本楼おやこ塾-本の宇宙が子どもたちに問いかける【前編】

2019/11/07(木)08:50
img

 連想と要約。編集の要である。

 

 広げる編集とまとめる編集をどう子どもに伝えればいいだろう。2019年8月24日の本楼おやこ塾「読み書き編集ワーク」が始まった。

 

 A3カラー版の本楼マップを手に、参加者はナビゲーターの豊田香絵師範代とともに本の宇宙を巡る。子どもたちは天井まで伸びるタワーを見上げながら、本の棲み分け方の説明に聞き入っている。

 

 本楼ツアーから帰還した親子に、豊田師範代は問いかける。

「ここにある本には、じつは大きいテーマが一つあるんですが、何だかわかりますか?」 

 参加者のアタマの中で編集のエンジンがかかった。

 

「日本でしょうか?」

 お父さんの答えに拍手が起こる。

 

「そうなんです。たくさん本があったので分かりにくかったかもしれませんが、例えば『歌舞伎』や『書道』や『古事記』などに絞ると、『日本』が連想できますね」

 

 本棚を埋め尽くす書物からキーワードを取り出して要約し、「日本」というホットワードを連想する。今日のワークの要諦が仕込まれていたのだ。2万冊の本を通して子どもたちへ編集の扉が開いた瞬間だった。


  • 丸洋子

    編集的先達:ゲオルク・ジンメル。鳥たちの水浴びの音で目覚める。午後にはお庭で英国紅茶と手焼きのクッキー。その品の良さから、誰もが丸さんの子どもになりたいという憧れの存在。主婦のかたわら、翻訳も手がける。

  • 編集用語辞典 09 [師範代]

      引き寄せて結べば草の庵にて解くれば元の野原なりけり   今年は、諏訪大社の七年に一度の御柱祭の開催年だった。1200年以上の歴史があるというこの壮大な神事では、山から切り出した樅の巨木を氏子が曳い […]

  • 編集用語辞典 08 [花伝所]

    水中に牡丹崩るる金魚かな 玄月   週刊誌に連載された松岡校長の「百辞百景 コンセプト・ジャパン100」が、フルカラー500頁の文庫本『見立て日本』となって蘇った。銀朱の鱗が光る可愛らしい金魚の写真をめくると、 […]

  • 編集用語辞典 07[エディティング・モデル]

    アゲハ蝶が庭の花の蜜を吸いにやってくる。翅の動きは人の呼吸に似て、てふてふと震えながら上下している。ギリシャ語で蝶はプシュケ。霊魂(プシュケー)を意味するという。日本でも古くからあの世とこの世を結ぶと考えられてきた蝶は、 […]

  • 【速報 校長メッセージ】Q→Aの既知の世界からQ→Eへと羽ばたく蝶【79感門】

    ■感門之盟の由来とは? イシス館の階段をゆっくり下りてくる松岡校長を、井寸房が迎える。青白橡色の羽織を纏った校長は、今日開かれる感門之盟の由来について語りだした。4世紀半ばの魏晋南北朝の中国は、六朝とも呼ばれるダイバーシ […]

  • 【速報】もっと怪しい校長を ― 曼名伽組の組長が自らに課したお題とは?【79感門】

    夢の中のような空間に、一人の男が座っている。第79回感門之盟が始まって間もなく、佐々木局長が中継先の中部支部を画面越しに呼び出して現れたのは、摩訶不思議なオブジェと校長の千夜千冊豪華本に挟まれた小島伸吾組長だった。ここは […]