【特集】ETS群島リレー15@沖縄1 まずは自分の再編集から

2019/10/10(木)19:00
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「あらゆる情報は既に編集を終えようするところに向かっている。そこに抵抗をしている」

 

 この松岡正剛校長の言葉に呼応し、2019年8月10日、うちなー初となるエディットツアーでは「沖縄を編集する!」をテーマに掲げた。

 

 まずはウォームアップ。参加者はお菓子に喩えて自己紹介する。今までとは違うわたしへと着替えていくことがお題の意図だ。宝石いっぱいのフルーツタルトや裏表のないタルトタタンなど、10のお菓子が登場した。「これも実は編集です。みなさんは無意識のうちに既に編集をしているんですね」とナビゲーターの上杉公志師範代。

 

 次は視点を広げ、この会場に「あるもの」と「ないもの」を、それぞれ1分ほどで書き出していく。会場のMaxplusは、ワンフロアすべてがカラフルな家具や照明で満ちたインテリア空間。外間いち子師範代が場を提供した。

 

 同じ空間にいても、回答の抽象度や発想のプロセスは人さまざま。机や椅子の素材や色に着目する人もいれば、まとめて「家具」にグルーピングして全体をつかもうとする人もいる。注意のカーソルの使い方も、天井から床へと垂直に移動したり、自分自身から円を描くように広げる方法もある。

 

 回答をペアで比較することで、自分の見方を発見できる。「一人ひとりに思考のクセがあります」。フィルターを設定し、それを意識的に切り替えていくことで、既知の空間を再編集していく。

  • 上杉公志

    編集的先達:パウル・ヒンデミット。前衛音楽の作編曲家で、感門のBGMも手がける。誠実が服をきたような人柄でMr.Honestyと呼ばれる。イシスを代表する細マッチョでトライアスロン出場を目指す。エディスト編集部メンバー。

コメント

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川邊透

2025-06-30

エディストの検索窓に「イモムシ」と打ってみたら、サムネイルにイモムシが登場しているこちらの記事に行き当たりました。
家庭菜園の野菜に引き寄せられてやって来る「マレビト」害虫たちとの攻防を、確かな観察眼で描いておられます。
せっかくなので登場しているイモムシたちの素性をご紹介しますと、アイキャッチ画像のサトイモにとまる「夜行列車」はセスジスズメ(スズメガ科)中齢幼虫、「少し枯れたナガイモの葉にそっくり」なのは、きっと、キイロスズメ(同科)の褐色型終齢幼虫です。
 
添付写真は、文中で目の敵にされているヨトウムシ(種名ヨトウガ(ヤガ科)の幼虫の俗称)ですが、エンドウ、ネギどころか、有毒のクンシラン(キョウチクトウ科)の分厚い葉をもりもり食べていて驚きました。なんと逞しいことでしょう。そして・・・ 何と可愛らしいことでしょう!
イモムシでもゴキブリでもヌスビトハギでもパンにはえた青カビでも何でもいいのですが、ヴィランなものたちのどれかに、一度、スマホレンズを向けてみてください。「この癪に触る生き物をなるべく魅力的に撮ってやろう」と企みながら。すると、不思議なことに、たちまち心の軸が傾き始めて、スキもキライも混沌としてしまいますよ。
 
エディスト・アーカイブは、未知のお宝が無限に眠る別銀河。ワードさばきひとつでお宝候補をプレゼンしてくれる検索窓は、エディスト界の「どこでもドア」的存在ですね。

堀江純一

2025-06-28

ものづくりにからめて、最近刊行されたマンガ作品を一つご紹介。
山本棗『透鏡の先、きみが笑った』(秋田書店)
この作品の中で語られるのは眼鏡職人と音楽家。ともに制作(ボイエーシス)にかかわる人々だ。制作には技術(テクネ―)が伴う。それは自分との対話であると同時に、外部との対話でもある。
お客様はわがままだ。どんな矢が飛んでくるかわからない。ほんの小さな一言が大きな打撃になることもある。
深く傷ついた人の心を結果的に救ったのは、同じく技術に裏打ちされた信念を持つ者のみが発せられる言葉だった。たとえ分野は違えども、テクネ―に信を置く者だけが通じ合える世界があるのだ。

山田細香

2025-06-22

 小学校に入ってすぐにレゴを買ってもらい、ハマった。手持ちのブロックを色や形ごとに袋分けすることから始まり、形をイメージしながら袋に手を入れ、ガラガラかき回しながらパーツを選んで組み立てる。完成したら夕方4時からNHKで放送される世界各国の風景映像の前にかざし、クルクル方向を変えて眺めてから壊す。バラバラになった部品をまた分ける。この繰り返しが楽しくてたまらなかった。
 ブロックはグリッドが決まっているので繊細な表現をするのは難しい。だからイメージしたモノをまず略図化する必要がある。近くから遠くから眺めてみて、作りたい形のアウトラインを決める。これが上手くいかないと、「らしさ」は浮かび上がってこない。