人にとっては、本格的な試練が始まる時期だ。同時に、自分の中に眠る固有のセンサーが、いっきに拡張し、世界がキラキラと輝きを放ちはじめる時節でもある。阿部共実『月曜日の友達』は、そんなかけがえのない瞬間をとらえた一編。
 
                                                                                 
        
        
         
                         
                2019年8月10日から12日かけて、この夏の3日間、日本全国12会場で編集稽古の花火が打ち上げられた。[守]学匠鈴木康代が仕掛けたエディットツアースペシャルだ。
 かねて東北での編集ワークショップの機会を窺っていた学匠。開講中の[守]に札幌・大阪・広島・福岡を皮切りに、全国各地から師範代が登板していることに気づいた。
 もとより物理的距離を超えて同時多発的なのがイシス編集学校の真骨頂。各地の師範代が本楼に集まる伝習座に合わせて計画された合同汁講の席で師範代たちの賛同を得た。想いを口に出してから、全国各地での同時編集ワークショップ、すなわちエディットツアースペシャルの開催が決まるまで2、3日の高速編集だった。
 門を叩く学衆を待つしかなかった[守]の師範代たちが、みずから未来のエディストに会いに行く。学匠のお膝元である郡山で掲げるのはセレンディピティの編集術。その日、偶然隣り合わせた人とインタースコアする。リアル稽古はめっぽう速い。
 この花火は、札幌から沖縄まで各所さまざま異なる稽古で着火する。パッと光って咲く花火はどんな編集模様に輝くだろうか。北から見ても南から見ても同じはずはない。
                            
林 愛
編集的先達:山田詠美。日本語教師として香港に滞在経験もあるエディストライター。いまは主婦として、1歳の娘を編集工学的に観察することが日課になっている。千離衆、未知奥連所属。
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2025-10-29
 
                                                                                中二病という言葉があるが、この前後数年間は、”生きづらい”タイプの人にとっては、本格的な試練が始まる時期だ。同時に、自分の中に眠る固有のセンサーが、いっきに拡張し、世界がキラキラと輝きを放ちはじめる時節でもある。阿部共実『月曜日の友達』は、そんなかけがえのない瞬間をとらえた一編。
2025-10-28
 
                                                                                松を食べ荒らす上に有毒なので徹底的に嫌われているマツカレハ。実は主に古い葉を食べ、地表に落とす糞が木の栄養になっている。「人間」にとっての大害虫も「地球」という舞台の上では愛おしい働き者に他ならない。
2025-10-20
 
                                                                                先人の見立て力にひれ伏すしかないと思って来た「墨流し」。戯れに、Chatさんに「蝶のスミナガシを別の見立てで改名するにはどんな名前がいいですか?」と尋ねてみて、瞬時に現れた名答に打ち拉がれております。