蒐譚場・文叢六譚のインナーストーリー【前編】

11/28(木)18:18
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 [遊]物語講座・蒐譚場、前半のメインワークは「文叢六譚」だ。2つの文学作品を一種合成し、文叢ごとに新たな物語を生み出す。
 といっても、実際に執筆するのではない。タイトル、キャッチコピー、著者名、章立てをアウトプットし、「商品」という視点も加えてプレゼンテーションする。


 最初はソロワークで、元になる物語の「型」を取り出し、掛けあわせて翻案していく。新たなワールドモデル、キャラクター、ナレーター、ストーリーをざっと書きだしたところで、5人から6人のグループワーク<編集会議>に移った。

 

 浮世絵師の群像劇『百日紅』とアメリカの青春恋愛小説『グレート・ギャツビー』が課題本である百日紅ギャツビー文叢は、3つの文叢の中でもっとも各々の構想が屹立していた。
 心中ものがいい。二次元の絵の中に迷い込むSFものはどうだろう。NYの芸術家コミュニティ。元の本から離れるなら、舞台はアフリカかヨーロッパにしてはどうか。さあ、どうまとまっていくのか。それぞれの着想を広げていき、つなぎめを探しつつ、要素を選択していく。仮留めするも、なかなか一つの「地」(ワールドモデル)に乗せきれず、連想も止まりがちになる。
 「あと10分です。そろそろ<制作会議>に入ってくださいね」。木村久美子学匠の声が聞こえてくる。


 「元の2冊の本の要素だけに注目するのではなく、“らしさ”も生かしていくのがコツです」と松井路代師範代が笑みを浮かべながらアドバイスを挟んだ。
 北斎は画狂、ギャツビーは愛情と金遣いが圧倒的だ。「過剰」のベクトルを変えると、正義のためには手段を択ばない革命家像がメンバーの真ん中に浮かび上がった。ゲバラというステレオタイプで全員が了解する。
 主要キャラクターは3人という型も継承し、女性パトロンと若い崇拝者を出すことになった。革命家がゲドルフと名付けられると、大国の中の少数民族というワールドモデルや章立てが一気に決まっていく。革命家が目指すのは、貨幣の無い社会。そこでは骨こそが価値を運ぶアイテムである。タイトルを『ボーン・カレンシー』と仮留め。森井一徳師範が、血を連想させる真っ赤な帯がいいのではとアシストする。ストーリーの肉付け、キャッチコピー作り、ペンを手にレタリング。同時並行で、自然にロールに分かれて進めていく。
 <制作会議>終了間際に、著者は中華系の「紅狼」氏、当局から危険視されているノーベル賞級の覆面作家で、本書は日本のイシス書房から緊急出版されたという設定が定まる。ぎりぎりのところでブーツストラッピングが間に合った。

 

 ◆文叢六譚インナーストーリー【後編】へつづく

 

 

文叢メンバーと高速濃密な編集会議グループワークに挑む

6つの物語から生まれた3つの新しい物語

 

 

蒐譚場・文叢六譚のインナーストーリー【後編】


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