【特集】ETS群島リレー24 イシス的群島の誕生 鈴木康代

2019/10/13(日)22:27
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 「編集学校のウチソトを自在にまたぐ編集力」。2019年9月7日、第70回感門之盟の「CAST師範ジャンクション」のコーナーで、鈴木康代[守]学匠はISIS FESTAへの想いを語った。

 

 もともとは仙台と福島のみのエディットツアーを想定していた。その鈴木を焚き付けたのは吉村堅樹林頭の一言だ。「それなら、全国でパァッとツアーを打ち上げませんか?」。6月1日の深夜2時、[守]伝習座後のことだった。

 

 ここからが高速だった。大阪には山根尚子師範がいる。札幌には岩野範昭師範、広島には浦澤美穂師範、福岡には石井梨香師範がいる。鈴木が訊ねると全員から快諾の返事がきた。即答だった。さらに金沢、東京の豪徳寺と三軒茶屋、名古屋、沖縄の師範陣からも協力を得て、数日後には3日間にわたる全国12か所でのツアーが決定していた。

 

 とはいえ全て順調だったわけではない。鈴木を含め、各地の師範の多くがリアルツアー経験がなかった。当然、学林局スタッフだけでは人手が足らない。そこで立ち上がったのが実香連をはじめとするツアー経験者である。福島には池澤祐子師範、広島には桂大介師範、沖縄には上杉公志師範代が手を挙げ、これで準備は整った。

 

 各地で打ち上がったツアーの景色を鈴木は振り返る。「たとえば福島の『さすけねぇ』に似た方言が沖縄にもある。『なんくるないさ』。別々の地域がやわらかく繋がっていく。こうした対角線を次々に結んでいくことで、イシスの群島的な姿が浮かび上がってきた」。

 

 2020年2月の第二回エディットツアースペシャルに向けた準備もすでに始まっている。感門之盟翌日の[守]師範会議では、[破]や花伝所のボードメンバーとも連携し、青森や熊本をはじめとする開催都市の追加が決まった。

 

 千夜千冊の1717夜『ライティング・スペース』の一節を援用しつつ、鈴木は今後の意気込みを語る。「すぐれてノーマッドでリゾームなもの、多分に創発的で相互触発的なもの、かつ複合ネットワーク的でベンチャー的なもの。そこを目指したい」。

  • 上杉公志

    編集的先達:パウル・ヒンデミット。前衛音楽の作編曲家で、感門のBGMも手がける。誠実が服をきたような人柄でMr.Honestyと呼ばれる。イシスを代表する細マッチョでトライアスロン出場を目指す。エディスト編集部メンバー。

コメント

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山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。